花火

「大事なものを一つ捨てなければならない。」

それが決まってから仕事もプライベートも上手く事が運ばない日が続く。考えたってしょうがない、いつだって答えは決まっている。そう、前に進むしかないのだ。

そんな不安定な気持ちを紛らわせたくて車で高速道路を走る。エアコンを調節してお気に入りの音楽とペットボトルに入ったフルーティな紅茶、ガスは満タン、何処までも行ける気がした。ICを降りるとそこはヤクザで有名な港街、その日は港祭りで夜には花火があがる。明るいうちに車を駐車場に入れてビールを片手に花火をしばし観覧した。いくつになっても花火はいいやねぇ。お祭り騒ぎの後半で、もうすぐ普段の平静に戻ってしまうのが嫌で嫌でしょうがない瞬間ってありますよね。今まさにそんな瞬間なのかもしれない。終わってしまえば切ないほどの普通な時間が流れるんだろうなぁ。ちょっとセンチな気分に浸ってみた。あはは

酔いを覚ましたら深夜の高速で自宅に向かう。大きな花火を上げることはできないけれど、自分らしい花火を上げるとしましょう。それでいいじゃない、きっと誰かが見てくれていますから。