FD RX-7

妻と高校生の息子がいながら仕事用、家庭用、そして自分専用の車を持つ彼は眠らない。「寝てる暇なんかねぇ。」が口癖で、仕事と家庭を両立しつつ、ゴルフと草野球、そして車をこよなく愛す変態である。

彼との共通言語は野球と車で、小さな頃から遊んでもらった友達みたいな母方の従兄である。昔からスポーツカーを所有していた彼に、冬になると雪降る山奥に走りに連れて行ってもらった。時には温泉宿にも泊まったが、宿泊代や燃料代の大半を彼が負担してくれていたので、未だに頭があがらない。

久しぶりに会った彼は90年代の少し使い古された赤いスポーツカーに乗って現れた。メーカー製ライトチューンキットが組み込まれた車両は音楽やDVDを見聞きする空間では無く、ハンドルを握れば車に乗り方を合わせなければならない。強化されたクラッチを踏み、手首だけで変速するシフトを動かせば車体はとんでもない加速をしてコーナーに向かって走り出す。バケットシートと6点式のシートベルトの恩恵は十分感じることができた。いい車だねぇ。「ずっと走っていたい!」久しぶりにそんな気持ちになる車でした。