将棋に興味がない人でも、羽生善治さんの名前は知っているという人も多いかと思います。羽生さんは平成元年にタイトルを初めて獲得し、それ以来どんどんとタイトルを得て、7冠(全てのタイトル)を同時に保持するに至り、それどころか、最終的には全てのタイトルで永世7冠も達成しました(生涯1つもタイトルを取れない棋士の方が断然多い)。そんな羽生さんも若手の台頭もあり、平成最後の昨年12月に最後のタイトルを失ってしまい、とうとう無冠となってしまいましたが、平成の30年間ずっとタイトルを持ち続けるという前代未聞の快挙でした。

 

将棋界では20代〜30代と言われているそうですから、天才の羽生さん(48歳)でも年齢的な影響があるのでしょうか。プロ競技のような特殊なケースは別として、一般的には歳をとると何となく記憶力が低下したり、思考力が低下したりするイメージがあります。ですが、ある記憶や知能の調査では、50代でも60代でも特に20代の成績と変わらないという結果が出ています。ですから、脳の機能としては知的にも記憶力的にも大きな低下はみられないと考えられています。

 

そうは言っても実感としては歳をとるにつれて、若い頃と比べると全体的に衰えを感じる人が多いと思います。その原因の1つは意欲や関心などいわゆる前頭葉の機能低下(前頭葉の脳が萎縮する)です。若い頃と比べて歳を取ってくると、ある程度決まった習慣の中で生活していきます。そのため様々な状況を判断したり、考えたりする前頭葉の機能が低下すると考えられます。ですから、「年齢的に遅い」という先入観を排除して、歳をとっても新しいものに関心をもったり、チャレンジしたり、勉強したりと意識してやっていきたいと思います。やる気とチャレンジ精神があれば若い頃のように物事を楽しめるのではないかと思います。

 

ちなみに、将棋の羽生さんは連続タイトル保持記録は途絶えましたが、今年3月のNHK杯で優勝されました。コメントで「将棋の楽しさは強い相手と戦って、難しいと思える場面をなんとかして勝ちに繋げること」とおっしゃっていました。確かにまだまだ気力が充実しているようで、これからもその活躍に期待です。