
阿波の民話というコーナーがある。イメージが沸いて
挿絵を描いた。
とんと昔、あった話じゃ。
伊座利に長者が住んどったやと。
ある日の夕方。一人の旅の坊さんが訪ねてきて
「のどがかわいて・・・水をくれんかの!」そう言ってきた。
よう見たら汚いなりをしとるし、もし水をやったら今度は
泊めてくれ!っていわれると思て
「すまんな、あての所に水は無い。すぐ向こうに谷があるけん
そこの水飲み、美味い水じょ」
って、飲まさなかった。
長者は戸を閉めて坊さんが歩いていく姿をのぞき見しよった。
ところが、坊さんは谷川の方へ行かんと、ごっつい険しい
崖道の海辺の方へ降り出した。
ほのうち、断崖の岩を杖で突き刺したら、なんと、
ほっから水がこんこんと沸いて出てきた。
ところが、ほの晩から長者の家の井戸からはぴっしゃり
水が出んようになったんやと。
(11月20日の徳島新聞朝刊 湯浅良幸さんの記事を引用)