私には小さな夢がありました


愛する人と一緒に歳を重ねて

おじいちゃんおばあちゃんになっても

手を繋いで歩く夫婦でいたい


夫は

そんな私の夢を

「その夢、一緒に叶えようね」

って言ってくれた


色々とあって心を病んで

心療内科に通ってボロボロだった私を

救い上げてくれた夫


「もう泣かなくていいよ。僕が君を守ってあげるから。

幸せにしてあげるから。一緒に歳をとって、手を繋いで歩くおじいちゃんおばあちゃんになろう。約束だよ」


この人となら

私のささやかな夢が

叶えられるのかも

って思った


…約束

夫にとってはその場の雰囲気やノリで

いくらでも口にする、ただの口約束

私にとっては重い約束


夫が不倫する前は

出かけた時に手を繋いで歩くことは

普通のことだった


だけど

不倫が始まった頃から

手を繋いで歩くことが少なくなってきて

不倫が最高に盛り上がっていた頃は

夫は私の前を歩き、私を振り返りもしない

…そんな事が多かった


今はまた

手を繋いでくれる事も多くなってきたけど

…それは私がまだ疑っているからだ

水面下で続いている時から

私を黙らせるために


私の夢はもう叶わない


物理的には手を繋いで歩けばいい

だけど

夫の気持ちが

私の気持ちが

不倫前とは違うこと


夫と手を繋いでいても

そこに不倫相手がいる


そういえば

不倫相手とも約束していたなぁ


ずっと一緒にいてね

ずっと側にいるよ

約束だよ


…笑ってしまう