(某コミュニティより)

「ウサギとカメのその後の話」 阿部千夏


僕はウサギの「ピーター」

僕の自慢は真っ赤なかわいい目と誰よりも遠くに飛べるジャンプ力さ!!

この辺りじゃ野山を走らせたら、僕に勝てるやつは誰もいないんだ。

そんな僕の友達はカメの「ごん太」。
ごん太はいつも、とってもゆっくりゆっくり歩くんだ。
僕とは大違い。
そんな僕らは、今では大の仲良し。


――ウサギと亀は2度のレースをした
そして、ごん太が3度のレースの場に海を提案する――


『大丈夫だよ。ピーター君は海が苦手でしょ。だからさ、
 僕の背中に乗ったらいいよ。』

『・・・・』
僕は驚いた。

そして、
『ごん太・・おまえさ、2回目に競争した時、負けたのにVサインしただろう。あれはどうしてなんだ。』

『ああ、あれね。1回目の時よりも速く走れたからさ。』


僕は家に帰った。
ママはこう言った。

『ゴン太くんは誰とも戦っていないよ。

いつも自分のベストを

目指しているだけじゃないかしら。

私たちは1人ひとり、持っているものが違うの。
 それを同じ舞台で同じように戦うのっておかしくない。
今までは確かにそうだったかも知れないわ。

でもね、これからは
1人ひとりの力を発揮する場が違う事を

お互いに思いやり、

認め合い、

評価し合い、

助け合う。

 そんな世の中に
なるんじゃないかしらね。

 ごん太君はそれを分かっているから、自分の得意な海では苦手なあなたを

 背中に乗せるという、

ゆとりの気持ちが

あったのではないかしらね。』


 その日から、僕はごん太が大好きになった。

 そして、人と競争する事をやめたんだ。
                おわり