三浦つとむ著 「弁証法とはどういう科学か」という本を主治医から借りて読んでいます。

私は中高時代に哲学にはまりきれず、哲学をとうとうと語る知識人気取りの同級生にすごいコンプレックスや反感を持ち続けていました。なんとしてでも覆そうとしましたが色々な試みに失敗していました。

そして医大を中退するいざこざの中でようやく遅蒔きながら老荘思想に目覚めました。(主治医も言っていたように人生の躓きが人をして思想哲学に目を向けさせるというのは本当だなと思いました。)

 

 その経緯を先日主治医に話したところ、主治医も吉本隆明という思想家を師匠のように思っていたことが分かり、その吉本隆明のこれまた師匠の三浦つとむの本が、語彙も難しくなく読みやすいと紹介してくれました。それがこの本です。

主治医は、吉本隆明の思想を詳しく知り尽くしているようで、また精神科医としての臨床にその知見を生かそうと密かに目論んでいるようです。そんなことをしていると精神科の主流からは外れるとか言いながら(笑

主治医曰く、精神病というのは共同幻想であり、障害とそうでない事との境界線の解体が精神科医として目指すことだ、と。壮大な目標ではないですか!

 

三浦つとむは今で言うところの実業学校しか出ておらず、全て独学で社会科学を理解していったためか、自著での言葉使いも難しい言葉を使っておらず、内容は高度な事を扱っているが、そのわりに分かりやすいというのが特徴のようです。

 本を読んでみて、幾何学で代数幾何学を知ったときのような感想を持ちました。哲学に親しまずに来た私には非常に新しい視点を与えてくれました。

一方で、この本は"世界は弁証法で成り立っている"という強い立場なのですが、これはあたかも幾何学は代数的に記述出来るという視点のようなもので、しかるに一方でそれとは別の見方、考え方、世界観もあるかもしれないのと同じことが弁証法にも言えるかもな、とふと考えました。

 

図:発達障害の人が集まっての当事者研究会では、苦手、嫌だと思う知識人のマップを作ることに!
 

 私はこの本を皮切りに、また主治医の考えを聞いたり支援をうけるなかで、自分の中の、哲学アレルギーのようなものがなんとか解消できたらなと思っています。これは中高時代からの悲願でもあります。

因みに、倫理という古今東西の思想、哲学の紹介のような科目でセンター試験を受験したときは、その年は問題が難しく全国の最高点は89点で、私は88点取れました。実は、これは哲学をとうとうと語っていた例の同級生よりよい点でした。