「おと・な・り」 公開中


花屋で働きながら、フラワーデザイナーを目指している

登川七緒はフランス留学を控えてフランス語を勉強中。

カメラマンの野島聡は風景写真を撮りたいと思いながらも

高校からの友人である人気モデル・シンゴの

専属カメラマンとなり忙しい日々を送っていた。

アパートの隣り同士に住む2人だったが

顔を合わせたことはほとんどない。

2人が住むアパートは壁が薄く、

お互いが生活の中で発する音でお互いの存在を感じていた。

そんなある日、聡の部屋に見なれない女が訪ねてくる。

自分はシンゴの恋人で行方が分からくなったシンゴを探していると言う。

「シンゴはどこや?」と勝手に上がりこみ、

いないとわかるとシンゴがここに現われるまで居座ると言い張った。

一方、七緒は店にやってきた氷室という男性客から

彼の注文で作った花束をそのままプレゼントされる。

「店に来るたびに胸が高鳴り、運命を感じる。」と告白する彼は

いつも七緒が寄っているコンビニの店員だったのだ。

しかし、彼には七緒が知らない秘密があり、

それを知った七緒は深く傷つくのだった...。


監督は熊澤尚人。「ニライカナイからの手紙」で長編デビューを果たし

「親指さがし」や「雨の翼」、「DIVE!!」などを手掛ける。

出演は、聡役に最近はV6よりも俳優としての印象が強い岡田准一。

七緒役に三木聡節炸裂の「インスタント沼」や

いろんな意味で話題作「ウルトラミラクルラブストーリー」

にも出演で大忙しの麻生久美子。

他に谷村美月、岡田義徳、池内博之、市川実日子、

とよた真帆、平田満、森本レオなど。


主人公である2人がなかなか出会わない

もどかしい感じのラブストーリーですが、

お互いが発する音でお互いを意識し、

いつもは当たり前に感じていたその音に

癒されるところはなんとなく共感できて

気持ちが暖かくなれる作品です。

ドアベルの音、部屋や廊下を歩く音、

鍵の束がぶつかり合う音、

コーヒーミルをひく音、フランス語を練習する声、

花を生けるときのはさみの音、加湿器の音などなど。

それらの音がお互いの疲れた心を包み、

ときには傷ついた心を癒してくれる。

設定やタイミングに関しては奇跡の連続で

思わずツッコミたくなるところもありましたが、

すれ違いながらもお互いの存在を意識していく2人に

最近のラブストーリーにはない新鮮さを感じました。

基本的にラブストーリーは受け付けないのですが

こういうラブストーリーなら観られます( ̄▽ ̄)b

そしてお互いに気遣いながら音をたてるあたりは

当たり前のことなんでしょうが、身勝手な音が氾濫する

昨今ではとても大切なことだと感じました。


大阪出身の谷村美月が大阪弁全開でまくしたて、

見事に大阪のおばちゃん気質を見せてくれています( ̄m ̄*)



案山子の独り言
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