◆◇一真の手記◇◆
宇宙の意思の襲来を予言したという呪術師・魔頭鬼十朗と話した。
結局、怪獣のこと、メシアのことについては何もわからなかった。
わかったことといえば、彼が宇宙の意思の力で天下を治めたかったということ、それだけだ。
原案・ウルトラマンガイア
第39話「悲しみの沼」
※この作品はフィクションであり、実際の歴史事実とは一切関係ありません。
~本編~
日本の某所にある休火山・美宝山(びほうざん)の周辺で短い期間に複数の地震を観測した。
いずれも大きなものではなく、大事には至らなかった。
地元民「最近、美宝山が鳴動している。きっと、ゾンネル様がお怒りになられているのだ。」
付近の住民たちは“ゾンネル様”の怒りに怯えていた。
そこで再び地震が発生、揺れと共に美宝山は噴火を始めたのだった。
地元民「どうか怒りをお収めくだされぇ!!」
噴火から数日後、未だに火を噴いている山。
GAJETは美宝山の噴火に関心を寄せていた。
桑野「なんでも、噴火の数ヶ月前から地震が多発していたとか。」
窪塚「火山の噴火の前に地震があるのはごく普通のことです。しかし、今回は休火山がいきなりの噴火ということで、何か原因がありそうですね。」
一真「地元の人たちはゾンネル様の怒りだ~とかなんとか大騒ぎしているみたいですけど…」
椎原「ふむ。そのゾンネル様というのは何か今回の噴火に関係がありそうだな。」
椎原隊長が感慨深げに思案する。
新貝「隊長、念のため、我々も調査に出向いてみては?」
椎原「そうか、では真澄の言う通りに調査に向かってもらおう。」
「真澄、桑野、窪塚、そして仙崎、美宝山に向かえ。」
新貝・桑野・窪塚・一真「了解!!」
ガジェットフライヤーα、γ、δが美宝山を目指し出撃していった。
美宝山の麓の町に到着。
一真たちはさっそく住民たちに聞き込み調査を始めた。
多くの住民たちが口を揃えて言ったことは“ゾンネル様”の怒りということだ。
一真「あの、皆さんゾンネル様と言っていますが、いったい何者なんですか?」
一真が老爺に尋ねる。
老爺「ゾンネル様は、古くからここ、美宝山一帯の守り神として崇められておる地底獣のことじゃ。」
「しかし、今は世界中が戦争のご時世、ゾンネル様もお怒りになられているのじゃろう、ここ何日かで美宝山が火山活動を再開したのじゃ。」
新貝「そのゾンネル様というのは私たちは会えないのでしょうか?」
老爺「今を生きる我々の中でゾンネル様を見た者は誰一人としていない。」
「我々の中にはゾンネル様の信仰自体を否定する者も出てきておる。」
「しかしのぉ~伝承では美宝山の噴火と共にゾンネル様は眠りから目覚めると云われておる。
もしかしたら今回、500年ぶりにゾンネル様が眠りから目覚めるかもしれぬ。」
一真「なるほど!!お爺さんありがとう!!」
一真はお礼を言うと、椎原隊長に現状報告をした後で、今後のことについて新貝副隊長を中心に打ち合わせをした。
一真「美宝山の噴火も500年ぶりということはやはり、宇宙の意思が影響しているのかもしれませんね。張り込んでいればゾンネル様は現れるかも。」
「魔頭が宇宙の意思を予言したのもちょうど同じ頃ですし。」
桑野「そんな上手くいくもんなのか?」
窪塚「さっきから美宝山の火の手が激しくなったみたいなんだけど、もしかしたらもうすぐ現れるかもしれない。」
新貝「そうね。各員、念のためフライヤーでスタンバイしておきましょう。」
「もし怪獣が現れて暴れ出したら攻撃開始よ!!」
桑野・窪塚・一真「了解!!」
それから1時間後のことだった。
窪塚「副隊長、地底から何かが上がってきます!!」
窪塚の見張っていたモニターがそれを物語っていた。
土煙を上げて現れたのは…
マグマ怪地底獣
ギールα
窪塚「怪獣出現!!待てよ、もう一体いる!!」
ギールを追うように美宝山の尾根から現れたのは…
甲殻怪地底獣
ゾンネル
一真「二体!?」
地元民「ゾンネル様だ!!」
老爺「あぁ!!あれがゾンネル様じゃ!!」
地元民「ゾンネル様、早くあの怪獣を追い払ってくりょう!!」
ゾンネルはギールへ向かって突進していく。
ギールαは腹部のコアからマグマエネルギー弾を放って対抗する。
新貝「なぜ怪獣たちが争っているの?」
窪塚「きっと、先に現れた怪獣がおそらくゾンネル様と思われる怪獣の縄張りに侵入してきたせいかと。」
