今年1年は
もう波乱と怒涛と、ショックと疲労困憊だった。
もう考えるの嫌だ。
今日役人から言われたのが
「正直、お母さん、ご病気がご病気なので(子宮頸がん末期、骨転移、肺転移、認知症も確定)
退院して施設へ行かれるとなると、今から急に決めてくれって酷なんですけど、入所の面談する時点で聞かれるので考えをまとめておいていただきたいんです。
もし亡くなると言う時、危篤になったら病院に運んで欲しいか、施設内で看取って自宅へ連れて帰るかと言う話なんです。急に言われても、まだ施設が決まってもいないのに心の整理もつかないの申し訳ないんですが…末期で入所と言う事は、そういう時が一年後に来るか、1ヶ月後に来るか、と言う話にもなりますので」という言葉。
まだボケてない時に、日常会話の延長で、死んだらどうして欲しいの？って聞いた時には、葬式は密葬でいい。坊主なんか呼ばなくて庵珠さんでいい。実家は遠くて手入れも出来ないだろうから、あんたの近くの寺に入れてくれたらいい。そこらへんにばら撒くだけしなければ、贅沢は言わない。葬式になんか金をかけるな。誰も呼ぶな。色々うるさいのはもう懲り懲り(母は9人兄弟で、嫁に出てない我が家で3人の兄弟を看取り、故人を生前ロクに世話もしなかった他の親族が遺産目当てにしゃしゃり出て来て家を連日うろつかれ、鍵を開けないと毎日来るぞ！とかドア蹴ってがなる奴がいたりして警察沙汰になった事もあったから) 母は末っ子。一番付き合いの近しかった、でも一番兄弟で仲が悪かった8歳上の姉とも去年末に知らない間に死に別れていた知らせを癌が見つかる直前に聞いたくらいで。
人間の最期なんて、いくら兄弟でもそんなあっけないものなんだと身につまされる。
私も母と一緒に伯父伯母を看取ってきて、年齢の割に人の死は小さい頃から頻繁に見て来たから、心構えも出来るだろうと思っていた。
だけど、自分の母となると、やっぱりそうキビキビ段取れるもんじゃないし、ガンが末期で見つかった事自体からショックだったのに、それが分かった瞬間に今すぐ入院して治療して下さい、早くしないと死んじゃいますよ。と言われて、もうパニックでしかなかった。
しかも本人の前でそれをズケズケと言い放つDr.にもビックリして、退いてしまった。
告知ってこんなに乱暴なの？
死んじゃいますよなんて、痛くも痒くもないって、首を捻る母がそれを言われて、落ち込まない訳もなく。
先生、私、死ぬんですか？って聞いてた。私はそれを横で聞いた瞬間が本当に辛かった。人間、本当にショックだと、涙すら出ない。もう呆然としただけ。
は？死ぬって何？こんなピンピンしてて、ちょっと出血したくらいで痛みも何もなく元気に孫に世話を焼き、家事をこなし、スイーツも食べ、特段具合いが悪い兆候もなかったのに。
なんで？間違いじゃないの？
もう浸潤がひどくて、神経や周りに癒着もあるので手術も出来ませんし、治す事も出来ません。本当にこんなになるまで、他に不調はなかったんですか？
大概の人がここまでになる前に色んな不調を訴えますよ。と。
母は、だってホントに何ともなかったんだもん、仕方ないじゃん。私は病気なんかした事なく七十数年生きて来たことが唯一の自慢なんですよ？娘のお産で入院しただけ。病気なんかで病院の世話になった事なんかない。
風邪ひいたり、耳が遠くなって耳鼻科行ったくらいだよ。って、ホントそうだった。薬なんかも殆ど飲まない。
そんな母が、最初痛いと言ったのは、末期になってた子宮じゃなくて、足だったし。
今思えば、足は転移だと言われたから、その段階で既に足に転移してたんだろうね。
足が丈夫だった事も母の自慢だから、あんまり長く痛いのはおかしいと言って、病院も本当は嫌いだから出来るなら行きたくないけど、やっぱり不安だよね。って話で最初は整形に行くつもりだった。でも足より子宮の出血が1ヶ月くらい続いてると打ち明けられ、生理用品も、我が家は女ばっかりだから、娘たちと私が周期重なると、すごい消費になり、母がコッソリそれを分けて持ち出していた所で気がつくのも難しかった。
