http://chubu.yomiuri.co.jp/tokushu/supotomo/supotomo110814_1.htm


慶応大生の高橋成美さん(19)(木下工務店クラブ東京)は、カナダ出身のマービン・トランさん(20)とのペアで全日本選手権3連覇を果たすなど、日本スケート連盟の特別強化選手に指定されている期待の若手です。モリコロパーク(愛知県長久手町)で7月に開かれた、東日本大震災チャリティーイベントのアイスショー「ザ・アイス」に出演するため、練習拠点のカナダから帰国した高橋さんに、会場で話を聞きました。


 ――ザ・アイスはどうでした?


 高橋 みんなで作り上げていくようなショーは初めて。衣装の早変わりも初体験で面白かった。


 ――シングルとペアの違いは?


 高橋 緊張の度合いが一番違う。ペアは手をつなぐから、ぬくもりが伝わって心強い。


 ――怖いと思う時はある?


 高橋 (2人が近い距離で回る)サイドバイサイドのスピンは、エッジが目の前に来るので怖い。


 ――ペアの難しさは?


 高橋 体調や気持ちにお互い波があるので、練習が難しい。でも、私が前向きになれない時、マービンは「シングルの練習をするから」と言ってくれる。ペアは1人が失敗しても、それは2人の責任。リンクに立てば目標に向かって気持ちは一つになる。


 ――けんかもあると思うけど?


 高橋 私が文句を言ったり、いらいらしたりした時、いつもはマービンが聞き流してくれるけど、彼も気分が良くない時はけんかになる。


 ――どっちが勝つの。


 高橋 マービンが勝つ。彼はいつも冷静で論理的だから。


 ――英語でけんかするの?


 高橋 うん、英語。


 ――何か国語しゃべれるの?


 高橋 日本語、英語、中国語。今はカナダにいるからフランス語を勉強している。あとは何となくロシア語やスペイン語をやったり、韓国の歌が好きだから、韓国語もかじってみたり。


 ――暇な時は語学の勉強?


 高橋 そう。語学は好き。


 ――活躍して注目されているね。ファンにメッセージを。


 高橋 どんどん話しかけてほしい。話をするのが好きだから。


 ――目標は?


 高橋 直近の目標は、(グランプリファイナルの予選となる)GPシリーズでいい成績を上げ、12月にカナダで開催されるファイナルに出場すること。将来は、ゲストとして海外のアイスショーに招待されたい。


小柄な体の「元気娘」

 「真央の妹」――。真央がこう言って、成美ちゃんを後ろからよく抱きしめています。「小柄な体のどこからあんなスピードやパワーが出てくるんだろう」と、いつも不思議に感じるほどの“元気娘”です。今年の「ザ・アイス」で企画されたダンス選手権では、小さな体を目いっぱい使った演技で優勝しました。


 明るく、おしゃべり好きな成美ちゃんですが、控え室をのぞくと、真剣な顔で勉強している“真面目さん”でもあります。


 ペアには、シングルにはない危険な技がたくさんあります。選手は練習を通じて信じ合うことにより、それを体得し、氷上の表現者となるのです。2人の今年のプログラム曲の一つが、ジョン・レノンの「イマジン」。私は2人が大きく飛躍する姿を想像しています。