11篇 指切りをした その2
進学先の南城大学には推薦で入る事が出来た。特待生では無いので、それなりの成績で良かった様だ。その代わり無遅刻無欠席品行方正である事を求められ、その証明と面接が厳しくて、受験した方が楽だったのでは、と考えてしまった。従妹は学生寮に入る事を希望していたけれど、男子学生専用と言われ、大学の紹介で近場のアパートに決めた。私は兄のアパートに居候させて貰える事になった。出張が多くて殆ど帰れないので、管理して貰えるなら助かる、と快く了解してくれた。家事を引き受ける代わりにアパート代は無しにしてくれたので助かった。男の一人暮らしなので部屋は期待していなかったけれど、思いの外きちんと片付けられていて、意外と几帳面なのだと見直した。
私と従妹は父親同士が兄弟なので、名字が同じ 水上 になる。私の名前は志穂なので従妹は私を しいちゃん と呼ぶ。従妹は麻美なので あーちゃん と呼んでいる。名字が一緒なので姉妹と間違えられる。顔も似ているらしく、双子なの?と聞かれる事もある。従妹なの、といえば納得してくれるが、双子と言われるほど似ているとは思えない。
大学の入学式は麻美と二人で出席した。男子学生が多いとは聞いていたが、想像以上で右を見ても左をみても、男子ばかりなのには気おされてしまった。式を終えて帰りがけ、門の辺りが騒がしいと思ったら、サークルへの勧誘が行われていた。私はサークルには興味が無かったので、遠回りして大学から出ると、いきなり都会の騒音が耳に入って来た。田舎町では見られない人の多さと、流れる様に走り去っていく車の騒々しさに身が竦んだ。
こんな都会で暮らして行けるのだろうか、と不安になったが、時間が経てば慣れるものらしく、騒音も受け入れられる様になって来た。男子学生の多さも気にならなくなって来た。友達も少しずつ増えて来た。田舎出身だからと引け目を感じていたが、素朴で純粋な所が良い、と言ってくれる人もいて、次第に肩の力が抜けて行ってるのを感じられて嬉しい。麻美はと言えば、人懐こい性格なので、友達の輪をどんどん広げて行ってる様だった。男子たちに声を掛けられている所を見ると、ハラハラしてしまうが、あまり立ち入ったことも言えないので見守るだけにしている。叔父が心配した気持ちが判る。