異変が分かったのは、独特の臭いがあった事。 友人の親も末期と言われながら数年闘病していて、その人から聞いたら、ガンの人は独特のガン臭って言うものがあるんだよって。
それは発症してる箇所によって、臭い方や強さも其々らしく。 今までにない臭いで。でも本人に聞くに聞けなくて。と打ち明けると、本人は、自覚してない人もいるから、言わないで正解だったと思うよ。言われたら傷つくかもしれないし。と。
荷造りしたらすぐ入院と言われて、体が痛い私は、洗濯や掃除、炊事の一部も母に助けてもらってリハビリしたり安静にしたりだったから、何の福祉の準備も間に合わず100%の家事負担が発病以来初めてになり。
すごく怖くなった。
何日体が持つか。いつ発作を起こすか分からないでやらなきゃならない。また激痛で倒れて、意識無くして、その時に夫と子どもがいない時間帯だったら私、発見遅れて死ぬんじゃないかって。 当初、母の治療計画は放射線と抗がん剤点滴で６週間だった。私は1ヶ月すら毎日連続で朝から子どもの事して、洗濯して、という生活を発病してからDr.にしてはいけない、家族に任せてあなたは休みなさい。してもたまにだよ。たまに。と釘を刺されていたから、それを破って不調になれば、Dr.にはお叱りを受けると思ったし、進行も早まる。車椅子から二度と立ち上がれなくなる。それが本当に怖くて、早く治療が終わって、闘病生活になったとしても、助け合えばどうにか、きっと介護認定もつくだろうから、ヘルパーやショートステイを利用出来れば私も少しは休めるだろうって考えて、すぐ役所に相談に行った。病院のソーシャルワーカーにも入ってもらった。
母の主治医は、子宮しか診ないと断言。足も最初の1ヶ月は整形に紹介もしてくれず、独断で痛み止めを飲ませて放置されて。
全然痛みが良くならないと訴えるが取り合ってくれない。私が話に行っても、ガンが子宮の下まで出て来てたから、それで鼠蹊部を圧迫していて痛いんでしょう。患部が小さくなれば治まりますよ。って。
でも実際、整形で検査したら、整形のDr.が第一声でレントゲン見るなり、こりゃまいった。と言ったそう。そこで母は、良くないものが見つかったんだと確信して、以来、婦人科の主治医に不信を持つようになって、毎日のようにあんたは見逃した、あんなに私は痛い、検査してくれと言ったのに、と嫌味を言ったらしい。それでも、主治医は、ふんっ。専門外だし。みたいな態度だと。
いやいや、整形のDr.が、これは骨転移ですね。と即断したそう。それを婦人科の主治医がすぐに受け入れられなかったのか、認めたくなかったのか。
でも末期なら、まず転移を疑えよと、素人ですらそれだけは思った。
そして、転移の箇所は、骨が溶けて欠けていくタイプのガンだとわかりました。と告げられ。
今後、そっちの足をついて歩く事は出来ないです。すぐ折れてしまいますから。と。
だからと言って、車椅子の私にどう介護出来るかなんて聞いたところで、知りませんそんな事。って。とりあえず足にも放射線を10回くらいかけて、退院していただきます。と。ホント話の展開が雑。
私、第一級障害なんですけど。
要介護者が、介護出来ないです。帰って来ても…どうしたらいいんですか？退院してくれって言われてもお互いが自力で生活出来ないと共倒れすると思うんですけど。 せめて介護の手配が済むまで病院に置いてもらえませんか？私もこの体で障害のある子どもの育児してるんです。これ以上抱えられません。
もちろん健康なら母の事、早く帰宅させて面倒見たいですけど、現実は私も体調が悪いと起き上がるのも誰かに助けられないと出来ないんです。そんな場所に歩けない母が帰って来て、どうなるか分かりませんか？って。
相当食いついた。主治医がそれだけ、急性期病棟だから早くベッドを空けたいからを繰り返すから。看護師ばかりがフォローするから。その関係性に疑問を感じて。なんでこのDr.こんなに偉そうに上から目線なの？
