[見所]
ジョン・ル・カレ原作のスパイ小説の映画化。
ロシアン・マフィアの資金洗浄を担当していた男ディマ(ステラン・スカルスガルド)が、ボスの交代により命を狙われることになる。せめて家族の命を救いたいディマは、モロッコのレストランで出会った大学教員ペリー(ユアン・マクレガー)にMI6との連絡係になることを頼む。ディマはロシアン・マフィアが買収しているイギリス高官の口座番号を渡すことと引き換えに、イギリス亡命をしようとしていたのだった。
原題:Our Kind of Traitor (2016) 米国版Blu-ray
イギリス・フランス映画 108分(イギリス劇場公開:2016.5.13)
邦題:われらが背きし者(日本劇場公開:2016.10.21)
ジャンル:犯罪、サスペンス
監督:スザンナ・ホワイト
脚本:ホセイン・アミニ
原作:ジョン・ル・カレ
製作:ゲイル・イーガン、スティーヴン・コーンウェル、サイモン・コーンウェル
製作総指揮:ジョン・ル・カレ、オリヴィエ・クールソン、ロン・ハルパーン、ジェニー・ボーガーズ、テッサ・ロス、サム・ラベンダー
音楽:マーセロ・ザーヴォス
撮影:アンソニー・ドッド・マントル
編集:タリク・アンウォー、ルシア・ズケッティ
[出演]
ユアン・マクレガー(ペリー・マッケンディック、ロンドン大学文学部教員)
ステラン・スカルスガルド(ディマ、ロシアン・マフィア、資金洗浄担当)
ナオミ・ハリス(ゲイル・マッケンディック、ペリーの妻、法廷弁護士)
ダミアン・ルイス(ヘクター、MI6)
[ストーリー]
ロシアン・マフィアの若きリーダー”ザ・プリンス”は、義理人情に熱い先代と違って、ロシアと政府と組んで全ての権力と金を自分に集中させ、じゃま者は排除しようとしていた。
マフィアの資金を担当してたミーシャはプリンスに呼び出され、妻と長女を同伴してモスクワに出向く。モスクワで彼の管理している全ての口座をプリンスに渡す書類にサインしたミーシャは、帰りの道で妻と長女もろとも殺害される。
ロンドン大学で詩を教えているペリー(ユアン・マクレガー)と妻ゲイル(ナオミ・ハリス)は久々の休暇をモロッコで楽しんでいた。モロッコの高級レストランで食事を取っていた2人だったが、ゲイルは電話で呼び出され、仕事のため先に帰ってしまう。レストランに残されたペリーは、別の席で盛大に騒いでいた男ディマ(ステラン・スカルスガルド)に無理矢理誘われる。そして帰り際に、翌日のテニスの約束までさせられる。
翌日テニスを楽しんだペリーとディマだったが、翌日帰国予定のペリーとゲイルを夜のパーティに誘う。彼の娘の誕生パーティだった。そのパーティの席上、ディマはペリーにUSBメモリーを手渡し、MI6(イギリス秘密情報部)の担当官に渡すように頼む。ディマはミーシャのボスで、モスクワの一件をペリーに明かし、次は自分の番で、何としても家族を守りたいのだという。
ロンドンについたペリーはMI6の担当官から取り調べを受ける。そしてディマはパリでペリーに面会したがっていると告げる。ディマは部外者のペリー以外は誰も信頼していないのだった。
ペリーとゲイルはディマの家族の命を守る為に一肌脱ぐことを決意する。
[感想]
ロシアン・マフィアの裏資金担当の大物ディマ(ステラン・スカルスガルド)がイギリスへの亡命を希望し、たまたまモロッコで出会った大学教員のペリー(ユアン・マクレガー)にMI6との連絡係になってくれるよう頼む。
ディマの周囲の人間は彼を消そうとしているロシアン・マフィアのボス”ザ・プリンス"の息のかかったもので、彼の電話や会話は盗聴されていた。家族を守る為亡命を決意したディマは部外者であるペリーに全てを託す。ペリーはディマの家族を守りたいという希望を叶える為、妻ゲイルとともに危ない橋を渡ることになる。
ロシアン・マフィアは資金洗浄をするためにロンドンに新しい銀行を創設しようとしてる。一応キプロスの銀行だが、ロシアン・マフィアが全てをコントロールする銀行で、その認可を得る為に、"ザ・プリンス"はイギリス内閣の大臣を何人も買収している。MI6の担当官ヘクターはディマの亡命を成功させようと最大の努力をするが、彼は味方であるはずの官僚から、あからさまな妨害を受ける。
全編息の詰まるサスペンスになっている。家族の命が掛かっている話なので、見続けるのが辛いほど。
ユアン・マクレガーの縁起も良いが、ステラン・スカルスガルドのディマが印象的。ロシアン・マフィアで基本的に悪い奴なのだが、家族思いの良い面も持っているとこをうまく演技している。
[補足]
"our kind of traitor"の意味は「我々好みの裏切り者」で、ディマがイギリス諜報機関が待ち望んでいた亡命者だということ。
原作はスパイ小説で有名なジョン・ル・カレで、彼の小説には映画化されたものが多い。
主なものには
寒い国から帰ってきたスパイ (1965)
ティンカー・テイラー・ソルジャー、スパイ (1979) TVシリーズ
スマイリーと仲間たち (1982) BBCミニシリーズ
ロシア・ハウス (1984)
ナイロビの蜂 (2011)
裏切りのサーカス (2011)
誰よりも狙われた男 (2014)
ロシア・ハウス以外は見たことがあるがいずれも面白い。
[お勧め]
スパイもの、サスペンス好きなら十分楽しめる
日本版映画公式サイト: http://wareragasomukishimono-movie.jp/
[ソフト]
米国版Blu-ray
英語音声、英語、スペイン語字幕
画質・音質とも問題無い
日本版DVD、Blu-rayは2017/5/2発売予定