伊勢に七度熊野に三度、愛宕さんへは月参り。
とても信心深いことや、信心はいくら深くてもしすぎることはないことを示すことわざです。
伊勢は伊勢神宮、熊野は熊野大社を示します。
それでは、愛宕さんとは?
愛宕神社。
京都の西に鎮座する標高924mの愛宕山、その山頂に位置する神社です。
全国900社ある愛宕神社の総本社であり、親しみを込めて「愛宕さん」とも呼ばれています。
そんな愛宕神社、社殿は山頂にあるのですが、そこに至る舗装路がありません。
したがって、麓から徒歩で山登りする以外に到達手段が無いのです。
麓の標高が85mなので、約840m登る必要があります。
登山道入口付近を流れる清滝川。
山にかかる朝もやが良い感じです。
この鳥居が登山道の入口の目印です。
ここから愛宕神社まで、4.2kmの山登りが始まります。
清滝からの登山道は表参道として整備されているので、よほどのことが無い限り道に迷うことは無いと思います。
とはいえ、山で油断は禁物。
気を引き締めていきましょう。
参道はモヤっていましたが見通しがきかないというわけでもなく、のんびり登っていきます。
道中、お地蔵さんがたくさんあり、参拝者を見守ってくれています。
登り始めてしばらく経ちました。
ここにはかつて、小学校の分教場があったのだとか。
毎朝登校するだけで体力がゼロになりそうです。
なにもこんなシンドい場所に作らんでもよかったのに…
ところどころに平地があり、休憩所としてベンチや小屋があります。
これらはかつてあった茶屋の名残なんだとか。
明治初めには19件もあったそうですが、今では0件…
寂しくなってしまいましたね。
ちょうど靄が晴れた時に展望の良い場所に着きました。
素晴らしい眺めです。
まだ半分と少ししか登っていないことなんか考えたくないですね。
また靄が出てきました。
この日の午前はモヤって晴れての繰り返しでした。
おや?写真中央部に何か不穏な白いものが見えるような…
うわ…雪積もってる…
天気予報で麓の気温が10℃と言っていたので油断しました。
黒門に到着する頃にはすっかり地面は雪に覆われてしまいました。
黒門到着。
愛宕神社はかつて白雲寺という神仏習合のお寺で、この門から先が境内でした。
明治時代に神仏分離が進められて現在の愛宕神社の形になりました。
黒門から約450m、ようやく神社の参道らしい広い参道に到着しました。
またモヤってますが、かえって神秘的にも見えます。
神社はもうすぐ。
…と思っていたら、モヤの先にこんな罠ががが。
まだ登る必要があるようです。
立派な鳥居と門が見えてきました。
あとひと踏ん張り。
到着!
やっと着いた~。
お参りを済ませます。
火除けのご利益があるそうです。
運動不足な私にはしんどかったですが、なんとかたどり着くことができました。
本来ならこの後、同じ山中にある月輪寺に行くつもりだったのですが、途中ですれ違った方々の会話の中で…
「アイゼンが~…」
「ピッケルが~…」
という単語をキャッチ。
ガチ登山用装備じゃないですか!
そういえばさっきの本殿にもこんな看板が…
ただでさえ雪を想定していなかったので、これ以上の深入りは危険と判断。
加えて、今来た表参道以外は本格的に登山って感じの道もあるみたいなので、大人しく来た道を引き返すことにしました。
見晴らしのいい場所まで下りてきました。
天気はすっかり晴れです。
お地蔵さんに見守られながら下山します。
おかげ様で、足は棒のようになったものの怪我無く帰ってこれました。
感謝感謝。
行くときは完全にスルーしてしまいましたが、かつて愛宕山にはケーブルカーが走っていました。
その遺構が残っています。
今も動いていればアクセスもだいぶ楽になっていたのでしょうが、残念ですね。
清滝川まで下りてきました。
川沿いには立派な旅館がありますが、既に廃業しているようです。
かつての隆盛を思うとかなりの衰えを感じますが、コロナも落ち着きつつある今、また賑わいを取り戻していってほしいですね。
ただ、私には月参りは無理です…
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京都府 京都市 愛宕神社
阪急嵐山駅から清滝行きのバスに乗車してやく10分、終点清滝で下車。
そこから登山道入口まで徒歩10分程度です。
参道にはトイレが無いので、あらかじめ麓にある公衆トイレを使っておきましょう。
また、山は早登り・早帰りが基本なので、午前11時までの入山が推奨されています。
早めの行動を心がけましょう。
私は8時に登り始めて、帰ってきたのが12時半くらいでした。
頑張った方ではないでしょうか…