立禅を組むことの大きな目的は構造力と呼ばれる能力を獲得することにある。
人体は全身で200以上あると言われる骨格が600以上あると言われる筋肉によって連結され、連動する。
運動の目的は歩く、走るといった身体の位置移動が基本に挙げられるが、物を持つ、運ぶといった他の動物にはない運動もある。
打撃格闘技の場合は自身の身体の骨格の突出した部位を相手の身体にぶつけることで衝撃を与え、損傷させることを目的としているので、その威力を上げるために筋力強化や連動性の効率化が訓練の内容として採用されることが多い。
立禅はそのような動くことによって獲得できる運動能力とは発想の異なる能力の開発方法といえる。
バラバラの構造体を連動させて衝突させるというよりも自身の骨格を一塊にしてぶつけていくために、全身の骨格をひとつにして機能させていくためにはその状態が動きの中では認識することが困難であるからあえて動きを止めて静止している中で、自身の精神状態、骨格状態、筋肉状態を観察して構造力を構築させていく作業が立禅である。
構造力を獲得していけば打撃の性質は変わり、重さはともかく、硬度が高くなる。
そこにはいわゆる力を込めている感覚はなく、むしろ、緩めば緩むほど骨格の硬度は高くなるのだが、その状態は立禅の静止した状態が確認しやすく、調整しやすい。
動きとしては表れないくらいの微細な動きを用いて身体内部のつながりを強化していく。
外見上は静止しているからこそできる作業であり、静止していなければできない作業でもある。
柱や梁の効果的な組み合わせによって強度を発揮している建築物、建造物と同様に、人体にも骨格を柱や梁としてその支持能力を発揮する能力があるはずで、その開発方法、強化方法が立禅であると考える。
そして、それを引き出していくために、「意」という要素が必要となってくる。