玉木経営研究所~経営改革・革新コンサルタントのブログ~

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第五回経営改革・革新レポート

『日本企業の経営改革・革新の具体的事例(1)』

 今回は日本企業の経営改革・革新の具体的事例を検討してまいりたいと思います。

酒造業からバイオ企業に転進した勇心酒造株式会社の事例

1)創業経緯

・創業1854年香川県宇多津町において酒造業をはじめる

1972年徳山孝氏(現社長)代表取締役(5代目)に就任

1974年米の総合利用研究を開始、同年勇心酒造株式会社設立

1987年ライスパワーエキスNo.1-D配合の入浴液、医薬部外品の認可取得

1989年ライスパワーNo.1を開発、その後36種類のライスパワーエキスが開発さ

れ、9種類が実用化(お米から抽出したエキスに麹菌や酵母、乳酸菌を加え、多く

の発酵法によって生み出される米発酵エキス)

1990年コメに秘められた無限の可能性を目指す活動が本格的にスタート

1993年米の総合利用研究を目的とした天然物薬用研究会発足。ライスパワーエキスNo.101を開発

1995年ライスパワーエキスNo.11を開発

1997年自社開発ブランド「ライース」化粧品販売開始、同時に三越にてライース化粧品販売開始

2001年「ライスパワーエキスNo.11」、「皮膚水分保持機能の改善」効果で厚生労働省より認可を受ける

2002年ライスパワーエキスNo.11を商品化しアトピーに効果がある「アトピスマイルクリーム」は発売1年で12万個を売った

2004年コーセーはNo.11エキス配合の化粧品を初年度50億円販売

2005年ライスパワーエキスNo.11配合のスキンケアベース液「ライスパワーNo.11リエイジングエッセンス」を商品化

・現在社員80名、資本金10百万円、売上高28億円(2009年度)、売上の殆どはライスパワーエキスを主成分にした化粧品・外用剤で、清酒は1%以下

(2) 勇心酒造株式会社の経営改革・革新の特徴

・昭和30年代を境に清酒業が衰退の一途を辿ってきたことから、酒造業を取り巻く諸問題を見直し、農と醸造発酵技術の提携をテーマに、コメの可能性に着目しバイオ企業に変貌した、大きな経営改革と革新に迫られたが、バイオ企業に変身し成功した

・徳山社長は大学、大学院で伝統的な発酵技術を学び、その後、産官学一体の協力を受け、コメの発酵による「ライスパワーエキス」36種類を開発し、9種類の実用化に成功し、日本型バイオの先端にある

・社長就任後、開発費の借入金によって破産の危機もあったが、経営努力と周囲の支援により乗り越え、2002年社長就任30年目で初の黒字を計上した

・厳しい酒造業でかつ中小企業の規模で改革・革新を成し遂げたことは賞賛に値する

第四回経営改革・革新レポート

『日本企業の経営改革・革新を中心とした経営課題』

 今回は日本企業の経営改革・革新を中心とした経営課題を検討してまいりたいと思います。

第一回レポートでは経営改善、経営改革、経営革新の定義を説明し、それぞれの評価したい点、イノベーションという言葉についてレポートしました。

第二回レポートでは、一般的な企業経営の推移を振り返るとともに、経営状況の悪化に対して、経営改善に留まるケースと経営改革・革新が必要なケースについて述べ、経営改革・革新の必要性を認識してきました。

第三回レポートでは、現在の企業の『経営環境の変化と現状』について大きな括りで捉え、各項目についてコメントしてまいりました。第四回・今回のレポート『日本企業の経営改革・革新を中心とした経営課題』を考える際に経営環境の変化と現状を踏まえることが重要だからでありました。

今回の第四回レポートでは現在、日本企業が直面している経営課題について整理していきます。また、具体的企業の事例については第五回レポートで触れることにして、日本企業の主な経営課題を整理することを主眼としたいと思います。

