久しぶりの更新です。


 今日は、勾留というものに触れていきます。


 勾留とは、以前も書きましたが、犯罪をした疑いがある人(被疑者)や刑事裁判を受けることになった人(被告人)を留置施設に拘束することを言います。


 ちなみに拘留というのもありますが、これは刑罰の一種で比較的軽微な犯罪に適用され、1日から29日の間刑務所に入れるというものです。


 テレビなんかだとごちゃごちゃになっていますが、拘留がニュースになるようなことは多分ないと思いますので、全部勾留のことを言っていると考えて間違いはないと思います。



 さて、先ほど被疑者や被告人を勾留すると書きましたが、では被疑者や被告人なら誰でも勾留できるのでしょうか?


 答えはNOです。


 刑事訴訟法60条で、被告人について勾留すべき理由が定められており(この規定は被疑者にも準用されています)

 ①住居不定である

 ②勾留しなければ罪証隠滅を図るおそれがある

 ③勾留しなければ逃走するおそれがある

のうち最低1つの要件を満たす必要があります。

 それに加え、その人が犯罪をしたと疑うに足りる相当の理由も必要になってきます。

 というわけで、勾留するまでのハードルは結構高いです。


 ところで、弁護士さんの中には、検察官は何でもかんでも勾留請求して、裁判所は検察官の言いなりに勾留を認めていると主張している方もいらっしゃるようです。


 それが正しいかどうかは私が決めることではありませんが、私の意見としては、それは物事の表面しか見ていない意見だなと思います。


 確かに、検察官が勾留請求した際、裁判官が勾留を認容する確率は極めて高いです。

 

 しかし、だからと言って「なんでもかんでも勾留している」と言えるのでしょうか?


 まず、検察官は、先ほど述べた事情を十分に考慮して勾留請求します。

 

 逆に言えば、検察官が勾留請求をしないことも普通にあります。


 ですから、ここで検察官によるチェックが入っています。


 さらに、警察官も勾留に関する規定は当然知っています。


 ですから、当然警察官も検察官が勾留請求をし、裁判官が勾留を認めるかどうかを,警察官なりに判断してから逮捕するわけです。


 ですので、警察官もまたチェックをしています。


 こういったチェックを経て勾留請求されるわけですから、勾留請求が認容される確率が高いというのは、それ自体がおかしいということには決してならないと思います。


 それで、先ほど、物事の表面しか見ていないという話をさせてもらいました。


 それでは、検察官が勾留請求して、裁判官が勾留を認めず却下した場合どうなるのでしょう?


 それは次回にしたいと思います。







 検察官の主たる職務は、事件を捜査し、処分を決め、適切な量刑を得ることです。

 

 当然、捜査、公判のすべてに責任を負うことになります。


 ですから、捜査、公判を遂行する中では様々な悩みがあるわけですね。



 私がいつも悩むのは、わいせつ系の事件の配転を受け、被疑者が犯行を認めていない時です。


 そのような事件は、大抵密室で行われるか或いは人の目につかないところで行われるので、被害者の証言以外に証拠がないことが多いです。


 当然、被疑者が犯行を認めていない以上、被疑者の言い分と被害者の言い分は食い違うわけですよね。


 そのような時、被疑者だから信用できなくて、被害者だから信用できるということにはなりません。


 被疑者と被害者の話を詳しく聞き、客観的な証拠と照らし合わせ、それぞれの話がどの程度信用できるのか見極める必要がありますが、ここで1つのジレンマが発生します。


 わいせつ系の事件の被害者は、ほとんど女性であり、私は男性です。


 ですから、被害者が被害状況について事細かに話すのは、大変な苦痛であるはずです。


 しかし、検察官たる私が適切な処分を下すためには、事細かに聞かないわけにはいきません。


 しかし、それは被害者にとって大変な苦痛です。


 しかし…


 という風に無限にループしていきます。


 

 しかも、被害者が受ける苦痛はこれで終わるとは限りません。


 被疑者が起訴された後も事実を認めない場合、被害者には裁判所で証言してもらうことになります。


 事案に応じて衝立を立てたり、別室でビデオリンク(テレビ会議みたいなもの)方式で話してもらうことは出来ますが、結局話をしてもらうことに変わりはありません。

 被害者は、一日も早く忘れたいはずなのに、それを許さないのです。



 このあたりはもう少しどうにかならないのかなと思いつつ、刑事訴訟法が変わらない限りどうにもならないので、悶々としつつこなしていっております…



 

 、

 さて、検察官は日頃どんなことをしているのでしょうか。


 一口で検察官と言っても、所属庁や部署によってやることは結構違いますが、今回は大規模庁で捜査に専従する検察官を例にあげてみましょう。


 ~朝~

 8:30 登庁

 検察庁に限りませんが、庁に出勤することを登庁と言います。

 帰りは帰庁です。

 省の時は登省とは言わないんですよね。

 なんででしょう?

 ちなみに8:30と書いてありますが、一部の庁は時差出勤をしているので9:30出勤の人もいますよ!


 登庁後にやることは、その日の仕事の準備です。

 と言っても、大抵は前日までに準備をしていますので、朝は軽く確認をする程度です。

 朝になってバタバタ準備しているようではいい仕事はできません。

 いい仕事ができるかどうかは、しっかり準備ができるかどうかでほぼ決まります。

 では、その準備とはなんでしょう。

 

 捜査専従の検察官の一番大事な仕事は当然ながら捜査であり、検察官の行う捜査の大部分は取調べが占めます。

 そして、取調べにおいて準備とは、事件記録をしっかり読むということです。

 記録には様々なことが書いてあります。

 被疑者や被害者がどんなことを話しているのか、嘘をつかない客観証拠は何があるのか…

 そして、事件にもよりますが、記録の大部分を頭に入れた状態で取調べに臨むのです。

 そのような準備をしないと、きちんとした取調べはできません。

 具体的に書くことは控えますが、しっかり記録を読んでいれば、被疑者の嘘や勘違いに気づくことができたのに、それに気づかないままダラダラ話を聞くようでは、いくら取調べを行っても時間の無駄。

 検察官はみんなそのことを分かっている(はず)ので、しっかり準備を行うのです。

 そして、時間が来て、被疑者が検察庁に来たら取調べを行うわけです。


 さて、取調べなどを行い、捜査を尽くしたら処分、つまり被疑者を裁判にかけるかかけないかを決めないといけません。

 そして、どのような処分をするにしても、上司の了解を得る必要がある(これを決裁と呼びます)ので、上司に説明するための資料を作ったりします。

 

 その合間に新しく逮捕されて検察庁に送られた人がいたら。その人の話を聞いた上、勾留請求するかどうかを決めないといけません。

 勾留請求というのは、捜査(と公判も含みます)のため、被疑者の身柄を拘束する手続きで、裁判官が発する令状(勾留状と言います)によって行われますが、勾留請求というのは、裁判官に対して勾留状の発付を求めることです。

 また、新しい事件については、捜査方針を決め、自ら捜査をしたり、警察官に連絡して捜査を行ってもらったりします。


 ちょっと長くなったので、今日はこのあたりにしておきます。