詳説ロンバケ40th No.1

 

 

 

れんたろうの名曲納戸的ブログ(別館)においでいただき、誠にありがとうございます。

今回は長文になりそうなので、ご挨拶もそこそこに先へ進めたいと思います。

 

 第1章   トミザワくんからのリクエスト
 第2章  
がんばれば愛」とボブ・クルー
 第3章  幻のジェットコースター的展開とロイ・ウッド
 第4章  姉妹曲「うれしい予感」とジェフ・リン
 第5章  美談仕立てになった?ジョー・ミーク
 第6章  フォロワー楽曲とクリスマスの秘密

 

■第1章 トミザワくんからのリクエスト

その昔、ラジオ番組「ゴー・ゴー・ナイアガラ」で大滝詠一さんが、

「渋谷区のトミザワくんからリクエスト、Everybody Loves A 天然色」

と曲紹介をして、ゲイリー・ルイス&プレイボーイズの「涙のクラウン」(Everybody Loves a Clown) をかけたことがありました。

 

実はその前に、音楽評論家の某トミザワ氏が「ミュージックリサーチ」誌上で、

「『君は天然色』は『涙のクラウン』に似すぎている。大滝はファンに謝罪しなくてはならない」

と発言していたのです。

 

それを知った大滝さんが激怒。冒頭のような、皮肉たっぷりの曲紹介につながったのでした。

 

ゲイリー・ルイス&プレイボーイズ「涙のクラウン」 (クリックしてYouTubeでお聴きください)

 

音楽を深堀りして聞きまくった大滝さんの持論は、
「名曲は過去の名曲を下敷きにして生まれるのであり、作曲とは、いや創造とは往古からそういうものだ…。」
きっと、そんな感じだったのではないでしょうか。

 

大滝詠一さんの作品群がサブスク解禁で広く聴かれるようになった今、「君は天然色」は「涙のクラウン」のパクりだというビギナーリスナーの方からの短絡的な指摘を目にしたら、オールドナイアガラーの皆さんは、それを更生の道へ導いてあげなければならないのです(笑)。

 

単独で「涙のクラウン」のようなルーツソングを挙げるだけでは描出しきれない 「君は天然色」の秘密、
“フィル・スペクターの音壁サウンド” という形容句だけでは叙述しきれない 「君は天然色」の魅力、
それらについてちょっぴり紐解いてみたいと思います。

 

■第2章 「がんばれば愛」とボブ・クルー

大滝さんが「あなただけ I LOVE YOU 」に続いて須藤薫へ提供した曲がボツになり、その数週間後には、そのボツになった曲と、「がんばれば愛」のデモテープに入れておいたのにボツになった間奏、この二つを足し合わせて、「君は天然色」のレコーディングが行われました。

大滝詠一さんによれば、「がんばれば愛」も自分でアレンジしていたら「君は天然色」のようなサウンドになっていただろう、とのことです。
「がんばれば愛」のサビのバックコーラスには、大滝さんの一人多重録音が採用されていますが、どこかフォー・シーズンズ的…。

 

フォー・シーズンズを手掛けたプロデューサーのボブ・クルーは女性シンガーのダイアン・リネイ( Diane Renay )を世に送り出しています。

 

 

Diane Renay 「 Navy Blue / Kiss Me Sailor 」

 

大滝詠一さんは、彼女の曲「キス・ミー・セイラー」(動画の2:28~)と「ネイビー・ブルー」(動画の0:00~)を、松田聖子の「風立ちぬ」(1981年8月録音)の前奏間奏のメロディで、それぞれ引用しています。

 

「君は天然色」(1980年4月録音開始)の数週間前にレコーディングされたという「がんばれば愛」(クレージー・パーティー)の
♪されど されど 
  ハムサーラダー
 されど されど
 ヤレホンニサ!げんかいなーだ

