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弦音(つるね)
カーン!
高く乾いた弦音(ツルネ)が響き渡る。
弦音とは、
矢を放った時に弓から響く音色のことだ。
綺麗に矢を放てた時にしか
決して鳴る事は無い。
非常に貴重な音色なのである。
我が家の三男坊、
颯太郎が初めて放った矢は、
なだらかな放物線を描がきながら
遥か彼方28メーター先、
直径36センチの小さな的へ飛んで行く。
そして見事に
ド真ん中へ突き刺さった。
「おぉ~」
周りで見守る同級生からはどよめきが起こる。
そして、
パチパチパチ
上級生達からは大きな拍手が贈られた。
2023年9月22日
その日は、
颯太郎の16歳の誕生日。
弓道部に入部してから半年。
長~い下積み期間を経て、
遂に
矢を射る事が許されたのである。
ど真ん中に突き刺さった颯太郎の一発目は、
貴重な
16歳の誕生日プレゼント
となったのだった。
★★★★
というのは、
真っ赤な嘘。
私が勝手に妄想した
作り話である。
本当の話は、
一発目の矢は的から大きく右へ逸れた。
それが
元気の無い声で颯太郎が報告した
本当の初矢ストーリーだった。
やっぱり現実は厳しかったのである。
でも、
「 颯太郎! 」
「的の真ん中を射る事が弓道の本来の目的では無い、
ってこと、覚えてるよね? 」
神事に使われる的の中央に描かれている
「鬼」
という文字。
この「鬼」の文字は、
「甲」
「乙」
「ム」
の3つで構成される。
この3つの内、
射るべきところは、
中心に位置する「甲=相手」ではない。
実は、
その横や下に位置している
「乙=自分」
「ム=無」
を射る事を目的としているというのが
弓道の究極の教えなのだ。
すなわち、
「相手」を射るのが目的ではなく
射る為の長い鍛錬の過程で
「自分自身」を「無我」の境地に
導く事が目的なのである。
だから、
「当たらなくてもクヨクヨするな、颯太郎!」
それに、
誕生日に初矢を打つことが出来たのは、
入部から半年間、
延々と続く練習に耐えた事に対する
神様からのプレゼントだ。
そう確信出来る様なことが
颯太郎が訪問した京都で起こったのである。
★★★★
この夏、
颯太郎が京都を訪れたのは、
颯太郎が通う付属高校の大学が
京都に有るからだ。
その大学の
オープンキャンパス(見学会)に参加するのが
京都訪問の目的だった。
アメリカ育ちの颯太郎としては
京都を訪れる事自体が
日本を知る上で絶好の機会でもあった。
当然、
大学の見学に加えて
京都観光もすることになる。
そして定番として訪れた
清水寺。
引いたおみくじは、
第九十二の吉。
まずまずの引きだった。
そして、
次に訪れたのは金閣寺。
そこで引いたおみくじも、
なんと、
清水寺で引いたおみくじと同じ番号、
第九十二番の吉だったのである。
しかも、
書かれている内容も
ほぼ100%合致。
それぞれのおみくじの様式は
それぞれの神社で異なっているし、
使われている言葉も違っているので
ちゃんと
それぞれの寺で作られた
おみくじだという事が分かる。
ところが
書かれている内容はバラバラではなく
統一されていたのである。
京都の神社仏閣が
どの様な組織で統括されているのかは知らないが、
おみくじの内容が
シッカリと統一されているという事に驚く。
そして、
同じ日に訪問した別々の寺で
同じ番号のおみくじに
当たるという事、
正に神業である。
よほど神様が颯太郎に
伝えたいメッセージが有ったに違いない。
そう考えながら
京都から北海道の自宅に帰った後も
日々を過ごすことになった。
そして迎えた
9月12日の週、
颯太郎は弓矢を放つ許可を得る事になる。
9月12日は、
颯太郎が2度に渡って引いたおみくじの番号、
第九十二番。
なるほど、
入部から半年経っても
弓を射る事が許されず、
ちょうど嫌気が差しているところだった。
そんな颯太郎に対して、
「9月12日の週までは黙って頑張れ!」
という
神様からのメッセージだったのだ。
そして
頑張って練習を続けた結果、
9月12日の週に初矢の許可が下り、
晴れて
初矢を放てたのが
颯太郎の16歳の誕生日だった。
的には当たらなかったものの、
ここまで耐えて練習して来た颯太郎に対する
御褒美だったのである。
めでたし、めでたし。
★★★★
以上が
無理くりこじつけて作った
神様からのメッセージ話である。
ここ迄良いように解釈出来る私は、
もう敬虔な仏教徒かもしれない。
でも、
日本の歴史や文化の中心地、
多くの寺院や神社が存在する京都。
古くからの信仰や宗教的な意味を持ち、
日本人にとっては特別な場所で起こった出来事。
おみくじに書かれていた教えに
従って生きれば
必ずご褒美が待っている。
それは仏教徒ではない私でも、
そんな気がするのである。
★★★★★★★★★
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颯太郎のデビュー戦は、
第70回市民体育大会弓道競技
2023年10月8日
江別体育館
「真ん中に当てろ、颯太郎!」
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