http://www.nnn.co.jp/dainichi/rensai/skate/130828/20130828042.html


五輪「金」向け一歩一歩


スケートへの思いを話す山隈恵里子




















 「恵里子はスケートの踊る感性と、ラインの奇麗さは天性のもの。しかも、自分をどう見せるか、どう見せていきたいかという信念を既に持っている」と林コーチは恵里子を評す。技術力と芸術性の両面で評価されるフィギュアスケートにおいて、音楽を表現する能力、所作の美しさに先天的能力を持つことは優位に立つ。コーチ、振付師の指導の先にある音楽的感性、その表現に長けることは高い芸術性へとつながるからだ。「けれど、自分はジャンプが弱い。『踊れるのにジャンプの面でもったいない』と先生にも指導されますし、わたし自身も、もっとがんばらなくちゃと思います」と恵里子は冷静に自分を見つめる。


 ジュニアにおける近年のジャンプ技術は急速にレベルが上がっており、大会で上位を狙うためには3回転-3回転のコンビネーション、つまりセカンドのジャンプに3回転を跳ぶことが必須になっている。「まず、トリプルジャンプを全部確実に跳べるようにすること。あと、3回転-3回転のコンビネーションジャンプをマスターすること。これを重点的に練習して、レベルアップしたい」と意気込む恵里子。


 彼女には相当の覚悟があった。「ジュニアというステップはフィギュアスケート人生の一過程に過ぎない。最終的な目標はシニアで一流の選手になること。だから今は焦らないで取り組んでいこうと思います」。結果を早くに求め過ぎない、しかし明確な目標に向かって確実に成長していくのだと、強い意志を持つ。「わたしの力がピークのとき、そのときに向かって今は一歩ずつ頑張りたい。夢はオリンピックの金メダル」と言い切り、目を輝かせた。


 目標にするスケーターは浅田真央とグレイシー・ゴールド(アメリカ)。「ゴールド選手に四大陸フィギュアスケート選手権のときにサインをもらい、写真も一緒に撮ったんです」と声を響かせ、「笑顔がとても素敵な人でした」と教えてくれた。


 今年2月にはスケート靴の制作のためにイタリアを訪れ、世界ジュニアフィギュアスケート選手権(ミラノ)にも足を運んだ。「多くの選手が高難度のジャンプをどんどん跳んでいて圧倒された。そのなかでもエレーナ・ラジオノワ選手の表情と踊りが印象に残りました」と強豪に刺激を受けた。「レベルの高さを肌で感じ、意欲もわきました。今季はまず、全日本ジュニアで良い成績を残して、絶対に全日本に進みたいです」。恵里子は新しい二つのプログラムを用意し、夢に挑んでいく。