GWは幾つになってもワクワクします。GWの楽しみ九州地ビールフェア。今年は天神中央公園で催されます。そして博多どんたく港まつりコロナ禍以来久々の完全開催。好天に恵まれた憲法記念日ビールを片手にどんたく見物、最高ですね。

 

 どんたくの起源は博多に港を築いた平清盛、重盛の時代にまで遡ると言われていますが、関ケ原の戦いで有名な小早川秀秋公どんたくの歴史に関わっているようです。筑前領主であった小早川秀秋公の居城、名島城年賀の祝いとして松囃子が行われました。その後も明治時代までこの松囃子を通し、城下町・福岡と商人の町・博多が交流を深め、現在の博多どんたく港まつりとして続いているとのことです。

 

 GWということもあり、この日は公園内に建っている重要文化財・旧福岡県公会堂貴賓館無料開放される日です。福岡の誇るハイカラな文化財、当時のセレブになった気分で貴賓館を訪ねてみましょう。

 

      【旧福岡県公会堂貴賓館】

 明治43年九州・沖縄八県共進会という博覧会福岡で開催されました。その際、来客接待所として建設され、共進会会期中は閑院宮ご夫妻の宿泊所として利用されたそうです。

 フレンチルネッサンスを基調としたこの木造公共建物重要文化財に指定され、福岡と博多をつなぐ那珂川沿いに保存されています。

大正時代にはここで孫文の歓迎会が開かれたことや、また当時皇太子であった昭和天皇もご宿泊なさったこともあるそうです。

 

【三條栄三郎

 

 この建物の設計、監督者は山形県出身の三條栄三郎氏。土木技師として福岡に着任し、この公会堂以外にも旧福岡県庁舎や宮地嶽神社、筥崎宮などの建築も手掛けた福岡ゆかりの人物です。

 

 レッドカーペットを踏みしめ2階へ参ります。初夏の日差したっぷりの貴賓室いっぱいに飾られた薔薇の花が上品です。

 

 

 

 天井に描かれた青空と雲の絵は貴賓館修繕の際、「雲がぽっかり浮かんだような絵があった」という情報をもとに上塗りされたペイントを丁寧に剝ぐことで現れた油絵です。作者は不明ですがこの貴賓館に絵を描くほどの人物です。きっと名のある画家の手によるものでしょう。

 シャンデリア旧福岡県議会議場に吊るしてあったものです。1階の貴賓室には複製ではなく実物が吊るされています。

 

 ここは談話室でしょうか? ドレスタキシード、まさに上流階級の社交場、憧れてしまいますね。

 

 浴室も西洋風でお洒落です。

 

【内装の金物類】

 

 創建時より使われていたものや復元された貴重な金物類も展示されています。これらは昭和61年に始まった貴賓館修復の際に見つかったものです。扉や窓、カーテン類に付属する飾金物は真鍮が使われています。小さなところにもこだわりがあるのですね。

 

 貴賓館前の広場ビールを頂きます。お気に入りはKIRISHIMA BEERです。GWの晴天の下、どんたくのお囃子を聞きながら頂くビールは最高です。

 那珂川沿いに建つ文学碑明治34年福岡で生まれ88年の生涯を「九州文学」発展に捧げた文士・原田種夫氏を称えて建てられたものです。芥川賞直木賞候補に名を連ねる作品を何度も執筆した氏は博多を愛し上京することなく福岡に留まり続け中央の文壇と地方の文士たちとの交流をはかるまとめ役として奔走し、九州文壇の黒子と呼ばれていたそうです。碑に刻まれた『人間』という詩からは原田種夫氏の優しい人柄が偲ばれます。

 

      【原田種夫、文学碑】

 この季節は栃の花が街を彩ります。

 どんたくパレードを追って天神の真ん中まで来てしまいました。ずっと福岡に住んでいるのですが、そこで初めて目にする立派な石碑を発見しました。「田原淳先生居住之碑」と刻んであります。

 

【田原淳先生居住之地】

 田原淳(すなお)先生心臓刺激伝導系の発見者です。田原先生明治36年から3年間のドイツ留学心臓の心房と心室の境にある結節を発見。それまで不明であった心臓の働きをつかさどる経路・心臓刺激伝導系を世界で最初に解明した大先生です。田原先生が発見した結節はその功績を讃えて「田原結節」と名づけられたそうです。そんな先生が福岡で誕生していたのですね。

 

 好天に恵まれ、美味しいビールを頂きどんたくパレードを堪能した良い1日を神様に感謝しましょう。1日の締めくくりは警固神社です。

      【警固神社】

 

 警固(けご)という地名は鴻臚館の近くに設置された大宰府の防衛施設警固所にちなんだものといわれ、『万葉集』などにも見ることができます。

 また、福岡城鎮守の神2代福岡藩主・黒田忠之公の産神として歴代藩主の崇敬が厚かった神社です。

 

 この日は地ビールとどんたくのおかげで知っているようで知らなかった福岡の歴史を知ることができた有意義な1日となりました。