世界ジュニア選手権に中庭健介コーチ登場!

 今年の世界ジュニア選手権。シングルの選手が6人も出場しているため、日本からのコーチ陣がとても豪華だ。東京からは樋口豊コーチ、岡島功治コーチ、重松直樹コーチ、名古屋の長久保裕コーチ、門奈裕子コーチ、そして大阪の林祐輔コーチ。


 また海外勢を見回しても、ソトニコワにミーシンコーチ、クリスティーナ・ガオにオーサーコーチ、ザワツキーにトム・ザカライセックコーチ、ジャン・ブッシュにウルマノフコーチ、コートニー・ヒックスにジョン・ニックスコーチ……。ひげを生やしたウルマノフコーチにびっくりしたり、試合を終えたニックスコーチが客席でクロスワードパズルを解いている姿を見かけたり。


 一流のコーチ陣がシニアの試合とは一味違う表情でコーチングしている様子も、なかなか興味深い。

 そこに日本からやってきたのは、御覧の通り1月の国体で競技を引退した中庭健介さんだ。


「カンヌンには05年、大ちゃん(髙橋大輔選手)と一緒に出た四大陸選手権以6年ぶり。世界ジュニアには2000年に出場して以来、11年ぶりに来ました」


 なんと国体を終えた翌日には、長野の全国中学校スケート競技大会に「勉強に行ってきました!」という。ホームリンクのパピオアイスアリーナでは、川原星選手をはじめとした若い選手たちのコーチとしての活動をさっそく開始。今回も、「福岡からは韓国、近いですからね!」と、しっかり海外のトップジュニアの偵察にやって来たようだ。


「それからもちろん、日本勢の応援です。特に男子! 龍一、健人、刑事、みんな仲がいい選手たちなんですよ。予選は日本から応援メールを送って励ましていたんですが、僕がここに来たからには、男子3枠取らせますよ!」


 その言葉通り、田中刑事選手は大健闘の2位、木原龍一選手も10位で、来年の出場枠3を確保してしまった。客席では、木原、中村両選手と並んで、田中刑事選手に大声援を送る姿も。


「健介君は俺の兄貴分なんです。長久保先生のところに健介君がいたときは、いろいろお世話になったので……健介君にも恩返しできるような素晴らしいスケーターになりたいですね!」と、木原選手。


「ロシアの女の子、すごいですね。ソトニコワのスケートが滑る滑る! それから僕が初めて見て驚いたのは、クリスティーナ・ガオです。この子、リンクに出てきていきなり涼しい顔でトリプルフリップ跳んじゃった! まるで子供のころのしーちゃん(荒川静香さん)みたいです。でも男子は、刑事の優勝だったと僕は思うな」
 と、もうすっかりコーチの表情で、若い選手たちの活躍に目を光らせていた。


 ショースケーターへの道は考えていないとのことで、もう氷の上で演技する「スケーター・中庭健介」を見られないのは、かなりさびしい。でも、一生氷の上で生きていく、という気持ちは、現役時代から変わらない。

「来年の世界ジュニア、今度は選手のコーチとしてきてるかもしれませんよ(笑)」


 人生の新しいスタートを切った中庭健介さんの、カンヌンでの笑顔をお届けしました。


photo/Masami Morita   text/Hirono Aoshima