ラピートの新大阪直通 | 京阪大津線の復興研究所

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大津線とは、京阪の京津線と石山坂本線の総称です。
この大津線の活性化策を考えることが当ブログの目的です。
そのために、京阪線や他社の例も積極的に取り上げます。

『鉄道ピクトリアル』2023年10月臨時増刊号において、南海は「ラピート」をJRの新大阪駅に乗り入れたい意向を示しています。JR側とも合意がなされているらしく、新大阪駅にホーム1面と引き上げ線1本を増設するようです。

 これが実現すれば、朝ラッシュ時にホームの中線または引き上げ線で「泉北ライナー」の自由席車を切り離して車庫のある住ノ江駅行きの普通として送り出し、指定席車を2両ずつに分割して後から来る「ラピート」の指定席車4両にそれぞれ増結して組み替えることができます。「ラピート」の自由席車は大阪駅で切り離して後述の「なにわ筋線連絡線」へ流しておきます。夕ラッシュ時はこの逆とします。

 JRの関西空港駅ー新大阪駅間の営業キロは60.5km、運賃は1,390円、「はるか」の自由席急行料金との合計額は2,150円、指定席は閑散期が合計2,480円、それ以外が2,680円です。

「ラピート」を含む南海との直通列車は大阪駅ー新大阪駅間3.8kmを快速扱いにするのが妥当ですが、運賃は170円加算されます。指定席料金を特例として通年100円に抑えれば合計は2,080円です。さらに、隣席同時購入の合計額は通常時が2,480円、混雑時が2,870円となり、JRと価格がおおよそ均衡します。

 ただし、長距離を走るJRにはさまざまな運賃計算の特例があります。新幹線と乗り継ぐ際に在来線の特急料金・急行料金・指定席料金が半額になる制度は2024年春に全廃されましたが、それ以外にも例えば「特定市内」の制度が存在します。

 これは、「特定市内」の各駅と、その市の中心駅との間の営業キロが201km以上ある駅との運賃を計算する場合に、中心駅を基準にして金額を算出するというものです。大阪市内も「特定市内」の一つであり、大阪駅が中心駅に指定されています。

 

 よって、例えば大阪駅から201km以上離れた駅で大阪市内までの乗車券を購入して新幹線を利用するケースでは、大阪市内の(新加美駅を除く)どの駅で下車しても金額は変わらないことになります。

 このため、新大阪駅で新幹線から乗り換えて阪和線経由で関西空港駅へ向かう場合、「新大阪―関西空港間」の乗車券を追加購入する必要はありません。阪和線の天王寺駅の6つ先、大阪市内の最南端である杉本町駅から関西空港駅までの乗車券を追加すれば済みます。

 杉本町駅から関西空港駅までの運賃は900円であり、新大阪駅から購入する場合より490円安くなります。これを考慮に入れれば、新大阪駅では総合的に見て「はるか」が「ラピート」より優位に立てると言えるでしょう。

 

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