ベン・アフレックが監督・主演を務めたアルゴ Argo (2012)は、第85回アカデミー賞にて作品賞、脚色賞、編集賞を受賞した。
あとで原作を読んでみたのだが、事実と映画とはかなり違っており、話を盛りすぎている。ハリウッド映画とはそんなものかと思わされた。
本作「ザ・レポート The Roport」も事実に基づいた映画なのだが、事実にかなり忠実。しかしその為に見せ場が少なくなっており、淡々とした映画になってしまっている。結末くらいスカッとして欲しいと思うのだが・・・
原題:The Report (2019) Amazonプライム・ビデオ (120分)
アメリカ映画 120分(アメリカ劇場公開:2019.11.25)
邦題:ザ・レポート(日本ネット公開:2019.11.29)
ジャンル:伝記、犯罪、ドラマ、歴史、サスペンス
監督・脚本:スコット・Z・バーンズ
製作:スコット・Z・バーンズ、ジェニファー・フォックス、ダニー・ガバイ、エディ・モレッティ、ケリー・オレント、スティーヴン・ソダーバーグ、マイケル・シュガー
製作総指揮:マイケル・ディ・ヴェルディ、ナンシー・デュビュック、ナタリー・ファーリー、ヴィンセント・ランディ、Tj・リノマト、シェーン・スミス、リラ・ヤコブ
音楽:デヴィッド・ウィンゴ
撮影:アイジル・ブリルド
編集:グレッグ・オブライアント
[出演]
アダム・ドライヴァー(ダニエル・J・ジョーンズ、上院議員調査スタッフ)
アネット・ベニング(ダイアン・フェインスタイン上院議員)
マイケル・C・ホール(トーマス・イーストマン、CIA法律顧問)
コリー・ストール(サイラス・クリフォード、ジョーンズが相談する弁護士)
モーラ・ティアニー(バーナデット、CIA職員)
ティム・ブレイク・ネルソン(レイモンド・ネイサン)
テッド・レヴィン(ジョン・オーウェン・ブレナン、CIA幹部)
ジョン・ハム(デニス・マクドノー、オバマ大統領首席補佐官)
[ストーリー]
事実に基づいた映画。
2009年カリフォルニア州選出の上院議員ダイアン・フェインスタイン(アネット・ベニング)は、上院調査スタッフのダニエル・J・ジョーンズ(アダム・ドライバー)に9/11事件後に行われたCIAの拘禁及び尋問プログラムについての調査を依頼する。ジョーンズは4年間FBIでカウンターテロリズムについての仕事に就いていた。
フェインスタインは上院情報委員会の議長で、CIAが拘禁及び尋問プログラムの録音テープを廃棄したことを新聞記事で知り、録音テープには何が記録されていたかを知ろうとしていたのだった。録音テープから文字起こしをした膨大な量のレポートが存在し、ジョーンズはそのレポートを丹念に読むことから始める。1年くらいで結果がでるはずだった。
フェインスタインはバージニア州にあるCIAの極秘施設の一室で調査を始める。
[感想]
1年で終わるはずの調査は最終的には5年間にも及ぶことになる。
9/11の後、CIAはテロリストの容疑者をキューバにあるグアンタナモ基地に収容し、主に精神的にストレスを与える方法で尋問する。グアンタナモ基地にはアメリカの国内法は適用されず、拷問を止めさせる為にはグアンタナモ基地で何が起こっているかを表に出すしか無い。ジョーンズはCIAの記録からCIAが開発した水を用いた拷問からは何の情報が得られなかったことが明らかにする。
CIAは自分達の尋問プログラムが有効であったと言い張るが、その証拠として挙げた情報は容疑者がグアンタナモ基地に収容される前に判っていたものばかりだった。CIAの尋問プログラムを担当したテッド・レヴィンはCIA長官に昇任したため、何が何でも尋問プログラムを誤りを認めることはできず、ジョーンズの調査の妨害工作を始める。
話は非常に面白いのだが、後半の30分くらいまでは淡々と話が進むので、見続けるのがちょっと辛い。しかしながら、事実をあまり歪曲しなかった点には好感が持てる。
アダム・ドライバーの淡々としたジョーンズの演技も良いが、その彼を支える上院議員フェインスタインを演じたアネット・ベニングの芯の強い女性という役柄も印象に残る。
[補足]
最終的にはCIAの拷問による取り調べは中止に追い込まれるが、多くの人々を肉体的精神的に追い込んだCIAの関係者は何ら罪に問われること無く、それどころか昇進したものが多いという事実は唖然とさせられる。
英語版劇場予告編: THE REPORT Trailer (2019)
[おすすめ]
骨のある社会派ドラマを見たいなら。
ただし、気合いを入れた見たほうが良い。
[ソフト]
Amazonプライム・ビデオ
4K HDR
英語・日本語吹替音声、日本語・英語字幕が選択できる。
現時点ではパッケージソフトは未発売