やっと米国アマゾンがDVD、Blu-rayの日本発送を再開した。英国アマゾンも発送はしてくれるが、まだ料金が高い。日本で未公開の映画やソフトがDVDしかないものはやはり米国アマゾンが頼り。
配信も悪くないが、やはり気になる作品は手元において置きたい。
［見所］
ペルシャ湾に浮かぶリゾート、キシュ島を舞台にした、イランの有名3監督によるオムニバス映画。
原題：Ghessé hayé kish 英題：Tales of Kish (1999) 日本版DVD
イラン映画 77分（フランス劇場公開：1999.5.14）
邦題：キシュ島の物語（日本劇場公開：2001.8.4）
ジャンル：ドラマ
イラン南部のホルムズ海峡のキシュ島を舞台とした三話構成のオムニバス映画。
【第１話】 ギリシャ船 Le Bateau Grec
監督・脚本：ナセール・タグヴァイ
出演：ホセイン・パナヒ、アテフェ・ラザヴィ
シャンベは海岸に大量に流れ着くようになった色とりどりの段ボールを集め、乾かしては家に持ち帰っていた。段ボールは沖の難破した貨物船から投げ捨てられたものだった。
シャンベは段ボールでボロボロの家と店を修理する。しかし彼の妻は、誰の物とも分からない段ボールが気に喰わず、次第に増える段ボールに耐えかね、ついに精神的におかしくなる。シャンベは妻が何かに取り憑かれと思い込み、島の呪術師のところに連れて行く。
【第２話】 指輪 La Bague
監督・脚本：アボルファズル・ジャリリ
出演：ハフェズ・パクデル
イラン北部出身のハフェズは、大学受験の手続きをするが、親が貧乏なため大学進学を諦める。ハフェズは仕事を探してイラン南部のキシュ島にたどり着く。彼がありついたのは海岸の海水タンクの水を大型のタンクローリーに積むという仕事で、そのために一人で小屋暮らしをすることになった。
しかし、早く金を稼ぎたいハフェズは、海岸で拾ったバッテリーからおもりを作り、魚釣りをする。釣った魚をタンクローリーのドライバーに売るようになり、やがて通り掛かるドライバーが魚を買い求めるようになる。
フェズの小屋は電気も無いため、小屋の向かいの街灯から電線を引き、夜も快適に過ごせるようになる。フェズはきれいな貝殻も集めて、売るようになり、最初の給料を貰うまえに小金をためることができる。
その金をもってフェズはショッピンモールに行く。彼の買った物は…
第３話 ドア La Porte
監督・脚本：モフセン・マフマルバフ
出演：モハマド・A・バブハン、ノリエ・マヒギラン
砂漠を解体された建物からとったドアを担いで老人が歩いて行く。ドアには1という数字が残っていた。そこに自転車に乗った郵便配達が現れ、手紙を渡す。それは、老人の娘へのラブレターだった。老人は手紙を破り捨てる。
子ヤギをつれた娘がドアのあとをついて歩いて行く。そこにアフリカ出身の一団が現れる。彼らは楽団で結婚式が葬式を探しており、老人に儀式を行っているところがないかと尋ねる。老人は「誰が死のうが生きようがどうでも良いことだ。」と答える。
老人と娘は海岸にたどり着く。そこにまた別の郵便配達人が現れ、老人の息子からの手紙を手渡す。老人は手紙を受け取ろうともしなかった。
［感想］
イラン映画は名作が多いのだが、有名監督3人によるオムニバス。
第1話「ギリシア船」と、第3話「ドア」は寓話となっている。
「ギリシア船」は他人には理解できないような夢に捕らわれた男と、それが理解できない妻の話で、ラストで夢をとるか妻をとるかと迫られて悩みに悩む男の姿が笑える。
「ドア」は一番難解な話で、見返してみたが良くわからない。結末もなく、自分で結末を考えるタイプの作品。
「指輪」は抜け目なく金をかせぐ若者の話だが、ラストはちょっと泣ける。
［補足］
背景となっているキシュ島はペルシャ湾に浮かぶリゾート地として知られ、海岸が非常に美しい。
いつかは行ってみたいが、イラン領ということと、新型コロナウィルスの流行ということで、ハードルは高い。
［おすすめ］
映画は金を掛けなくても、アイデア次第で十分面白い作品になると思わせられる。
映画好きにはお勧めだが、退屈と言えば退屈。
［ソフト］
日本版DVD
ペルシャ語音声、日本語字幕
画質は発色は良いが、解像度は甘めだが、DVDとしては悪くない画質・音質。
廃盤のためプレミア価格になっている。買うほどでもないが配信がない。
結局中古版を購入したが、新品時の価格をあまり変わらなかった。