の部分もまた、大滝さんはダイアン・リネイの「ビリー・ブルー・アイズ( Billy Blue Eyes )(1965年)から引用しています。
実に「がんばれば愛」の旋律全体の3分の1を占めるボリュームがダイアン・リネイという訳です。

 

 

Diane Renay 「 Billy Blue Eyes 」

 

上の動画の1:12~1:32のあたりが分かりやすいと思います。

「がんばれば愛」から滲み出たダイアン・リネイすなわちボブ・クルーの成分が、「君は天然色」から透けて見えるとも言えそうです。

 

クレージー・パーティー「がんばれば愛」(クリックしてYouTubeでお聴きください)

 

■第3章 幻のジェットコースター的展開とロイ・ウッド

「君は天然色」のイントロ終盤や間奏明けで
♪ ジャンジャン ッジャジャン ジャン ッジャ ジャンジャン
とたたみかけるリズムは、ロイ・ウッドが率いたバンド、ウィザードのナンバー、「 See My Baby Jive 」からの引用です。
このリズム・パターンは、大滝さんのCMソング「出前一丁」でも用いられました。

●「出前一丁」

 

●「どんなときも。」

出前一丁」の「♪ジャンジャン ッジャジャン!」を幼いころに聞いた槇原敬之は、それを「どんなときも。」の前奏やサビ前で印象的に用いたのだとか。

その結果、「♪ジャンジャン ッジャジャン!」が曲のフック効果になり、「どんなときも。」の大ヒットへつながったのはご存じのとおりです。

 

ウィザード「シー・マイ・ベイビー・ジャイヴ」(クリックしてYouTubeでお聴きください)

 

大滝さんが、ロイ・ウッドの「 See My Baby Jive 」からヒントを得た点はもう一つ。それは曲全体の構成です。

 

サビ前までのメロディは、「君は天然色」も「 See My Baby Jive 」もDのキー。

サビで強引にEのキーへ転調し、2番の頭で再びDのキーへ戻ってくる…。

「君は天然色」の“オケのレコーディング”の段階までは、「 See My Baby Jive 」由来の斬新な転調アイデアが「君は天然色」に活かされていました。

 

間奏も同様で、めまぐるしい転調の展開について、大滝さんはかつて、

「『君は天然色』の間奏なんかは、まさに萩原哲晶アレンジなんですよ、あれは」
と煙に巻くような発言をしていました。

 

ところが…。いざ歌い入れの段階になってみるとサビのキーが高過ぎて、

♪おーもいではーモノクローム いろづーけてくれーえ~
の「ノー」「づー」「え~」が首を絞められたような歌声になってしまい、大滝さんは「Eのキー」でサビを歌うのを断念。
機械的にオケのサビの部分を1音下げるという荒療治が施されました。

 

このとき、サビは1音下げましたが、イントロは「Eのキー」のままで下げませんでした。
いや、正確に言うと、「歌いだしサビ」の部分は下げませんでした。
そう、大滝さんによれば、もともと「君は天然色」にイントロはなく、いきなり「♪おーもいでーはー」とサビから始まる構想だったのです。
 

ものの試しに、皆さんが長年イントロだったと思って聞いてきた部分で、
♪おーもいでーはーモーノークローム~

とサビを歌ってみると、そのまま歌えることに気づくと思います。
この「歌いだしサビ」だった部分を下げなかったのは、上がったり下がったりするジェットコースター的展開をあきらめざるを得なくなり、悔しい思いをした大滝さんが、せめて、「♪くーちびるーつんとー」という歌いだしの直前だけは、
「Eのキー」(結果としてイントロ)

「Aのコード」♪ジャンジャン ッジャジャン ジャン ッジャ ジャンジャン(強引に戻る)

「Dのキー」(歌いだし)
という転調の妙技を披露したかったためだと推測します。
 

この「Eのキー」の部分はキーが高くて歌えないので、結果としてそのままイントロに転用されることになりました。
「君は天然色」のイントロにメロディがないのは、そんな事情も関係しているのでしょう。
(ライブで「君は天然色」が披露される際には、イントロ部分で オリジナルのメロディがピアノで演奏されたこともありました。)

