987654321-timeさんのブログ

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「………」

「……ア」

…ん? 何か…声が聞こえる…

「サ…ソニア…」

誰…?俺の名前を誰かが呼んでる
そっと目を開ける…何故か辺りは暗闇で何も見えない
「サ…ダー…ニア…起きな…さい」

??誰もいる気配はないのに…しかも知らない女の人の声だ 俺の名前に似ているが違う名前…?

いつまでも座り込んでては進まない
声も場所も何も分からないが、分からないものを考えても仕方がないので、真っ暗で行く所なんてないが片手を前に出しゆっくりと歩いてみる…
時間にしてみれば数分だろうが今の俺は何時間にも感じた

闇雲の中歩いているとずっと先に小さな光がみえてきた
俺は急いでそこに向かう

「待ってる…」
光のすぐ手前でまた女の人の声がしたので振り返ってみるが、やはり辺りは暗闇のままで誰もいない

訳が分からない…
声を出そうにも何故か俺の声が出ない
怖くなってとにかく光の中へ進む…が急に意識がふっと遠くなる…

…ど…なって…る…だ…

ソニアはそっと目を閉じた

「……か」

「ん…」
また暗闇か…?
「大丈夫ですか!?」
肩を揺さぶられ、次第に意識がはっきりとしてきた 俺はパチッと目を開け、頭を上げ辺りを見渡すといつも山菜を取りに来ている山だった

当たり前だがニックとリキ、ベロニカは見当たらない
ため息をつき起こしてくれた男の子をみる
そこには心配そうにこちらをみていた幼なじみのジニアだった
小さい頃からずっと仲良しで、気の小さなジニアをいつもいじめっこから守っていた
そのせいか同い年だが弟のように可愛がっている
ジニアも中々の容姿でソニアよりは劣るが目鼻立ちは整っている 髪が癖毛でふわふわしていて触ると気持ちがいい
村の人はほとんどが黒髪なのにソニアの髪はストレートのサラサラで村では珍しい金髪… ジニアも村では珍しい赤茶色だ

ジニアの家は村で一件しかない本屋である
そのせいかジニアはとても博識で頭がいい
山菜もジニアに教えてもらったのだ

ニック達が知らせたのだろうか…しかしとんだとばっちりだった…
「あの…怪我とかしてない?」
ジニアが顔を除き込んできた
「え?あぁ…多分…大丈夫」
傷がないか調べようと腕や服をみたが特に目立つ外傷はない
「心配かけたな」
安心させるようにニカッと笑う
何故かジニアは顔が赤くなり慌て出した
「よ、よかった!キミ、倒れてたからビックリしたよ」
「あぁ、ベロニカにいきなり…って、ジニア…キミってなんだよ?」
変な奴だな…不思議に思って苦笑いしながら首をかしげると、何やら黄色いものが肩を滑り落ちてきた
「ん??」
手で触ってみる
「…髪の毛??」
ぐいっと引っ張る…痛い
「え!?お、俺の髪!?」
頭を触ると短かった髪がいきなり腰の辺りまで伸びていた
「ぎゃー!?髪がっ髪がっジニア!!これどうなってんだ!?」
俺は今朝までは短かった髪がいきなり伸びていたことでパニックになる
ジニアも慌てて俺の肩を掴む
「ちょ、ちょっと待って!キミ誰なの!?何で僕の名前知ってるの??」
「はっ!?お前こそ何言ってんだ!!ソニアだよっわかんねぇのか!?」
「えぇっ!?ソニア…って、あのソニア!?」
ジニアにふざけている様子はない
2人共お互いを見つめて唖然としていたが、ジニアが先に我に返り洋服のポケットから小さな手鏡を取りだし、ソニアの顔の前に差し出す
「…ソニア…女の子になってる…」
ジニアは震える声でそっと呟いた
俺は鏡に写る自分をみて更に唖然とする
「な…んだ…これ」
震える手でジニアから鏡を受け取りよくみる
どこからみても女だ…
「ジニア…俺は…」
どうしたら…は言葉にならず、ある一つの出来事を思い出す
「あれだっ!!」
あの時のっあのベロニカの光のせいに違いないっ!!
俺はベロニカを探すため勢いよく立ち上がり村へと走った
「!?っソニア!?」
ジニアも慌ててソニアの後を追いかける


