拙著  「僕が帰りたかった本当の理由」

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思い込み

 

 

 

これも随分と昔の話。

 

 

アメリカ、カンサス州

 

 

北アメリカ大陸の中央部に位置していて、

最も多くの牛肉を生産する地域だ。

 

 

町にはステーキ店も数多く存在している。

 

 

ある日私は、

そのステーキ王国に

出張で訪れていた。

 

 

仕事を終えると、

取引先のアメリカ人が、

地元で有名なステーキ店

連れて行ってくれることになった。

 

 

どの肉が美味しいのか分からない私は、

アメリカ人に助けられながらも

なんとか注文を終える。

 

 

ほどなくして

巨大なステーキ

テーブルへ運ばれて来た。

 

イメージ写真

 

 

運ばれて来たステーキは、

大きさもさることながら、

エイジングという手法

1か月以上熟成したものだった。

 

 

牛肉は、

エイジングによって、

柔らかさや風味、

旨味が増すらしい。

 

 

アメリカ人にとっては

大そう高級で、

おもてなし向けの御馳走である。

 

 

ところが、

実際に食べてみると

私には

ごく普通のステーキの味だった。

 

 

ポン酢醤油も、

大根おろしの入った和風ソースも無い。

 

 

社交辞令で

美味しそうには食べたつもりだが、

きっと

バレバレだったのだろう。

 

 

その私の薄い反応を見ていたアメリカ人は

がっかりした表情で、

 

 

 

「日本人じゃぁ、どうせ味の違いは分からないだろうなぁ」

 

 

 

とつぶやいた。

 

 

私は、

その台詞を聞いて

ドキッとしてしまった。

 

 

まさか

日本人の自分が、

味覚のことについて

アメリカ人に指摘されるなんて

想像もしていなかったからだ。

 

 

出汁(だし)の文化で育った日本人は

アメリカ人よりも味覚では優れているはずである。

 

 

ハンバーガーやフライドポテトばかりを

喜んで食べているアメリカ人は、

味覚の面では鈍感で、

日本人よりも劣っている。

 

 

と、

 

 

勝手に

思い込んでいたからだ。

 

 

でも、

確かによく考えてみると、

 

 

肉を毎日食べるアメリカ人は、

肉の微妙な味の違いが分かって当然だ。

 

 

一方、

 

 

出汁の微妙な味わいが分かる日本人は、

出汁を使った料理を

単に長年食べているからだろう。

 

 

つまり、

味覚能力の差では無くて、

あくまで、

その土地や風土で生まれた食事

続けて食べる事で、

単に舌がその味を知っているだけ。

 

 

それだけの話だったのである。

 

 

私が勝手に作り上げていた神話、

「日本人の味覚は優れている」

というのは、

このアメリカ人のつぶやきによって、

単なる思い込みだった

に気が付かされたのだ。

 

 

そして、

アメリカ人を舐めて掛かっていた自分

深く反省したのだった。

 

 

 

 

 

 

実は、

私がアメリカ人を舐めていたのは

これだけではない。

 

 

味覚に鈍感なアメリカ人は、

当然、

食材に対する安全意識も日本人よりは低いだろう

と思っていたのだ。

 

 

ところが

これも全くの思い込みだったことに

気が付くことになった。

 

 

実はアメリカには

食材に対する安全意識が高い人が

思っているよりも大勢いることが分かった。

 

 

その需要に応じてか、

アメリカのスーパーでは、

安全な食材

容易に手に入れることが出来た。

 

 

例えば、

オーガニックの食材

 

 

価格は通常品の5%UP程度だ。

日本では有り得ない程に安い設定。

 

 

アレルギーが気になる人は、

グルテン抜きの小麦

ラクトスフリーの牛乳

入手する事だって容易に出来る。

 

 

日本では、

そんなものが売られている所すら見たことが無い

 

 

添加物についても

法律による厳しい安全規制が敷かれ、

日本では平気で使われている様な

添加物が

既に使用禁止となっている。

 

 

実際には、

悪い食材も売ってはいるものの、

食の意識さえ高ければ

危険な食材を避けて

安心な食材を選択出来るのが

アメリカだったのだ。

 

 

むしろ、

食の安全に疎いのは

日本人の方だった。


 

日本のスーパーやコンビニで

売られている殆どの食材には、

健康被害が疑われる

添加物、人口甘味料化学保存料

が堂々と使われている。

 

 

ハムや肉が美しく妖しく輝く

理由はそこに有る。

 

 

そして、

殆どの菓子には、

既にアメリカでは危険視されている

ショートニング

今でも多用される。

 

 

更に言えば、

パン屋に行けば、

トランス脂肪酸の入った

マーガリン

の匂いが店中に充満。

 

 

折角の幸せ感いっぱいな

素敵なパン屋にも拘らず、

入ってみると実にがっかりなのである。

 

 

また、

遺伝子組み換えの表示義務が緩和

されてしまったので、

強い農薬が使われている食材を

見分ける事も難しい。

 

 

そして、

危険な植物油が使用された加工食品

堂々と売られる始末だ。

 

 

こんな事がまかり通っている理由

それは、

物価が安い日本においては、

安全性を犠牲にしてでもコストを抑えないと

食品業界が成り立たない、

という事情が有るからだろう。

 

 

でも、

だからといって、

自分を守る為に、

安全な食材を通販で取り寄せたり、

無農薬野菜を自家栽培するなんていうのも

現実的では無い

 

 

そんな日本の実情を考えると、

日本の社会に住んでいる限りは

危険な食品から逃げきる事は

ほぼ不可能なのである。

 

 

今では日本人の3人に1人が癌を患い、

死亡原因の1番が癌だという日本の現実。

 

 