 

これらの変更措置がその後、全て「結果オーライ」に結実していきました。

 

「君は天然色」は当時の日本歌謡界の“半歩先を行く”くらいのオシャレさが大衆受けにつながりました。“一歩先”を行ったら、行き過ぎになっていたのです。
大滝詠一さん自身も、“ザ・ベストテン”に出られるようなヒット歌謡曲を作ると意気込んで、ロングバケイションのレコーディングを準備していました。

(※以下の学生向け雑誌での大滝さんの連載記事を参照)

     

 

もし、「君は天然色」が1番も2番も3番もいちいちサビで転調していたら、聴く人はジェットコースターから振り落とされ、幅広い一般大衆には受け入れられなかったかもしれません。
アルバム「A LONG VACATION」は、若者がロンバケのカセットテープをカーステレオでかけながら口ずさみ、親しまれていったようです。
しかし、もしサビが「Eのキー」のまま高音だったなら、当時の大衆に気軽に歌唱されることはなかったでしょう。
リスナーの青春の1頁に「君は天然色」が刻まれなかったかもしれないのです。

 

そして。
何より、「君は天然色」のあのイントロ。
「君は天然色」のイントロに衝撃を受けたことがきっかけで、音楽業界を志し、業界人になったという人も多いと思います。
今日に至るまで、数多くのテレビCMソングで「君は天然色」が使われていますが、流れるのは決まってイントロの部分です。
●キリン 生茶CM

●金麦糖質オフCM

 

もし、1980年当時、大滝さんの地声がもう少しだけ高くて、オフィシャル髭男dism のボーカルくらいだったなら…。
つまり、「君は天然色」のあのイントロがなかったら、あなたの音楽人生は変わっていたかもしれないし、日本の音楽界も違った道を歩んでいたかもしれないのです。

これ、決して大げさではなくて。

 

■第4章 姉妹曲「うれしい予感」とジェフ・リン

「ロングバケイション」のサウンドの個性を決定づけているのは、アコースチックギター4人を同時に演奏させる“アコギ隊”のストラムサウンドです。strum ---、すなわちギターをかき鳴らすジャカジャカという音色です。

80年代の大滝さんの作品群では、中低音域の胴鳴り音がカットされ高音域の成分が強調されたアコギ隊のサウンドと、シェイカーやマラカスのシャカシャカした音色が混ざり合い、それにエコーが乗って、“ナイアガラサウンドのお出汁”とも呼べる旨味が醸成されていました。

 

フィル・スペクターの音壁にもアコースチックギターのパートは含まれていましたが、ナイアガラサウンドのアコギ隊の音色に影響を与えたのは、ジェフ・リンのギター・サウンドだと思うのです。
ジェフ・リンは、ザ・ムーブ、それに続くエレクトリック・ライト・オーケストラ(ELO)で、前述のロイ・ウッドとは同じバンドのメンバー同士でした。

 

ジェフ・リンがリーダーを務めるそのELOの曲に「Turn To Stone」(1977年)という曲があります。
一聴してロネッツのつめたい恋 You Came, You Saw, You Conquered」(1969年)の影響を受けていると分かります。

 

Electric Light Orchestra 「 Turn To Stone 」(クリックしてYouTubeでお聴きください)

 

ここで話を「君は天然色」の姉妹曲、渡辺満里奈の「うれしい予感」へ移します。
「うれしい予感」の下敷きソングは、「コールド・コールド・ウィンター」が有名です。

●ピクシーズ・スリー「コールド・コールド・ウィンター」

 

一方、サビの「♪あの日泣いていたあの子に 元気伝えよう今すぐ」の部分では、これまた、ロネッツのつめたい恋 You Came, You Saw, You Conquered」が引用されているのだと思います。

 

