京阪線と烏丸線の連携強化(2) | 京阪大津線の復興研究所

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大津線とは、京阪の京津線と石山坂本線の総称です。
この大津線の活性化策を考えることが当ブログの目的です。
そのために、京阪線や他社の例も積極的に取り上げます。

連絡線の復活が叶えば、烏丸線から竹田・丹波橋を経由して京阪線へ直通する列車の設定が可能になります。乗り入れ区間は、京都府から大阪府に入った最初の駅である樟葉までとするのが理想でしょう。ここは京阪で五指に入る利用客数を誇る駅であり、かつ大阪側と京都側の両方に引上げ線を備えているので、樟葉―大阪都心間の列車と系統分断ができます。

 

近鉄京都線の竹田―丹波橋間は朝ラッシュのピーク1時間に18本が走っており、毎時6本程度までなら京阪直通列車を追加する余地があります。停車駅から九条・十条・くいな橋および近鉄の伏見を外し、区間急行に格上げすれば所要時間が短縮されます。

 

この区間急行は京阪本線内の各駅に停め、丹波橋または樟葉、あるいはその両方で特急に接続させます。丹波橋では連絡線につながる1・4番線、樟葉では引上げ線につながる2・3番線に発着させます。一方で出町柳―中書島―宇治間に5両編成の各駅停車を設定し、龍谷大前深草で緩急接続を行えば、特急と快速特急は七条を通過できます。

 

直通列車は烏丸線の10系(写真)と20系を用い、京阪線用の多情報連続式自動列車停止装置を搭載させます。20系の増備による10系前期車両の置き換え計画は中止し、アルミ車体に塗装を施すなどのリニューアルを行って延命させます。20系の増備編成は京阪本線直通に伴う運用拡大に充当します。

 

 

両形式は車体幅が2,782mm、全長が20,500mで近鉄とほぼ同じであり、車体幅2,792mm・全長18,900mである京阪の車両とは規格が異なります。ただ、京阪と建築限界がほぼ同じ阪神には、御影駅構内に半径160mのカーブがありますが、相互直通で乗り入れてくる近鉄車両も問題なく通過しています。京阪本線の相互直通予定区間で最も急なカーブは石清水八幡宮―橋本間の半径220mなので、さほどの土木工事なしに10系・20系の入線が可能と思われます。

 

連結両数は10系・20系が6連、京阪が最大8連なので支障はありません。問題は10系・20系が片側4扉なのに対し、京阪の通勤車が片側3扉であり、しかも車体長が違うので乗車位置が異なることです。

 

現時点の京阪においてホームドアを備えている駅、または備える予定の駅は京橋・枚方市・萱島・守口市です。その他の駅の設置計画については明言していませんが、近鉄を介して烏丸線と相互直通を行う場合には以下のような配慮が必要です。

 

・丹波橋:1・4番線は20m級車両6連対応、2・3番線は18m級車両8連対応

・伏見桃山:要検討

・中書島:1・2番線要検討、3番線は18m級車両5連対応、4番線は対象外

・淀:1・4番線は18m級車両8連対応、2・3番線は20m級車両6連対応

・石清水八幡宮:20m級車両6連対応

・橋本:20m級車両6連対応

・樟葉:1・4番線は18m級車両8連対応、2・3番線は要検討

 

これらのうち、「要検討」と示した箇所については18m級車両と20m級車両が混在するため、通常のホームドアでは対処できません。JR大阪駅地下の21番線に設けられているような、あらゆる扉位置に対応できる特殊なフルスクリーンドアを導入する必要があります。

 

大阪駅21番線のホームドア

 

あるいは、そこまでの整備は行わず、乗車位置と重ならない部分にのみ柵を備えることになるかもしれません。それだけでも安全性はそれなりに向上します。

 

いずれにせよ、相互直通のためのこれら一連の工事にはそれ相応の投資が必要であり、一朝一夕に実現できるものではありません。しかし、長期的対策としては視野に入れておくべき課題です。

 

逆に、中期的対策としては丹波橋の連絡線を取りあえず西側だけ復活させ、烏丸線直通列車を京阪の1番線に据え付けて折り返すのも一案です。これならば、樟葉直通の場合より設備投資は大幅に安くなります。

 

 

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