海外から戻って来た者としては

肌感覚だけで判断しても、

これらの食事情が原因していることは

容易に想像出来てしまう。

 

 

一方、アメリカは、

癌での死亡理由1位を

返上する事に成功している。

 

 

やはりここでも、

アメリカ人を舐めて掛かっていた自分

深く反省するのだ。

 

 

 

 

 

 

そして更にもうひとつ、

アメリカ人を舐めて掛かっていた事がある。

 

 

それは「医療技術」についてだ。

 

 

もちろん、

日本の方が勝っていると思っていた。

 

 

何せ、

「日本は世界一番の長寿国」

 

 

少しばかり食環境が汚れていたって、
それほどまでに心配する事は無く、

最先端の医療技術に支えられて、

世界一長く生きられるのが日本人だ。

 

 

と思っていた。

 

 

ところが、日本へ本帰国後、

これも大きな思い込みだったこと

に気が付く経験をする。

 

 

私は、

本帰国後、

北海道大学病院にて

治療を開始した。

 

 

極めて事例の少ない病気なので

専門医による高度な治療が求められる。

 

 

当然、

高額な医療費を覚悟をしなくてはならない筈だった。

 

 

ところが先日、

受診した際の請求書を見て驚愕する。

 

 

なんと80円

 

 

アメリカで専門医に受診する場合は、

コペイといって45ドル程度の自己負担金

必ず発生する。

 

 

最終的な個人の負担額は、

たとえ健康保険に加入していたとしても、

100ドルは下らないのが一般的だ。

 

 

つまり

日本の医療費は

ザックリみても

100分の1以下だったことになる。

 

 

あと、これは先週の話。

 

 

三男坊が夜中に胸が痛むというので

救急車に御世話になった。

 

 

田舎の江別市では病院が見つからず、

札幌の病院まで連れて行ってくれたのだが

高速道路代も含めて全て無料だ。

 

 

アメリカでは救急車は有料で、

千ドルを超える請求になっただろう。

 

 

こんな感じで、

日本の医療費が破格に安いという経験は

例を挙げるとキリが無い

 

 

もう一つだけ挙げるとすると、

 

 

1セット100万円程が掛かる私の治療も

国保の御蔭で

個人負担額は数万円程度。

 

 

先月

6セット目を終えたのだが、

もしアメリカで治療を続けていたら

と思うとゾッとするのである。

 

 

ということで

話が少々逸れたが、

「日本が世界一番の長寿国」

である理由、

それは、

「医療技術力」の以前に、

「破格に安い医療費」

だということを実感したのである。

 

 

つまり、

金の事を気にせず

いつでも簡単に

医者に掛かれる体制。

 

 

結果として

迅速な治療を受けられて

沢山の命が救われているのだろう。

 

 

もう少し実感して頂く為に

更にアメリカでの経験談を挙げてみる。

 

 

渡米して間もない頃、

風邪を引いて病院に行くと、

医者に怪訝(けげん)な

目つきで見られたことがある。

 

 

医者) 「なぜ市販薬のタイレノールを飲まないの?」

 

 

この台詞は、

アメリカでは風邪を引いたくらいでは

だれも

病院に行かないということを物語っていた。

 

 

もうひとつ、、

アメリカには健康診断という概念も無い。

 

 

症状が無いのに検査をすること自体が

ナンセンスと判断されて

保険も効かないのだ。

 

 

一部のアメリカ人富裕層と、

日系企業の福利厚生で守られていて

自己負担額が殆ど無い様な駐在員を除いては、

おいそれと医者には通えない、

というのがアメリカの実情なのだ。

 

 

指を骨折しても自分で添え木をして

やり過ごすなんていうアメリカ人の話も

聞いたりした。

 

 

ということで、

これはアメリカ人を舐めていた話というよりは、

むしろ、

日本人は恵まれた医療保障に守られて

長寿を謳歌出来て居るという話になる。

 

 

日本で生活していると、

破格に安い医療費の恩恵を忘れがちかもしれないが、

海外から見た日本の医療保障制度は、

垂涎(すいぜん)の価値があるのである。

 

 

もし日本の医療制度に不満を抱いている

としたら

それは思い込みなのだ。

 

 

 

 

 

 

2023年4月13日

朝7時55分

 

 

家のリビングで食事をしていると

Jアラートがケタタマシク鳴り響いた。

 

 

その3分後、

三男坊の颯太郎から

メッセージが送られて来た。

 

 

それは

高校へ向かう通学バスの中から

のメッセージだ。

 

 

 

 

これを見て

息子のユーモアのセンスに、

夫婦で大爆笑してしまった。

 

 

でも

暫くして

妻のめぐみが言う。

 

 

 

めぐみ) 「ひょっとして本気なんじゃない?」

 

 

 

そう、

 

 

颯太郎は半分は本気で、

ミサイルの着弾によって死ぬ事を覚悟したのかも

しれなかったのだ。

 

 

それを聞いて

ミサイルなんか着弾する訳が無いと、

勝手に

思い込んでいた自分に気が付く。

 

 

同時に、

「味覚」「食の安全」や「長寿国」といった

思い込みなんかはどうでも良くなった

 

 

そして、

 

 

「日本は世界一安全な国である」

 

 

この思い込みだけは永遠に続けられる事を

神様に祈ったのである。

 

 

 

★★★★★★

 

 

 

高校生になって新生活を開始した

我が家の三男坊、颯太郎は、

登校1週間で早くも疲れが出てダウン

 

 

2日間程で復活して

学校に戻ってみると、

クラスでは5人も休んでいたそうだ。

 

 

新生活で緊張しまくっていたのは

颯太郎だけではなかった(笑)

 

 

がんばれ新高校生

 

 


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