以前に病院の待ち時間で、ふと手に取ったエッセイの事を思い出した。お名前も何もかも忘れてしまったけれど、書道家の女性だったと思う。その方の、「人」という字に関するご意見。よく、いろいろな方が色々な場面でこの「人」という字は、人が支えあっている、という文字だと話される事がある。私も、子供の頃から、先生や目上の方からよく聞かされた記憶がある。ところが、この書道家の女性言わく、「人」という字は、もともと、人が1人で立っている姿を表した文字であったということ。書道家の方なので、文字についてはとても造詣の深い方なのでしょう。人はまず1人で立っている。意味が深いですね。そのエッセイを読んでいる間に、ふと、数人の目上の素敵な方々が浮かんできた。一緒にいると、言葉には出さないけれど、それまでに、幾つかの、厳しい局面をくぐり抜けてきたのでしょうね、と思える言葉の奥行を感じさせる何かがある人。淡々と今に向き合って、生き生きと生きている人。それから、梅雨時に感じるような、まとわりつくような湿度を感じさせない人。こんな人になれたら良いですね。なかなかハードルは高いけれど。