http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/osaka/news/20120828-OYT8T00079.htm?from=popin



 高橋大輔(26)、織田信成(25)両五輪選手が練習拠点にする「関西大学アイスアリーナ」(高槻市霊仙寺町)では、先輩の活躍に刺激を受けながら次世代の選手たちも切磋琢磨(せっさたくま)する。整った練習環境と優れた指導者を求めて、幼い頃から通う選手もいれば、遠方から転入してくるケースもある。


 関大中等部3年宮原知子(さとこ)選手(14)(京都市)は、JR高槻駅前の中学校で授業が終わると、バスで約20分かけてリンクに移動、毎日夜まで練習する。両親の転勤で暮らした米国で5歳からスケートを始め、帰国後は京都醍醐スポーツクラブ(2005年に閉鎖)で浜田美栄コーチ(52)に師事。関大リンクに拠点を移した浜田コーチを追って、同中等部に入学した。


 昨シーズンは、原則13歳から出場できる全日本フィギュアジュニア選手権で初優勝。10年バンクーバー五輪銀メダリストの浅田真央選手(21)がジュニア初年度の同選手権で出した得点を上回った。世界ジュニア選手権では4位に入った。「今シーズンは、ジュニアグランプリファイナルや世界ジュニアで表彰台に立ちたい」。夢はもちろん、五輪の金メダルだ。


 関大中等部2年の本田太一選手(14)(京都市)も、小学生の時から浜田コーチの指導を受ける。昨年の全日本ノービス選手権Aクラス(原則11~13歳)で優勝。3回転ジャンプが得意で、将来は4回転を跳ぶのが目標だ。そして、「ジャンプ以外の技も磨いて、高橋選手や織田選手みたいに人をひきつけられる、見ている人が応援したくなるような演技をしたい」。


 小学生と幼稚園の妹3人も浜田コーチのもとでスケートを練習する。マイカーで送迎し、子どもたちの夢を支える会社員の父(44)は「長く活動できるように、プロ意識と自覚を持ってほしい」と成長を見守る。


 関大3年国分(こくぶん)紫苑(しおん)選手(20)(高槻市)は、日頃からライバルと競い合えるような環境に身を置きたくて、大学進学時に故郷の札幌市を離れた。表現面の指導に定評のある長光歌子コーチ(61)に師事。今季のフリープログラム「オペラ座の怪人」の練習では、かつて同じ曲で滑った高橋選手に振り付けを手直ししてもらった。「目の前で踊って見せてくれ、学ぶことが多い」


 4歳でスケートを始め、学校以外のほとんどの時間を氷上で過ごした。関大入学後は世界に触れる機会が増え、11年のユニバーシアード冬季大会(トルコ)では銅メダル。昨夏は2週間カナダに滞在し、元世界選手権王者の人気プロスケーター、ジェフリー・バトルさんにプログラムを授けてもらった。


 一つ年上の浅田選手ら国内の女子シングルは層が厚い。「世界でトップ争いをする選手とは次元が違うけど、毎試合、自分にできる最高の演技をしたい」。就職活動を控え、「関大で過ごせるのもあと1年半。後悔のないよう、思い切りスケートをする」と決めている。


 ◆スケート強豪校


 関大のほかにリンクを所有しているのが中京大(愛知)で、浅田真央、小塚崇彦両選手らが在籍し、卒業生に安藤美姫選手がいる。早稲田大は村主章枝(すぐり・ふみえ)選手と、荒川静香さん、中野友加里さんらを輩出。高校では、羽生結弦(はにゅう・ゆづる)選手が在籍し、1998年の長野五輪に生徒4人を送り込んだ東北高(宮城)、高橋大輔選手の母校・倉敷翠松高(岡山)にスケート部がある。村上佳菜子選手が通う中京大中京高(愛知)も有力校だ。


2012年8月28日 読売新聞)