ヤンとカワカマス
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「舞台はロシヤ、といっても文中にはどこにもロシヤとは書かれていません。」
「広々とした広がりのあるところなら、そして自然がある程度残されているところなら、どこでもよいのです。」(以上あとがきより)
草原の低い丘の斜面の小屋に住む猫のヤン。
ある日、カワカマスが訪れます。
「あの、あいにく塩とバターが切れてしまって……。申し訳ないけど、あの、できれば貸してくれませんか」(19頁)
ヤンは快くカワカマスに塩とバターを貸します。
翌日には、スメタナ(サワークリーム)、さらに翌日にはキノコ。
カワカマスはヤンから借りたものを返そうとはしません。
しかし、ヤンは毎回、快く要求されるものを貸して見送ります。
おそらくカワカマス君の様に友人?から約束を破られた経験はだれでも持っているのではないでしょうか。
「一歩、一歩、草原の道を上がっていくと、少しずつ、少しずつ、ボクの心は、言葉ではとうてい表現できない、幸せな感情で満たされていった。」(77頁)
見返りを求めないヤンはお人よしなのでしょうか?それとも……。