ー第18回ー 『博士の異常な愛情』 (感想) | 3110 - 映画研究会

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   会長の3110です。

   記事にコメントしてくれたTADAさん。よく考えてみたら知り合いですやん。まったく気づかなかった。すみません。

   さて、パソコンがぶっ壊れた日、沈んだ気持ちでとある映画を観ました。

 

         ε=ε=ε= ヾ(*~▽~)ノ

 

   『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』

      

   1964年   93分   監督:スタンリー・キューブリック

 

   キューブリック監督によるブラックコメディ。原作は真面目な小説らしいです。

   1964年といえば、だいぶカラー映画が一般的になってきた時代。しかしこの映画はモノクロで大正解だったと思います。ブラックすぎる作風に非常にマッチしています。

 

   あらすじはシンプル。

   アメリカ空軍基地のリッパー准将が精神に異常をきたし、指揮下の爆撃機全機にソ連への核攻撃を命令した後、基地に立て篭ります。

   物語は、核攻撃を阻止しようとするアメリカ政府首脳部や、イギリス空軍のマンドレイク大佐を中心に展開します。

 

   シンプルなシナリオながら、脚本は精密でなかなか難しい内容でした。私の頭では理解するのに少々時間を要しましたが、いざ理解すると、なるほど面白い。そして怖い。

 

   これが素晴らしい映画であることは間違いないのですが、教えてもらわなければ、コメディだとはわからなかったでしょう。

   確かに、笑いを誘うシーンはあるのですが、いかんせんテーマがブラックすぎて、笑おうにも笑えないシーンが多いのも事実。いい意味で言ってるつもりです。

   笑えないのは、北の黒電話野郎もひとつの要因かと思います。ミサイル撃たれて滅びるなら、最後には是非ともこの映画を観たいですね。……この文章も笑えませんね。

 

   物語の舞台は主に3箇所。

   ひとつは、マンドレイク大佐がリッパー准将に閉じ込められる部屋。作戦を中止させようとするマンドレイク大佐ですが、リッパー准将と2人きりで缶詰めにされ、延々と准将の話を聞かされます。映えない画面かと思いきや、ある意味物語における最重要な部分。本作で最も不幸な大佐の奮闘ぶりに注目。

   次に、アメリカ政府首脳部の会議室。突然開始された核攻撃作戦をどうにか止めようとするのですが、なんかギスギスした不穏な雰囲気。物語の進みは、大体この会議からわかります。

   そして、34機ある戦闘機のひとつ。この物語を大きく動かす存在です。

 

   それぞれのパートで一つの話が同時進行するのですが、いろいろと行き違いが発生します。そこが面白い。そういう点では、コメディっぽいと言えるかもしれませんね。

 

   なんでもありな世界観や、地味にリアルな部分が、この映画の独特で不思議な魅力だと私は考えます。

   コメディにしては(ブラックにしても)黒いなぁという印象を受けましたが、戦争映画にしてはそれほど重い話でもなく、作風も極端に暗いわけじゃないので、観やすい映画でした。と、観終わってしばらくしてから思いました。

 

         ε=ε=ε= ヾ(*~▽~)ノ

 

   そのうち、この話がまったく冗談にできない時代がやつてくるのでしょうか。今も結構ギリギリな気がしますが、また違った観点からこの映画を観ることになるのでしょう。

 

 

続く……月末のタブレットはめちゃくちゃ重たい