何が起きたかわからなかった。
相手と体が触れた。
グラッときた。
次に地面が見えた。
そして目の前が真っ暗になった。
最後のリレー種目、アンカー、転倒、最下位。
それが自分の中学時代最後の結果だった。
ゴールしたとき、かみゆの顔は見れなかった。
見れるわけがなかった。
ただ静かに、トラックを後にした。
なんとも言えない気分の中、閉会式を終え荷物を片付ける。
手元には、常温に戻ったあのポカリ。
片づけを終え監督の話が終わる頃には、
オレンジ色が青色の空をゆっくり呑みこんでいく。
転倒しないように――――――。
うん、わかった―――――――。
頭の中で、同形反復されるリレー前のやりとり。
かっこわり、俺。
自嘲の笑いが自分を静かに包み込む。
会場の出口に向かう。駐輪場へ足を向ける。
出口に向かって整然と続く人の流れが、出口の隅で少し乱れる。
出口の隅の影。
誰だ、こんなとこに立ち止まっているのは・・・・と視線を上げる。
そこには模試の帰りに、雨を見つめていたあの時と同じ視線。
今回は雨ではなく人でごった返す出口を見つめている。
視線が重なる。
その瞬間二人いた女の子は片方の肩を三度叩き、一人を置いて立ち去る。
肩を叩かれ置いていかれた一人が、ちょっと苦笑しながらこっちへ来る。
僕はいつの間にか立ち止まっていた。
「お疲れ。自転車で帰るの?」
かみゆの声が、僕の中に響いた。