Ⅳ、日本企業の経営改革・革新を中心とした経営課題

経営改善を進める日本企業の強み

・経営改善の収益向上・効率性向上効果は大きく、改善志向人材が育つ

・倉庫、物流などの改善による物流費用の削減

・作業効率の向上による収益改善効果も認められる

日本企業の主要な経営課題

前回レポートで指摘した経営環境の変化と現状から鑑みて四つの経営課題をあげます。

・企業の成長発展

・競争力強化

・収益力向上

・人財育成

主要な経営課題達成のために経営改革・革新がぜひ必要

・経営環境変化のスピードが益々増している

・顧客のニーズ・価値観が高度化・多様化し、企業はこれらに順応する経営改革・革新が必須の状況である

・現状を否定した上で将来志向の観点から企業戦略・組織を

見直すこと、

新しい視点で戦略・組織等を再構築することが重要である

自社の強みと事業機会をさらに活用する意義

・自社にとって内部環境における強みと弱みは何か?

・強み・弱みは各社にとって異なる。強み(Strengths)とは

技術力・ノウハウ等で、弱み(Weaknesses)とは販売力・

資金力・人財等である。

・自社にとって外部環境における機会と脅威は何か?

・機会・脅威は各社にとって異なる。機会(Opportunities

 とは高齢化社会での消費構造の変化等、脅威(Threats

 とは新商品の登場等である。以上の頭文字を使い、SWOT

 析という。

・自社の強みと機会を生かす戦略が最大の経営改革・革新で

 ある!

具体的な経営改革・革新としてあげられるもの

・事業領域の見直し(事業の選択と集中、新規事業への進

 出、M&A

・ヒト、モノ、カネ、情報の活用策の見直し(経営資源の

 集中)

・研究開発部門・企画部門の組織体制の強化・人財育成と

 新製品開発

・国際経営戦略の見直し(中国、EU、アジア戦略等)

・経営組織の見直し(コミュニケーション、貢献意欲、

 共通目的を重視)

以上の通り日本企業の経営改革・革新を中心とした経営課題について取り上げてきました。こうした経営課題のいずれかを各社が抱えており、それらについて各社が真剣に取り組んでいるものと考えます。逆にそうした経営課題に対して経営改革・革新策が必要だとしてしっかり位置づけ取り組まなければ企業活動を長期的に継続することが難しくなると考えます。

第三回経営改革・革新レポート『経営環境の変化と現状』

 日本企業の経営改革・革新を中心とした経営課題を検討する前に経営環境がどうなっているかを項目別に考察してみたいと思います。

第一回レポートでは経営改善、経営改革、経営革新の定義を説明し、それぞれの評価したい点、イノベーションという言葉についてレポートしました。

第二回レポートでは、一般的な企業経営の推移を振り返るとともに、経営状況の悪化に対して、経営改善に留まるケースと経営改革・革新が必要なケースについて述べ、経営改革・革新の必要性を認識してきました。

第三回レポートでは、現在の企業の『経営環境の変化と現状』について大きな括りで捉え、各項目について若干コメントしておきたいと思います。次の第四回レポート『日本企業の経営改革・革新を中心とした経営課題』を考える際に環境の変化と現状を踏まえることが重要だからです。

経営環境の変化と現状

グローバル化(ボーダーレス化ともいう)

・グローバリズム

・地域主義(地域内での提携を指す、リージョナリズム)

・現地主義(ローカリズム)

・欧州危機(一部の国の財政赤字問題等)

・中国の台頭

・イスラム勢力の混乱

(コメント)グローバル化の影響は企業経営にとって大きくなっている。国内生産・販売と海外生産・販売とのバランスをどうするか、その際に為替水準、雇用条件、国際間の競争条件等と十分比較検討していく必要がある。グローバル化の環境・条件は時代とともに変化するので柔軟に比較・検討し対応しなければならない。

IT

・コンピュータネットワークの飛躍的拡大

BtoBBusiness to Business)取引の増大

BtoCBusiness to Consumer)取引の増大

・業務効率化への貢献

(コメント)IT化によりコンピュータビジネスが拡大し、今後も伸びることが予想される。アマゾンや楽天のようなビジネスモデルはさらに拡大するだろう。またIT化が企業全体の業務効率化に寄与していく部分も大きくなる。

