さやかは黒髪の似合う13歳の女の子。
真面目で優しい子だ。
クラスメイトとのトラブルから登校できなくなっている。
「さやか」
さやかの肩がビクッと動く。
「もしかして人の悪口を言うことも悪いことだと思っている?」
さやかは人を嫌うことも苦手な人がいることも悪いことだと思っている。
「はい」
か細い声が聞こえる。
「悪口は悪いことだと言われているけど安心できる居場所では言っていいと思うよ」
「でも…」
さやかと目が合う。
「嫌なことをされたりきついことを言われたりして傷ついてそのままにしていいのかな」
さやかの肩に力が入る。
「誰かに聞いてももらって楽になることが大切じゃないかな」
さやかは動かないがちゃんと話を聴いている。
「もちろんどこでも言っていいとは思わない」
一呼吸ついて言葉をつづける。
「でも、さやかが安心できる場所で言うのはいいことだと」
「うん」
さやかの声が湿る。
「いつも、安心できる居場所を見つけようって話しているよね」
さやかがうなずく。
「安心できる場所ってわがままを言ったり人への不平不満を言っても変わらずにいる人がいるところだと思う。だからここでは人の悪口を言ってもいいんだよ」
「ありがとう」
短い沈黙の後、つぶやいた。
「ここで聞いたことはここだけだし、それでさやかのことを見る目が変わらない」
「うん」
「安心できる場所ってわがまま言ったり甘えられる場所だから」
その後、さやかはクラスメイトにされて嫌だったことやマウントを取られたことを少しずつ話ができるようになった。
自分の感情に気がつけるようにない少しずつ学校に行けるようになり進級するころには休まずに登校できるようになった。