主治医が呼び出したとき、私は大概寒さで強直が酷く、時間に少し遅れる事があって、何せ全身痛なので、約束どおりきっちりには、体が言う事利かない時もあるので、よろしくお願いしますって何回か言ったのに、何で遅れたんです？随分待ちました〜と、すごい皮肉られた口を利かれてビックリしながらも、いや、お話しした通り、こんな体なのでなかなか。と答えると、あっそ。 と言って舐めるように睨みつけられ。
あっそ。なんて言う医者いるんだ…信じられない。今まで大概横柄な医者には結構当たったけどボスみたいだった。
こんな態度をまさか患者にしてんじゃないだろうね？まさか母にもそんな風にキツく当たってるんじゃないだろうね？だとしたら立派なドクハラじゃないか。
技術だけ良いなら性格が腹黒くても罷り通るんですか？
最初の、死にますよに始まって、なんとデリカシーのない。
今まで何百人と体の不自由な患者も治療しただろうに、それでも、そんなの？ちょっと理解出来ない。
脳神経内科のDr.も、認知症の診断があれば、そっちも介護区分がついてデイサービスなんかも受けられますからね。退院が決まったら最後にまた診察をして、診断書を書きますよ。と言って待機してくれているのに。
診断がついた翌日には、母のベッド周りには注意書きのメモがたくさん置かれるようになっていた。いわゆる物忘れ対策。
母は貴重品の管理が出来ないし、鍵や備品の使い方、テレビの付け方も覚えられず、冷蔵庫も使えなかった。何度教えても、忘れてしまうし、そのうち、もういい。面倒くさいからやらない。って拗ねてしまうから強く押す事も出来ず。
独立した長女が、仕事休みの時に面会に行ってるらしく、ばあちゃんの身辺の整理、私がしてるから。良く見ると飲みかけのペットボトルとか、食べかけて封もしてないお菓子とか、怪しくなってる物が定期的に見つかるんだよ。オカンが車椅子で見えない角度にも口にしたらヤバイもんがあって、ばあちゃん、それいつの？食べたの？って聞くと、まだ食べるんだよ。とか言うから賞味期限見たら切れちゃってるから、これもう腹痛くなるから食っちゃダメだよ。捨てるよ？いいね？いつ開けたか思い出せないんなら、私の言う事聞きな。って言うと、素直にうん。て答えるから、そうしてる事だけ報告しとくわ。と。
でも実家にオカンの手伝いには行くつもりないし、チビ達の面倒も、見ろ言われたら見ない。
私が予定ない時に行くだけな。頼るなよ。って言われて、
ばあちゃんは助けて母ちゃんは見捨てるんかと聞くと、当たり前だろ。オカンには、お父さまがいらっしゃいますから私はその男に家から追い出され大学に行けず就職したんです、その事をお忘れなく。お父さまにお世話してもらってくださいね、奥様（笑）と、嫌味を言われ。
夫が母に早く死ねと言ってたことも、入院の時にもう末期なのに、金出して治療する意味が分からん。俺は助ける気ないし、面倒も見ないから。と堂々とDr.や看護師長に戦線布告までしたのも知ってて、更に私が寝込んでも家事なんか手伝いもしない事も、むしろ役立たずのクソアマと言って舌打ちしたり、蹴ったりする事も分かってて、その台詞。だから私も、もう長女は手放したと思って、既に育て終え、もう他人でもいいくらいに割り切らないといけないって覚悟決める事にした。いちいち腹を立てるのも、今更下らない。
高校生のうちからそんな態度に変化がないまま家を出たし。
車も通勤に必要なのに、夫は買い与えず、娘は事もあろうに、育てられた記憶がない、私の前の夫、離婚してもう18年も経つその人とSNSで連絡をして、新しい父親が車を買ってくれなくて困ってるし、お母さんは病気で収入がないから、どうかお願いしますとか言ってしまったと事後報告。ややこしいことしてくれた。 なんで離婚したか、どれだけ口を酸っぱく話して聞かせたのに、そうする？
案の定、親子と言えど、今の君の生活状況を知らないので、いくらの車を買って月々いくら返済する計画なのか、また月いくらで生活してて、給料はいくらなのか、全て報告してもらうのが条件で、貸付しよう。と。
