案の定、早めに来ていた。


勇気を出して側に来てくれたのに、メガネのことしか言えず、話をしているのを聴いているだけで、いつ帰るのか聞けなかった。


近くだったのでいつ帰るか、一緒に帰れるか聞けたのに、身体が勝手に「一緒に帰れないよね」と合図をしてしまう。


いよいよ帰りの時間が近づいて来たのに、全く過去の経験が思い出せない、記憶が出て来ない。


帰り間際に別の事をし始め、女の子が帰るタイミングが合わなくなってしまった。

女の子を帰るのを見送り、声が何回も「一緒に帰れ!こうやって帰れ!」と言っているのに身体は動かず。

冷や汗が出始める。冷や汗が出ているのだが、焦るのだが、身体は動かない。


やっと動けるようになったので玄関に行ったが姿はなかった。

身体が動いたと言うことは、女の子が建物の外に出たから。


帰る時間になったので帰るが、追いかけた。

この道を歩いているだろうといってみたら、反対側を歩いている。

多分この格好だと思うがそれらしき人は反対側。


この時もこうやって「会いに行け」と声はするが、打ち消す様に「恥ずかしくないのか」 身体が固まる。




いつものように離れるのに従い、「なんで動かなかったんだ。」と責めて来る。


「なんで丸を出さなかった!」

「なんでいつ帰るのか聞かなかった!」

「一緒に帰れるか、なんで聞かなかった!」

「彼女が帰ろうとした時に、何で一緒に帰らなかった!」

「なんで起きて声を掛けなかった!」

「さっさと降りて声を掛けなかった!」


悩ませる。


今までの経験上、普通の女の子なら、諦められる。

俺よりも早く来てくれたのに、「これが終わったらね」と言ってくれたのに、わかっていなくて…

ガッカリすることしか出来なくて。


奇跡は起こるか?