禅。

仏教用語の一つであり、「心が動揺することのなくなった状態」を意味する「禅那」の略語です。

または禅に至る教えそのものを指します。

日本では足を組んで瞑想している状態の「坐禅」をイメージする方が多いでしょう。

英語でも語源を同じくして「ZEN」という言葉があり、「calm」や「chill」、最近では「cool」といった意味合いでも用いられているようです。

 

禅の教えを説く宗派を禅宗と言いますが、日本に数多くある禅宗の寺の中で最高峰に君臨するのが、京都の南禅寺です。

南禅寺を開山した僧・無関普門(大明国師)を祀る塔所として作られた庵が境内にあります。

 

南禅寺天授庵。

 

小さいながら2つの美しい庭があり、秋には紅葉で真っ赤に染め上げられます。

 

 

南禅寺は無関普門によって1291年に開かれました。

無関普門はその翌年に東福寺龍吟庵で亡くなりますが、その後、自らが開山した南禅寺に塔所が無いことを不憫に思った僧・虎関師錬が1339年に建立したと言われています。

 

 

その後、3度も焼失の憂き目にあい、戦国時代には衰退してしまいますが、1602年、細川藤孝によって再建されて今に至ります。

 

 

境内には東庭と南庭があり、東庭は白砂と苔のコラボレーションが美しい枯山水庭園です。

 

 

南庭は池泉式回遊庭園となっています。

明治時代に改修工事がされていますが南北朝時代の庭園様式を今に伝える貴重な文化財です。

 

 

TVのCMでおなじみ、「そうだ、京都、行こう」の常連さんでもあります。

 

 

紅葉が見ごろになると、夜間拝観も実施されていました。

残念ながら今年は実施されないようです。

 

 

この美しい景色を再び見られるような世の中になってほしいですね。

 

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京都府 京都市 南禅寺天授庵

京都地下鉄蹴上駅から徒歩10分くらい。

南禅寺の有名な三門のすぐ隣にあります。

 

京都の中では早い時期に紅葉の見ごろを迎えます。

規模は小さいですが見どころが多く、のんびり座って東庭を眺めるのもおすすめです。