姉の抗がん剤治療はしばらく続いていた
抗がん剤というのは必ず一定のクール(抗がん剤の種類や
組み合わせ その他の条件で変わるのだが)というものがある
わざわざ私が小難しい説明をするよりも
ネットで検索するほうがよっぽど分かりやすいと思うので
あえてこの説明はしない。
しかし10年も前のこと…さすがにどんなクールでどんな薬を
使っていたかなんて全く分からない
今みたいに治療のたびに毎度毎度同意書書かされたりしないしね
私達家族全員が治療に対して あまりに医者に任せきりだったことも
否めないが…。
ただ姉が…オレンジ色のパッケージの抗がん剤は
異常に嫌がっていたことだけは覚えている
それをすると必ず数日後には 口腔粘膜がおかされ口内炎だらけになって
食事どころか水分さえも通らなくなる状況に陥いるからだった
本当にひどい時はしゃべることも苦痛で
筆談で会話を交わしたこともあった
姉が抗がん剤の副作用で何が一番辛いかと聞いたら
口内炎だと言っていた
また抗がん剤の大量投与にともない からだの免疫機能がガタっと
落ちて菌交替症という現象もよくみられた
口から唾液よりもネバっとした粘液が とめどなく出てくるのである
その正体は何かと言うとカビである
厳密には真菌というカビの仲間のことである
これも姉を苦しませる症状の一つだった
ただでさえ 口の中は口内炎でただれているというのに
この粘液を吐きだす作業は中々苦痛を強いられる
ネバネバとまではいかないが 粘液なので切れが悪いのである
ひどい時ガーグルベースンを片手に 一晩過ごす日もあった…
抗がん剤がからだに入ると 必ずその日は熱が出た
38度以上の高熱 食事もままならない姉に熱が出るのは
さらなる体力を奪うのだが 他の副作用に比べたら苦にならないと言っていた
数時間も経てば必ず解熱することが分かっていたので
気持ち的な分では楽だったのだろう
しかし抗がん剤治療をすればするほど
瞬く間に 姉は本当に重病人のように 変貌していくのだった…