担任がクラス全員の名前を呼んだ後に


『えぇ、今日からC組になった 花谷君です。』


と 花谷について話し始めた。


『花谷君は、大阪の私立高校から来ました・・・


じゃぁ、花谷君。自己紹介お願い。』


ニコッと 笑みを見せてから


『初めまして。花谷 円っていいます。仲良ぉしてくれや』


関西弁混じりの標準語が可愛いかった。


『よろしくね!!』


『仲良くしようゼ』 とかクラスメイトが言う。


私はずっと 黙りこくっていた。


・・・だって


“花谷”とは 大切な父の命を奪ったドライバーの名だったからだ。


花谷がそのドライバーの息子と 決め付けることはできないが


あまり気がよくない。


・・・・・・・・


『久野さんって ゆぅたっけ?よろしくな(笑)』花谷が私に向かって話しかけてきた。


『うん。 よろしくね。』


私はそう言って 目をそらした。


『なぁ、3年前のこと覚えてる?』


『?』


『中学の入学式の日や。』


『・・・イミわかんない・・・???』


『イヤでも思い出してもらうで。アイ』


アイとは中学校のときのあだ名だった・・・


『花谷・・・なんでそんなことを知ってんの?


『だって・・・』





    あずさの

私立梓野高等学校


一年C組 ・・・それが私のクラスである。


 ひさの   あいな

『久野 藍那』


『はい。』  これが 私の名前。


幼いころに父を亡くした私にとって


“久野” という 名前はとても大切なモノなのだ。


後期もいつもと変わらない生活が続くようにと願っていた。


・・・


だけど そう簡単には世界がマワラナイようだ。


 はなや  まどか

『花谷 円』


聞いたことのない名前だった。


『はい。』


栗色の髪の毛が素敵なとても背の高い男子だった。




『好き』


って言った私の顔を見つめてキミは


『そう。』


なんて 短い返事なんだろう


でも すごく嬉しかった。


ゴメン って言葉を聴きたくはなかったから・・・





初めて逢った


あの校舎の廊下。


桜が咲いていて とてもキレイだった。


私は   ずっと


あの 蒼い空を眺め・・・


セーターに 顔を埋めていた。



キミは私の隣で


『来年も 咲けばいいな。』


と、


声変わりで 少し低くなった“声”で・・・


暖かな 春風が窓から入って、


キミの栗色の髪の毛が揺れる。





最初から 好きだったワケじゃないけど


こうやって 年月が経つにつれて


“好き”という気持ちが大きくなっていった。


そして・・・


『好き』


といってみた。