以前、治療構造という考えに対する異論を述べていた↓が精神科の主治医にも聞いてみた所、
やはり、ひとまずはやり方次第だろうという結論になった。やり方次第では料金体系などの治療構造も悪趣味になったりするし、保険の効かない心理カウンセリングは高額でもある。だからお金のない人はどうするの、という話にもなる。一方で吉本隆明は寺子屋のような事をやっている時、授業料は箱の中に入れさせ、払えるだけで良いという方針にしていた。貧乏な人がお金を払えないでも授業を受けられたのである。少し昔ならそんな事態はザラだったはずである。今のようには、よくも悪くも金に清潔ではなかったのだ。
一方、治療構造のうち、閉じた空間構造については、主治医も賛成だった。「このクリニックは4階にあるが、ギリギリ3階辺りから日常空間での感覚と異なってくる。だからこの部屋では患者さんは普段と違う意識でやり取りが出来る。ある意味異界とも言える。」と言っていた。なるほど、4階にある事には意義があったわけだ。
独自の異界の歩き方については、確かに荘子で心理療法をやるというのは面白そうだと概ね賛同を得られた。そんなこんなで、結局、治療構造とは基本ではあると思うがやり方次第な所はやはりあるだろうという結論になっていったのである。特に、現実の相対化については、主治医自身、統合失調症の人を尊敬しているような節があるからな。