量子宇宙論で有名な無境界仮説(↓参照)についてであるが、量子宇宙論では、宇宙自体の波動関数を定義しホイーラー·ドウィット方程式等を元に量子力学的に宇宙の形状等を論じている。


⇀ ハートル=ホーキングの境界条件 [1](ハートル=ホーキングのきょうかいじょうけん、: Hartle-Hawking boundary condition)は、どのように宇宙が始まったのかの謎を解くことを目的とした、理論物理学における概念である。ジェームス・ハートル英語版スティーヴン・ホーキングにちなんで名付けられた。ハートル=ホーキングの無境界仮説とも。

この境界条件を満たす宇宙波動関数(ハートル=ホーキング波動関数)は、ファインマンの経路積分により計算される。

ハートル=ホーキング波動関数は、正確には、量子重力理論ヒルベルト空間における、波動汎関数を記述する仮説的な状態ベクトルである。

ハートル=ホーキング波動関数の正確な式は、境界上に誘導される計量(induced metric)に関するハートル=ホーキングの境界条件を満たす、あらゆるD次元幾何に関する経路積分で表される。結果として、境界である(D-1)次元のコンパクト多様体上の計量テンソルの汎関数となる(Dは時空の次元)。

このような宇宙の波動関数は、ホイーラー・ドウィット方程式を満足することが知られている。


ペンローズとホーキングは、相対性理論を使うと宇宙の始まりは特異点になってしまう事を証明した。宇宙の始まりは特殊な点であり、物理法則でそこでの物質の状態を指定することは不可能だ、古典力学の相対性理論では宇宙の始まりの状態は求められない。
その後、ホーキングとハートルが、宇宙が通常の時間ではなく、虚数の時間で始まったと考えると、宇宙の始まりが特殊な点となるのを避けられる事に注目して宇宙の始まりが「無境界境界条件」を満たせば良いとした。宇宙の始まりでの状態は量子力学的に決定出来ると主張したのである。
参照:「シュレーディンガーの猫がいっぱい-多世界解釈がひらく量子力学の新しい世界観-」 和田純夫著
 このいわゆる「無境界仮説」はあくまでも仮説である。数学的にはまず、微分方程式を解くのに境界条件がいるがそこを無境界とし、代わりに虚時間という時間の2つ目の軸を持ち出し、経路積分においてビッグバン特異点が通常の点と変わらない扱いが出来るように仕立てたのである。しかし、虚時間である必然性は本来ない。実数の次は複素数だというだけの理由に過ぎず、ホーキングの手法は、それで説明できる事は今までより多い、虚時間軸導入でどうか説明がついてくれ、といった楽観なのである。
ホーキングのような実証主義は、どこまでも(人間の間で)実績を上げるためのものなのであり、宇宙がそれで終いな事などどこにも保証されていない。そこで私は、無境界仮説へと進んだ姿勢や無境界性という意義だけを受け取るが余り信用してはいないのだ。