記録・2023年3月16日⑦ | SEIMEI

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自死遺族になりました。
2023年3月 19歳の長男が自ら命を絶ってしまいました。命って何だろう・・・日々動物たちの生命と向かい合うブリーダーです。

しばらくすると派遣会社の責任者の方が来た。

部屋の内部を確認してもらう。

その上で改めて、部屋の退去についての話し合いを始める。


派遣会社側は

「管理している不動産会社側が・・・」

「大家さんが・・・」

を繰り返す。


埒が開かないので、こちら側も意見する。

・そもそもその部屋は派遣会社が借り上げているものであり、両親及び緊急時連絡先とされていたSは保証人ではない事

・夜逃げ等で派遣社員が失踪した際は、だいたい派遣会社側で後始末をすると発言していた事

上記を踏まえて、部屋を完全に空にした状態で掃除を行ったので基本的にはそれ以上の会社からの請求は対応しないと答えた。



それでも派遣会社側も渋る。

提案として

「基本的なハウスクリーニング代だけお願いしたい。それ以上はお互い何も請求はしない」

という内容を出してきた。


なのでそれならばまずハウスクリーニングの見積もりを提示して欲しいと返した。その上でその提案で合意するか判断する、と。


ハウスクリーニング代と称して多額の請求をされてはたまらない。



もちろん、部屋で自死をした息子は良くない。

でも

「最初に様子を見に来た時に・・・」

というHさんの個人的な意見と、私の思いはどうしても拭いきれない。


勝手な言い分。八つ当たり。

そうかもしれないが、20歳にもならない男子で

事情はわからなくとも実家を緊急連絡先にしない上に数日前から責任者も同僚も様子がおかしい事に気づいていたというのだから。

またどす黒い感情が湧いてきて消しきれない。

どうして、なんで、強引にでも確認してくれなかったのか、と。


そう責任者に怒鳴りたくなる自分自身にも

心底嫌気がさしていた。

でももう誰を責めても、何を言っても

息子は還ってはこない。



見積もりは翌日にも出るというので

明後日中には必ず発送する様にして下さいねと約束する。息子の最後の給与明細等この後必要になる書類関係は全て発行され次第郵送してもらう事にした。


そしてそれらが済んだ上で

双方の同意書を交わす事で完結する約束となった。



息子の部屋と職場のロッカーの鍵を

責任者に手渡し

約半年間、息子が暮らした部屋を後にした。

部屋を出る時に誰にも聞こえないくらい

小さな声で

「はる、帰るよ。一緒に家に帰ろう」

と呟いた。