3月23日の朝はいつも通り裕貴と玄関で喋っていた。
と言っても、寝起きだった俺は話していた内容が全く頭に入ってこなかった。
そういう時はもちろん「はい。」と返事しておくのだ。
これは俺の会話のルールとも言える。
「おい。さっきからはいしか言ってないけど大丈夫か?」
「はい。」
「・・・」
プルル…プルルルルル
「おい。龍馬!電話なってるよ。」
「なんだろう?」
そう。俺は忘れていた。あのことを。
「はい?」
『双海龍馬さん!見事に二人目の海外旅行券獲得です!おめでとうございます!』
「は?」
ちょっと待てなんだそれは。
「あ…。」
そうだ、俺は2ヶ月前に応募したんだった。
「・・・」
『えええええええぇぇぇぇぇぇ!!!!』
「どうした!?龍馬!?」
俺は足の力が抜けた。
そして受話器を外したまま、同じメッセージが無限に繰り返される。
まさか本当に当選するとは…。
裕貴は俺の悲鳴に驚き俺の所に駆けてきた。
「どうした!龍馬!?」
「当たったんだよ…。」
「どこに!?なにが当たった?頭打ってないか?」
「そっちじゃねぇよ!!」
「お…おう。」
ビシッっとツッコミを入れた。
何故かその時だけ冷静になった。
「世界旅行券が当たったんだよ。」
「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
今まで聞いてきた裕貴の声の最大限の声が放たれた。
ただでさえうるさいのにこれは酷い。
「裕貴!鼓膜破けるわ!!」
「あ、ごめん。」
「まさか、当たるとは思わなかったよ。」
その時、テレビに俺の名前が表示された。
「え?」
『本日、世界旅行券を勝ち取ったのは一人目「双海龍馬」さん!そして二人目「篠山朱音」さんです!当選おめでとうございます!!さぁ次のニュースです…。』
俺と裕貴は同時に言葉を放った。
「まじか!?」「まじか!?」
