あゆみは中学2年生。

ストレートの黒髪のきれいなとてもまじめな優しい子だ。

苦手なクラスメイトにきついことを言われて学校に行けなくなった。

「あゆみは嫌いな人いないの? 僕は苦手な人も嫌いな人もいるよ」

 こんなことを話していいのだろうか。

 少し躊躇する。

「えっ」

「苦手な人はいるのは自然なことだと思うよ」

 苦手な人たちのことを思い浮かべる。

 カウンセリングルームの壁の絵に視線が逃げる。

「自然界では蛙にとっての蛇のように天敵がいたり共存できない生き物がいっぱいいるよね」

「うん」 

 勉強が好きなあゆみが頭を縦に振る。

「それと同じで嫌いな人がいてもいいんだよ」

 あゆみは真剣なまなざしを向けてくる。

「いじめたり、無視するのは良くないけど」

「そんなことはしない」

 強い言葉が返ってくる。

「だったら嫌いな人がいていいんだよ」

 あゆみの視線に合わせる。

「嫌いな人がいるから自分の大切な人がわかるだよ」

「いてもいいんだ・・・。」

 不安そうに聞いてくる。

 みんなと仲良くしなさい。

 人を嫌ってはいけない

 そう言われて育ってきたに違いない。

 それは正論だが・・・。

 それだけでは生きていけない。

「お父さんにもお母さんにも苦手な人がいると思うよ」

 あゆみは小さくうなずく。