この世界は広い…

俺が住んでいる大陸は世界の一部らしいが、5つに分かれており東に土真星、西に太白、南に辰星、北に螢惑、そしてその中でも一番大きく最も権力、武力共に栄えている歳星はこの4つの中心部に位置しており周囲の国を制圧下している大帝国だ

国々の名前の由来は五星からきているらしいが詳細は不明である
南に位置する辰星の中でも更に南部にある小さな村カモミールに俺、ソニアは爺さんと2人で暮らしている
ソニアは子供ながらとても綺麗な容姿をしている
目鼻立ちがはっきりし、目はくっきり二重で睫毛なんて女より長い
唇も小さく肌も透き通るように白い
村一番の容姿と言われるが男の俺にはバカにされているとしか感じない
そのため村の人々はソニアに向かっては言わなくなった
両親もさぞかし綺麗な容姿なんだろうと思うが俺には両親がいない
物心ついた時からずっと爺さんとこの村で暮らしている…爺さんに何でいないのか聞いたこともあったが、言えない事なのか適当にはぐらかされてばかりなので今ではもう気にしないようにしている


いつものように山に山菜を取りに行く
今は五時で言うと春に当たり結構涼しい
独活や土筆、ウコギ等が取れ炒めたりご飯に混ぜたりして食する
「ふぅ…これだけ取れば晩飯分はあるな」
背の籠一杯に山菜を入れ村に戻ろうと山を下る
途中村の手前で何やら話し声が聞こえた
ソニアは何気なく声のした方に足を向ける(後にこの時無視していればよかったと酷く後悔することになるのだが…)
そこには一週間前にふらっとカモミール村にやってきたお婆さん名は確か…ベロニカと言ったか…
はっきりいって素性がわからなくとても怪しい
人探しの旅をしていると言ってはいたが本当の所は誰も知らない…

後2人、この村に住む俺と同い年(ちなみに今年で10歳)のニックとリキ
俺との仲は良くない
ニックとリキは村では悪ガキで有名で、親が地主である事から周りの大人達も遠慮して中々注意出来ずにいる
親がいないソニアはいつもこの2人にバカにされる…(主に容姿について…)が、その度に返り討ちにしている
この容姿のせいで弱くみられがちだが毎日爺さんと剣術の鍛練をしているため、はっきりいって強い…それでもニック達しつこく絡んでは負け、親に告げ口し、爺さんが呼ばれる…という日々を送っている
しかし爺さんに叱られたことはない
昔何故叱らないのか聞いたことがあった
すると爺さんはニカッと笑い俺の頭を撫でた
「お前は叱られることをしたのか?」
少し考え頭を左右に振る
「ならわしも叱る理由がない」
この時ばかりは爺さんを見直したもんだ


「魔女だろー!」
「魔女はこの村から出ていけー!!」
2人はお婆さんに向かって石を投げつけていた
怪しくとも老人に向かって石を投げるとは…怪我でもしたらどうするんだ…
山菜を入れていた籠を地面に置くと、俺は止めさせようとニックとリキの前に立つ
「お前らやめろよっ!!」
その声と同時に何やら聞き覚えのない語源でベロニカが叫ぶ
「ξБζΩ !」
ベロニカは持っていた杖をこちらに向け、その先から直視出来ないほどの光がソニア達に向かってくる
ソニアはベロニカに背を向けていたせいで気付くのが遅れてしまい光がまともに当たってしまう
「!!? 何だっこの光っ!!」
ソニアの体を淡い光が包み込む

ニックとリキは真っ青になり叫びながら光から逃げようとソニアに背を向け村へと走っていった

「くそっなんだこれ…」
ソニアも逃げようともがくが光が縄のように巻き付き動けない
「べ、ベロニカ…」
ベロニカを睨み付けるが段々意識が遠のく
ベロニカは的が外れたはずなのに何故か満足そうな笑みをしていた…
それを最後にソニアは意識を失った