企業間競争の激化

・国際間競争

・国内企業間競争

・研究開発競争

・製品ライフサイクルの短期化

(コメント)企業間競争はさらに激化し、新商品の開発競争が進み、企業の経営改革・革新をもたらす大きな要因として位置づけられます。

為替通貨問題

・長期間続いた円高(昨年ぐらいまでの輸出中心企業の業績悪化等)

・最近時点の円高水準から円安水準への修正

・妥当な円ドル為替価格

(コメント)為替通貨問題はある程度治まった感があるが、経営上のリスクとして今後とも意識していくべき不可欠の課題である

雇用状況

・労働形態多様化(非正規社員が三分の一)

・少子高齢化

・従業員教育

(コメント)非正規社員の増大、年金支給開始年齢の延長と高齢社員の雇用継続、従業員教育の実施内容などの課題がある。

金融・証券市場

・金融緩和の継続

・株式市場の活発化

(コメント)物価上昇率2%の確保、株価の長期的な上昇など金融・証券市場の課題

も多い。

第二回 経営改革・革新レポート

第一回レポートでは経営改善、経営改革、経営革新の定義を説明し、それぞれの評価したい点、イノベーションという言葉についてレポートしました。

第二回レポートでは、一般的な企業経営の推移を振り返るとともに、経営状況の悪化に対して、経営改善に留まるケースと経営改革・革新が必要なケースについて述べ、経営改革・革新の必要性をさらに認識していきたいと思います。

Ⅰ、経営改善に留まるケース

多くの企業の推移をみると、例えば製造業の場合、企業はまず自社の新製品を開発し、それらを生産し、営業販売を行い、数年後には売上・利益を向上させ、事業を軌道に乗せていきます。この間になかなか軌道に乗せられない企業もあるわけですが、一応軌道に乗った企業を前提に考えます。

非製造業の場合は多くの業種が想定されますが、IT技術をベースに新しいモデルやシステムを追加・開発し、ITを利用してスタートした企業も多いでしょう。

ところで順調に進んだ企業でも徐々に経営が悪化することはよくあることです。一般的には、景気全体の悪化、所属業種の不振、輸出環境の変化、競争業者の増加と販売競争の激化、新製品の登場、為替動向の自社にとっての悪化、原材料価格の上昇、労働賃金の上昇など、さまざまな内外の要因が絡み、真の原因を突き止めるのは簡単ではありません。つまり、企業内部の環境変化と外部環境の変化が絡み遭うからです。

企業内部の環境変化は自社の強み(Strengths)と弱み(Weaknesses)、外部環境の変化は自社の事業機会(Opportunities)と他社からの脅威(Threats)として分けられますが、これらの点は今後に紹介させていただきます。それぞれの頭文字をとってSWOT分析ということをすでに理解しているかたもおられると思います。

そして、経営の悪化は、販売の伸び悩み、利益率の悪化・赤字の発生、キャッシュフロー不足、などの経営状態として出てきます。こうした経営の悪化は企業・経営者・従業員としては見過ごすことはできません。対策、適応策を考えねばなりません。

ここでまず取り組むのは第一回レポートでも指摘した経営改善です。これらには、販売ネットワークの改善による販売高の引き上げのほか、原材料価格の引き下げ、人件費を含めたコスト削減が含まれます。仮にそうした販売面の改善やコストダウンの実施回数が少ない企業であれば、ある程度の効果が出て収益の改善にも繋がるケースはあります。ただし経営改善では現状の事業モデルを変更することいわゆる経営改革・革新は実施致しません。

従って経営改善だけでは経営悪化の根本的な解決策にならず、再び経営悪化に陥るリスクが高いというのが現状でしょう。

Ⅱ、経営改革・革新が必要なケース

上記の通り経営悪化の原因はいろいろ多面的なわけです。これらのうち、所属業種の不振、輸出環境の変化、競争業者の増加と販売競争の激化、新製品の登場などの原因については特に重点的に深く検証する必要があります。検証すると経営改善だけでは経営悪化を乗り切れないことが想定され、経営改善だけでなく、経営改革・革新(経営戦略の変更などを伴う事業モデルの変更、組織の変更)を行う必要性を認識するはずです。

