幕末の名匠、石川雲蝶

彼の最高傑作と言われる作品が、越後の国の小さなお寺にあります。

 

赤城山西福寺。

 

『道元禅師猛虎調伏の図』

開山堂の天井と欄間に施された彫刻は圧巻です。

 

真下から天井を見上げた様子。

南宋で修行中の道元禅師に襲い掛かろうとする虎がいました。

禅師は咄嗟に持っていた錫杖を投げつけたところ、錫杖は守護龍となり虎を撃退。

虎は文字通り尻尾を巻いて逃げていきました。

 

正面から見ると絵画のようですが、これは彫刻です。

 

隅に彫られた鷲。

羽の一枚一枚まで細かく仕上げられた姿は、まるで本物の魂がこもっているかのようです。

 

天井を囲む欄間にも凄まじい技巧が施されています。

 

彫刻なのに奥行きがある!?

 

木をくり抜いて紋様を表すことを「透かし彫り」というそうです。

 

凄すぎてもはや言葉もありません。

 

大胆かつ繊細。

匠の技というのは恐ろしいですね・・・

 

窓にも趣向が凝らされています。

 

西福寺はコシヒカリの産地として知られる新潟県の魚沼にあります。

室町時代後期の1534年に開かれた歴史あるお寺です。

 

雲蝶の作品がある開山堂を守るため、建物上部をシェルターで覆っています。

 

開山堂の入口にも超絶技巧の彫刻があります。

石川雲蝶は幕末の彫工で、西福寺の開山堂は彼が39歳の時から6年の歳月をかけて製作したものです。

 

境内には彼の功績を讃える銅像があります。

 

なんでも鑑定団でお馴染みの中島誠之助氏がNHKの取材で雲蝶の作品を見た時、感嘆のあまり、「これは越後のミケランジェロだ」と叫んだことから有名になりました。

以後、ちょっとグレードアップして、日本のミケランジェロとも呼ばれています。

 

裏庭から眺める開山堂。

 

雲蝶は彫刻だけではなく絵画にも造詣が深かったようです。

 

本堂の中に絵画が展示されています。

 

人物像はあまり伝わっていないようですが、多才な人物だったんですね。

 

 

実は開山堂の中は通常撮影禁止です。

しかし、2022年9月末までは特別に撮影が許可されています。

9月も残り僅か。

ご興味のある方はお急ぎください。

 

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新潟県 魚沼市 赤城山西福寺

JR浦佐駅から魚沼市役所行のバスに乗って10分程度、虫野上口バス停で下車。

そこから徒歩10分程度です。

また、JR八色駅から徒歩20~30分程度で到着します。

バスの本数が少ないので、タクシーを使ってもいいかもしれません。