*
「よっ、おはよう」
「お、おはよう」
待ち合わせ場所行ったら亜奈乃が待ってた。
そんなビビらなくてもいいんじゃね?別にいいけど。
「んじゃ行くか」
「うん」
あ、考えてたよりいつも通りだ。と思った。それでいいんだけど。
いつも通り喋りながら学校に行く。途中にある公園曲がって『蓮華通り』っていう商店街に入る。
そこを真っ直ぐ行って出た所にある信号を右に行ったら高校。
そこで嫌なものが目に入った。
「うげ、警察…」
俺は嫌そうに呟く。商店街の前に白バイ、タクシーが並んでいた。
じろじろと商店街を通る人達を観察してる。気持ち悪い。
タクシー見ると「石川警察署」と書かれていた。わざわざ遠いとこからどうも。
俺と亜奈乃はお互い見合せ、警察を視界に入れないよう歩いた。
運良く何も起きず商店街に入れたが俺は警察を睨み付けながら亜奈乃に言う。
「鬱陶しいな…。わざわざ商店街の前まで来るかよ。駅前でいいだろーが」
「しょうがないよ…。実際この町で殺された人が二人いるんだし、今朝だって…」
「まぁそうだけど…流石に石川県からってやりすぎじゃね?」
亜奈乃も苛立ってそうだ。
商店街の中の店の人もチラチラと外を見ては近くの人とこそこそ喋っていた。
そりゃあんだけ入り口に警察いたらお客さん来ないかもしれないし。
しばらく歩き商店街を出て信号曲がって学校の前へ。
しかし
「も、持ち物検査ぁ?!」
「はい。カバンの中身を見せてください」
俺は驚愕の顔で目の前にいるやつを見つめた。校門の前に行くとまた警察がいたのだ。しかも持ち物検査するんだとか。
ふざけんな!
「何故持ち物検査を?」
隣の亜奈乃が尋ねる。警官は得意げに答えた。
「生徒の皆さんにも『夢』になり得る場合があります。学生だからといって必ずしも疑いをかけられないという訳ではないのです」
「は、はぁ…」
警察の分際で何言ってんだお前。俺達のこと何も知らないくせに。
とりあえずイライラしながらカバンの中身を見せた。別に凶器とか入ってないからじろじろ見んなっつーの!
持ち物検査を互いに終わらせたあと俺と亜奈乃はため息ついた。
「あんなにじろじろ見ないで欲しかったな…」
「チッ、警察って肩書きでセクハラまでしやがって」
「セクハラってほどじゃないけど…やっぱり嫌だよね」
亜奈乃が俯く。ったく…『夢』はいつまで蓮華町にいるつもりなんだ?
何のために?
俺は考えながら歩いた。教室の前で亜奈乃と分かれてからもずっと頭を悩ませていた。
「おはよ、泰ちゃん」
「あ、金間おはよ」
頭悩ませながら教室に入ろうとするとどこか元気無さげに金間が来た。どうしたんだろ?
「なんか元気なさそうに見えるぞ?どうした?」
「…あのさ、今日慶ちゃん休みなんだよ、泰ちゃん」
「谷雲が?明日雪でも降るんじゃね…」
慶ちゃんとは谷雲の名前の慶吾から取った金間が呼ぶあだ名だ。
で、谷雲が休んだって…
あ、わかった。ってか思い出した。
谷雲のお父さん警官だった。そう思った俺の表情を読み取ったのか金間が頷く。
「たぶん慶ちゃんそれで休んだんじゃないかって思うんだ」
「…谷雲の親父さんが、『夢』に?」
「うん…」
そりゃー休みたくもなるわ。んで今病院にいるってことか。
俺は金間に言う。
「まぁ谷雲がまた学校来たら俺達はいつも通り接してやろうぜ。変な気遣いとかせずにさ」
「そうだね、そうしよっか泰ちゃん」
金間が頷く。俺はそれを見て作り笑いをして自分の席に座った。
まぁ、谷雲の気持ちも分からんでもない。
俺だって昔ー。
「東雲君!」
突然の声にはっ、とさせられた。我にかえって声の方に目を向ける。
そこには亜奈乃と同じクラスの響谷麗が立っていた。
よっこいしょ、と立ち上がり響谷がいる方に向かう。何用で?
「何か用か?」
「あのさ、亜奈乃のことなんだけど東雲君何か知らない?」
俺より身長が少し低いため響谷が上目遣いでしゃべってくる。
こいつ可愛いなー。髪の毛長いし目ぱっちりしてるし。
じゃなくて。
「それ俺も聞いたんだけどわからなくてさ。ごめん」
「そうなんだ…。亜奈乃、私にも言ってくれないし、元気もないから心配で」
「あいつ、昔から悩み溜め込むヤツだからなー」
二人で考え込む。
ま、ここは
「放っとくのが一番だ」
「やっぱり、そう思う?」
俺は響谷の言葉に頷いた。
「自分から言いたくなったら自分で言うだろ。それまで待ってやってくれ」
「うん、ありがとう東雲君。流石幼なじみ」
俺がそう言うと響谷は早足で教室に戻って行った。
俺が席に戻るとタイミング悪く担任が入ってきたので、ホームルームが始まり相変わらず長い話を聞かされた。
「警察の方々がわざわざ我々の為に遠い場所からここに来てくださっています。皆さんもその警察官の方々に感謝の気持ちで挨拶するようにしましょう」
セクハラ公務員に言う礼なんてねえよ。
俺は小さく呟いた。
担任の話は続く。
「それから、とても悲しいお知らせがあります。驚かないで聞いてください」
無駄に目付きが真剣になる担任が何か可笑しくて笑えた。
しかしそんな担任から聞かせられる話は笑い事ではなかった。
「谷雲君のお父さんはこの蓮華町の警察官です。署長なのです。しかしその署長さんは今日『夢』に怪我を負わされました。そして『夢』はー
署長である谷雲日向の家族ー、つまり谷雲君達をも襲撃しました。」
うそ…だろっ…?!