阪急座席指定車の印象 | 京阪大津線の復興研究所

京阪大津線の復興研究所

大津線とは、京阪の京津線と石山坂本線の総称です。
この大津線の活性化策を考えることが当ブログの目的です。
そのために、京阪線や他社の例も積極的に取り上げます。

阪急京都線の座席指定サービス「PRiVACE(プライベース)」のシートが、営業に先立って大阪梅田駅で展示されていたので着席体験してみました。

 

 

 

奥が通常の状態で、リクライニングさせると手前のように座面がややせり出します。写真ではあまり倒れているようには見えませんが、体感としては京阪のプレミアムカーと同じくらいの角度でしょうか。

 

それよりも気になったのは、やはり

・2人掛けの座席を区切るパーテーションの是非

です。真横から見るとさらに目立ち、その上にはヘッドレストが大きくせり出しています。実車は窓も小さいので、通路側席からの眺望はかなり妨げられるでしょう。

 

 

プライベースでは4B・4Cおよび5B・5C座席を隣同士で予約した場合に限り、「お子様用ポータブルチェア」をアテンダントから借りることができます。鉄道業界では初めての試みであり、そのこと自体は評価されるべきです。

 

しかし、このパーテーションではお互いの顔が見えません。親が不安になる以前に、子どもが泣きだしてしまう恐れがあります。他の乗客に迷惑をかけないためには、親は常に体を起こして子どもをあやさなければなりません。これでは何のために追加料金を払ってリクライニングシートを予約したのか分からなくなってしまいます。

 

他の不安点としては、

・平日朝ラッシュ時大阪行きの混雑に耐えうるか

も指摘せざるを得ません。

 

京阪の場合、6:46,7:07,7:29,7:39,7:52の祇園四条駅発淀屋橋駅行き特急はプレミアムカーを含まない通勤列車8両で運転されます。ところが、阪急の発表では京都河原町駅発大阪梅田駅行き6:46,7:31,7:50というピーク時の列車にもプライベース車が連結されることになっています。

 

6:46と7:50は特急停車駅プラス大宮駅・西院駅にも停まる準特急、7:31は準特急停車駅のうち淡路駅を通過する通勤特急です。いずれも2300系または9300系での運用ですが、セミクロスシートの自由席車7両が大阪側の混雑に対応できるのか心配です。10両運転の復活が難しいのなら、せめて2本の準特急を通勤特急に格上げするのが最低条件ではないでしょうか。

 

加えて、座席の構造そのものとは直接関係ありませんが、

・全線500円均一の強気な料金設定がどう出るか

も懸念材料です。

 

京阪のプレミアムカーの乗車率は平日7割、土・休日8割と公表されています。好調の要因の1つは、途中駅で一定の入れ替わりがあるからです。

 

例えば大阪から乗って枚方市で降りた人の後に京都へ行く人が座ったら、その座席の乗車率は200%になります。それらを含めて計算するから高い数値が出るのです。これは都市間鉄道ならではの強みですが、京阪が指定席料金を34kmまで400円に抑えている効果も見逃せません。


この点、阪急プライベースはどうなるでしょうか。京阪に比べて運賃が最大80円安いものの、34km以下の利用で料金を上乗せすると逆転します。この距離帯では京阪と競合しませんが、高槻市駅や茨木市駅といった中間主要駅の乗車率が伸び悩むことは覚悟しなければならないでしょう。

 

 

書籍のご案内

【京都市内交通の再編計画】 (詳細)
データ本:330円 (税込)/ 紙本:1,045円 (税込・送料別)

 

イベントバナー