新製品登場で既往の製品の競争力が低下し、販売が伸びないケースに注目してみましょう。製品にはライフサイクルというものがあり、製品そのものが成熟期を迎え競争力を失いつつある場合があります。他社から新製品が出てくると自社の既往の製品の売上は減少します。既往の製品は値下げを余儀なくされる場合も出てきます。そうすると売上減少と収益悪化の両方が起きます。自社製品に対する顧客のニーズも現在は素早く変化します。自社の製品を従来のもので対応していくと考えれば先行きが不安になります。従ってこのような場合に新製品を追加すること、新製品に切り替えるための製造方法を変更・追加すること、つまり事業モデルの変更などといった経営改革・革新が必要になります。これは経営戦略の大きな変更になりますので経営者の思い切った決断が必要になります。また早急に適応していかなければなりません。

具体的な事例は多いですが、例えば従来型の携帯電話から急速にスマートフォンやアイパッドが販売を伸ばしていることがあげられるでしょう。追随する各社が製造方法を変更し生産モデルを変更していることは経営の思い切った転換といえると思われます。

こうしたケースと似たようなものが多い状況です。アマゾンや楽天などのインターネットショッピング(BtoC取引)が大幅に増加し、店舗を持つ書店などの営業形態が弱くなっています。店舗中心できた既存の書店は一部インターネット販売に進出しています。

また、シャープ、ソニー、パナソニックなどの日本の弱電メーカーが韓国・台湾・中国メーカーとの価格競争・開発競争に対抗できず敗退するケースもあります。日本メーカーは必死に改革・革新に励んでいます。商品・事業領域の選択と集中が急速に行なわれています。国際間の競争激化が影響し、グローバル化が進んだ結果起きた事態です。

このように国内製品の競争面ではもちろん、海外製品と自社製品の競争面でも経営改革・革新の流れが迫ってきています。

経営改革・革新という言葉は非常にチャレンジングな響きがあります。現状肯定型の経営スタイルから将来志向型の経営スタイルに変えていくという前向きな雰囲気を感じます。

 経営改善、経営改革、経営革新の定義は次の通りです。

経営改善:現状を肯定した上でよりよく方法や手続きを変えること、例えば、自社の製品を市場に販売する従来の事業モデルを変えることなく、現状の販売やコストダウンの方法を改善した場合

経営改革:現状を否定した上で将来志向の観点から生産・販売戦略や経営組織等の考え方を変革すること、例えば顧客の新しいニーズを重視した事業モデルへの変革を伴った新しい販売やコストダウンなどの変革を行う場合

経営革新:現状を否定する点では経営改革と同様です、経営改革よりも長期的視点で、新たな経営創造や事業創造・技術革新を実現していくこと、例えば、研究開発部門・企画部門による新商品開発や新規事業進出などを行う場合



 それぞれの評価したい点

経営改善:経営改善も重要な活動であり、経営改善に熱心な日本企業の強みです、改善を続ける企業は、業績向上を実現させるだけでなく、さらに改善志向の人材育成が可能になります、

経営改革:経営改善と経営革新のほぼ中間に位置し、経営改善と経営革新の両方を含めていうことが多く、最も多く使われる言葉です

経営革新:新しい事業や技術を生み出す経営革新は、将来の事業価値を創造する柱づくりにつながります、改善だけでは、会社が将来にわたって事業価値を生み出す力は限定されてしまいます。改善・改革に加え、新たなものを生み出す革新が必要です



 イノベーションという言葉

・経営改革・革新の二つの意味を含めてイノベーションという言葉もよく使われます、上記の経営改革と経営革新の両方の意味が含まれると理解してください

・イノベーションという言葉は、既存企業の改革・革新を指して使われますが、ベンチャービジネスを起こす場合、新規事業を立ち上げる場合に、その業務内容を説明する言葉として使われることが多いです