桑野「普段は出会わない者同士ってことか。」
そう言うと桑野は操縦桿を握り直し、フライヤーαが飛び立つ。
一真「(どうして彼らは出会ってしまったんだ?これが宇宙の意思によって仕組まれていたものだとしたら…)」
新貝「このままではいずれにせよ危険ね。各員攻撃開始!!目標、二大怪獣!!」
桑野・一真「了解!!」
ギールαのマグマエネルギー弾が村々に降り注ぐ。
逃げ惑う住民たちの悲鳴があちらこちらで聞こえてくる。
一真「ここは俺が何とかしてみせる!!」
「誘導ミサイル、発射!!」
二発のミサイルがゾンネルの背負っている大きな甲羅に着弾したが、頑丈なそれは傷一つ付かなかった。
地元民「お前ら何してるんだ!!ゾンネル様をよくも!!」
地元民がゾンネルをかばうように立ちはだかった。
桑野「くっそ、市民たちがいる限り攻撃が出来ない。」
新貝「桑野君、怪獣を引きつけるのよ。」
桑野「りょーかい!!」
フライヤーαが美宝山側へと怪獣たちを誘導する。
ギールαはゾンネルにマグマエネルギー弾を浴びせる。
ゾンネルはGAJETとギールに背中の甲羅に蓄えられた太陽エネルギーの光弾を放って暴れる。
桑野「よし、良い子だ。そのままこっちまで来いよ~」
桑野が慎重に誘導を続ける。
しかし、ゾンネルに気を取られていた一瞬の隙をギールに突かれ、マグマエネルギー弾に被弾してしまった。
桑野「うわっ!!この俺が撃墜だと!?」
新貝「桑野君!!脱出するのよ!!」
桑野「駄目だ!!脱出できない!!」
脱出レバーがいかれ、作動しなかった。
窪塚「レバーがいかれてるんだ!!」
一真「怪獣め許せない!!」
絶体絶命のピンチのそのとき、一真は自らの機体を犠牲にオリハルコンを掲げた。
一真「メシアー!!」
まばゆいアメジスト色の光がフライヤーαを包み込み、ウルトラマンメシアに受け止められていた。
桑野「メシア?」
新貝「来てくれたのねメシア!!」
メシアは頷くと、フライヤーαを置いて、二大怪獣に挑む。
メシアの戦いを一人バズーカ砲を携えて眺めている男=柊源次郎大将がいた。
柊大将「メシア、お前はどこからやってきた?」
「我々の味方なのか?」
柊はバズーカ砲でメシアの援護を敢行した。
新貝「あのバズーカ砲…柊大将!?」
新貝副隊長は彼のことを知っているようだった。
メシアはフライヤーγとの共同攻撃でギールαを追い詰め、すかさずフォトンディスチャージで撃破した。
窪塚「やったぞ!!」
ゾンネルに向き直ったメシアは構える。
メシア「一真、そこまでだ。」
一真にはメシアの声が聞こえた。
一真「どうしてだメシア?」
メシア「ギールを倒した以上、彼にはもう戦う意思はない。」
「彼は、自分の縄張りを守るための防衛本能で戦っていただけなのだ。」
ゾンネルは後ろを向き、美宝山へと帰っていく。
新貝「どうしたのメシア?」
メシアはアメジスト色の光となって姿を消した。
柊大将「怪獣を見逃しただと?」
その後、基地へと帰っている時、一真は考えていた。
一真「(メシアが俺に初めて話しかけてきた。それに、怪獣を見逃せだなんて。メシアにも意思はあったんだ。宇宙の意思とメシアの意思。いったい、何が起きているんだ?)」
To be continued
◆◇メシアの軌跡◇◆
メシアを見つめていた柊源次郎(ひいらぎげんじろう)大将はウルトラマンガイアに登場した柊博之准将の祖父に当たる人として考えた人物です。
柊大将は元日本軍の大将であり、今は国際連盟でGAJETとは別の怪獣攻撃部隊の大将を務めています。
やはり怪獣には孫の柊准将同様に因縁があるようです。
新貝副隊長は彼と面識があるようですが、彼は陰の英雄と一部の元日本軍の人々から呼ばれていました。
ゾンネルを見逃させたメシア。
一真は初めてメシアと会話したことで、メシアにも意思があることを知覚しました。
宇宙の意思とメシアの意思。
両者とも未知の存在という意味では似ていますね。
ちなみにこのゾンネルは約60年後のウルトラマンガイアの時代で、ディグローブを迎撃するために藤宮博也によって無理やり目覚めさせられてしまったゾンネルと同じ個体ですね~
◆◇次回予告◇◆
町が一晩にして吹き飛ぶという怪事件が発生。
直ちにGAJETは原因調査を始める。
犯人は宇宙の意思に送り込まれた怪獣
神速獣“アクセリオン”の仕業だった。
次回、「カマイタチの夜に」
お楽しみに~