親の愛で無条件で交渉するような人間じゃないから離婚したんだ。やっぱり変わってない。
娘にも私にした態度を同じにする。 それで長女が、私、あっちに自分のプライベート知られたくないし、なんで給料の金額まで打ち明けなきゃならないの？
毎月固定給で決まった金額返済しますって話で十分でしょ？
って。それにかこつけて、今までのアンタの暮らしを知りたい、話したいから会話を繋ぐために聞いて来るんだよ。
アンタがそういうことされるのを一番嫌う事は向こうは、知らない訳だから。だから言ったじゃない。なんで、私に相談なしに勝手にいきなり向こうへ連絡するの？親権者はアンタを産んだときからずーっと私なんだよ、
分かってるよね？って言うも、だって急ぎだから。入社までに買わないといけないから。そんなの親戚みたいな人にしか頼めないじゃんか！友達から金借りられると思う？未成年だからカードなんかも作れないし、ローンも働いてからでないと組めないんだ、私だって望んで頼んだんじゃない！文句あるなら、オカンが金出してみろ！100万出せるんか？現金で！出せないくせに色々言うなや。
…。なんでこんな子になった？
そんなのも抱え、下の子達の事もしなきゃならない。
無理、無理！一人で全部出来ない！
経済的にも限界だった。
自分の年金から自分の治療費も、母の保険料も生活費も、長女の学費も捻ってきたけど、自分の治療費が高額になり、もう首が回らなくなった。それでも無視を貫く夫。私が潰れそうになっている姿を見ても、だから何？って。こっちがお前の態度が何それ？って思う。
面倒見ないって言ったじゃん。病気だろうが死にそうだろうが、だからってさぁ優しくしましょうだなんて人間じゃないから俺は。嫌なもんは、どうなっても嫌だ。やらない。絶対やらない。 そしてこの前、ついに壁に夫の拳跡一発の穴が開いた。
自分だけが最強にイライラして疲れてるとアピールしたくて仕方ないから破壊行為に出るんだよ。モラハラってホントうざい。犯罪手前に暴れるから訴えられない。でもしてる事も、発言も人間として最低だ。
私もモラハラを日々勉強してるから、だいぶ二次被害から自分や子どもたちを守れるようにはなったけど、赤の他人からの予測外の二次被害にはまだまだ対応が出来てない。
離婚も、末子が15歳まであと2年。自分の中で決めて宣言した期限がだいぶ近くなって、夫に対してはもう怒りも悲しみも何もかも通り越し、とりあえず親権を取るために年月をやり過ごすだけの相手と思って、嘘でも演技でもない、無の笑顔や、無の仲良さげ風な夫婦面も平気で出来るようになった。
でもやっぱり、母の看取りの事を最初に考えてから施設へお願いすると言う手順が一番精神的にキツイ。別に医学的に余命を言われてもいないのに。Dr.も、まだその段階では全然ないです。子宮頚ガンは予後が良い比較的、悪さをあまりしないガンですから。
まぁ転移した先のガンの様子でそっちの方が悪化して来たら、また話も変わって来るんですけどね。と。
だけど、どうしても素人考えで、転移が多いと助からない。長く生きられない。ってイメージがついてまわる。そんな事、決まってないよー、転移が複数あっても長く生きてますよって話があったら知りたいです。
今の私にはそういう希望が欲しいのです。
たった一人の親。父のいない私。兄弟もいない私。結婚まで2人で暮らし、結婚しても、一緒に暮らしてきた唯一の私の全てを知る身内は母だけです。
そんな母を亡くす事を前もって考えてなんて、私には酷だと思います。これを兄弟がいたら分かち合えたり、父がいたら頼ったりも出来たでしょう。
本当に、孤独感がひどいです。
家族がいても、こんな深刻な事を一人で考えなきゃならないのは荷が重すぎます。まだ三十数年しか生きてない若輩の私には。同級生に、既に若くして親を亡くした人は何人かいるけど、介護してる知り合いはいません。まだみんな若いんだもん、親が。