官民の役割分担 | 京阪大津線の復興研究所

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大津線とは、京阪の京津線と石山坂本線の総称です。
この大津線の活性化策を考えることが当ブログの目的です。
そのために、京阪線や他社の例も積極的に取り上げます。

(前々回からの続き)

 

地元客と観光客の分離は、京都市内交通全般においても避けられない課題です。今年の6月より、京都駅前から清水寺や祇園・銀閣寺方面へ大人500円の特急バスを新設する方針などが示されていますが、通常運賃230円の倍額以上を支払って乗る観光客がどれほど居るでしょうか。それに、「民業圧迫」の問題も解決されません。

 

本来、市営バスは住民税を支払っている地元の京都市民を優先するのが当然であり、観光客輸送は民営バスに任せるのが適切な役割分担です。それにあたって最も重要なことは、市営バスが観光客輸送への未練を断ち切ることです。

 

現状、口ではオーバーツーリズムに悲鳴を上げながら、実際には観光客から得られる収入を当てにしているのは明白です。本気で混雑を緩和しようと考えているようには思えません。

 

例えば、市営バスの5系統がその典型です。これは、京都駅前を起点に、市内最大の繁華街である四条河原町を経由し、三条京阪前―岡崎公園美術館・平安神宮前―南禅寺・永観堂道―銀閣寺道―修学院道から地下鉄烏丸線の国際会館駅前を経て岩倉操車場前に至るという恐るべき系統です。

 

こんなものを走らせれば、地元客と観光客が交錯し慢性的な輸送力不足に陥るのも当たり前の話です。便利すぎる系統ほど始末に負えないものはありません。少なくとも京都駅前―四条河原町間は廃止し、残りの区間を一部縮小の上で民営バスに譲渡すべきです。他にも、地下鉄直上の烏丸通や御池通を走行する系統を廃止または短縮することが考えられます。

 

系統見直し以外の対策としては、市営バスの停留所名を地元客向けに変更することが考えられます。以下は改称案の一例です。

 

・金閣寺道 → 紙屋児童公園

・銀閣寺道 → 白川今出川

・知恩院前 → 華頂学園前

・清水坂 → 東山区総合庁舎前

・五条坂 → 東山五条

・東福寺 → 第一赤十字病院前

 

なお、同一地点に存在する民営バスの停留所については現在の名称を維持し、そちらに観光客を誘導するものとします。

 

とはいえ、現状のように京都駅前から嵐山や大原などまで延々とバスが直通するのでは、道路渋滞の緩和には貢献できません。地下鉄を含む鉄道との接続を強化することが不可欠です。