フィリピンでも、通常は日本と同じように不倫された側が圧倒的な支持を得るわけだけど

今回はBの普段の振る舞いから、私たちが親しくなる前から

個々それぞれ密かにAさんを支持していたみたい。

 

マダオは去年の12月からBの指示で自身の田舎に帰っており、

Aさんも3月から6月いっぱいは実家に帰っていたので

私たちがAさんから直接この話を聞いたのは7月の終わりごろだった。

 

みんな聞きたくてうずうずしていたようだけど

なかなか切り込む人がいなかった。

(と言っても、この時点でもまだ私は不倫のことは何も知らなかった。)

 

ちょっとずつ距離を縮めて、いつの間にか

一緒に出掛けたり、食事をしたりするほど仲良くなり

「では、いざ質問!」とAさんから不倫の話を聞きだした。

 

実際、Aさんは相当参っていて、

Aさんも誰かに話したくて相談したくてしょうがなかったようだ。

私も2人だけで3時間くらい話を聞いたし

泣きながら語る姿は、私も見ていて辛い気持ちになった。

(でもどっかで こんな狭い世界で不倫するなんてと冷めてる自分もいた)

 

物理的に離れて会えなくなったことをきっかけに、不倫関係を終わらせることにしたAさん。

自分を本当に愛してくれているのはマダオだと思いながらも

その関係を終わらせることにしたのは、

ご主人とご主人家族との関係が大きく影響していた。

 

今のご主人はAさんの初恋の人であり、Aさんが付き合った唯一の人だった。

さらに、Aさんとご主人は同じ町の出身で家族同士も長い付き合いで、

なかば兄弟のように育ってきたそうなのだ。

 

つまり、Aさんの結婚はとても狭い世界の中で行われたものだから

自分が原因で離婚なんてしたら、ご主人家族とのAさん家族との関係はもちろん、

自分と自分の家族との関係も悪くなってしまうのではないかと恐れたのだ。

 

不倫を知ったご主人はAさんに対しては怒りと失望で酷い言葉を

たくさんぶつけたそうだが、ご主人はまだ自分の両親にも不倫の話をしていないそうだ。

プライドなのか、はたまたやり直したいという気持ちがあるからなのか。

それはAさんにも分からないようだった。

 

 

8月の半ば。船上での仕事を終えて、ご主人が帰ってくることになった。

まずはPCR検査を受けて、指定のホテルで結果がでるまで待機。

陰性であれば自宅で14日間の隔離生活。

 

だからいつアパートに帰れるのか、本人すらも分からない状態だった。

 

そしてその日。

昨日まで「大丈夫!私は主人を選んだし、主人も私を受け入れてくれた。」

と言っていたAさんが泣いているというではないか。

ご主人が帰ってきて言い争いになったのか?別れを告げられたのか?

 

その日も夕食後、集まっていた私たちのもとに泣き腫らした目のAさんがやって来た。

「主人が何も話してくれないの。」

「俺はソファーで寝るからって・・・(号泣)」

 

不倫をしておいて勝手なもんだと思うかもしれないが、

Aさんとしてはご主人が帰ってきたら、もう前を向いてやり直せると思っていた。

Aさんの言い分では、主人だって自分を蔑ろにしてきたのだから、

100%私だけが悪いわけじゃないと。

(Aさんはカトリック教徒。

最終的にAさんは「これは神が私たちに与えた試練。

さらに神はマダオを救うために自分(Aさん)をマダオの下に導いたのだ。」と解釈してた)

 

 

ところがどっこい。

 

帰ってきたらこの態度で混乱してしまったようだ。

 

日本とフィリピンでは文化も違えば恋愛や恋人家族の在り方も違う。

Aさんの登場でその場は一気に家族の在り方や愛情表現の大切さ、さらには

人生で一番重きを置くべきことはなにか、というかなりシリアスな話に展開していった。

 

つづく...