大滝さんはシングル・バージョンやアルバム・バージョンの「うれしい予感」にはなかったフレーズを、市販「スノータイム」バージョンの「うれしい予感」のサビ末で、コカリナっぽい音色で大きく鳴らしていました。
NIAGARA CD BOOK2 「Niagara Rarities Special」をご用意の上で、「YOKAN(うれしい予感)」1:24~のところをご確認ください

 

そのフレーズは、つめたい恋 You Came, You Saw, You Conquered」52秒あたりで、ロニー・スペクターが「♪ウォ、オ、オッオー」と力んでるフレーズそのままです。

ロネッツ 「 つめたい恋 You Came, You Saw, You Conquered 」(クリックしてYouTubeでお聴きください)

 
これらをふまえ、最初に私が考えたストーリーはこうでした。
 

ジェフ・リンは熱狂的なビートルズ・ファンとして知られています。
彼が2015年に発表したJeff Lynne's ELOの「When I Was A Boy」でもビートルズへの愛情が感じられました。

●「When I Was A Boy」

 

大滝さんのところへ「ちびまる子ちゃん」の主題歌の依頼が持ちこまれたとき、作者のさくらももこサイドの関係者に熱烈なビートルズ・ファンがいたことから、大滝さんは「うれしい予感」にビートルズ・アイテムを詰め込みました。
当然、ビートルズ・ファンのジェフ・リンの「Turn To Stone」とロネッツのつめたい恋 You Came, You Saw, You Conquered」のダブル・ミーニングを込めた上で、「うれしい予感」のサビは
あのメロディ、あのリズムになっているのだと…。

 

しかし、近年、驚きの事実が明かされたのです。
関係者の方によれば、「うれしい予感」はもともと、大滝さんが当時の大人気アイドル歌手のМ野Y子へ提供した曲だったというのです。

ところが結果的にボツになりおクラ入りに…。

おそらく彼女が「話しかけたかった」「秋のIndication」「はいからさんが通る」といったナイアガラっぽい曲を歌っていた頃のことでしょう。
そして、「ちびまる子ちゃん」の話が持ち掛けられたときに、眠っていた「うれしい予感」の原曲を再活用しようとサジェスチョンしたのは、あの朝妻一郎氏だったそう…。

 

「君は天然色」の姉妹曲「うれしい予感」が世に出るまでには、想像の斜め上を行くストーリーがあったのでした。

そして、「うれしい予感」の元になった曲は、単純にコールド・コールド・ウィンター」+「つめたい恋という冷え冷えソングで、おそらく某アイドル歌手の冬の新曲を想定して作られたのでしょう。

 

■第5章 美談仕立てになった?ジョー・ミーク

「君は天然色」のサビの部分には、ハニカムズの「カラースライド」という曲が用いられている、というのもよく知られています。

●ハニカムズ「カラースライド」

↓↓↓

※【れんたろうの名曲納戸(ホームページ)】のナイアガラサウンド研究会のコーナー参照

 

ハニカムズを手掛けたのは、イギリスのプロデューサーのジョー・ミーク

イギリスでは1990年代に入ってもロンドンのタワーレコードで大々的な「ジョー・ミーク」コーナーが設けられたりしていたほどの人気ぶりですが、日本でジョー・ミークの名を広く知らしめたのは、大滝詠一さんだと言ってよいでしょう。
「ロングバケイション」収録曲でジョー・ミークの影響下にあるのは、「君は天然色」、「Pap-pi-doo-bi-doo-ba物語」、「さらばシベリア鉄道」と言えるでしょう。

 

「君は天然色」のサビで「♪はーないで うるわしのーカラーガール」の「♪カラーガール」にあたる旋律において、元曲であるハニカムズの「カラースライド」の方は「♪カラースライド」と歌われています。

 

原曲で「カラースライド」と歌われる節に偶然「カラーガール」という歌詞が乗る、とは考えにくいことから、松本隆氏はあらかじめ大滝さんと打ち合わせした上で、作詞作業に取りかかったのだろうと思っていました。

大滝さんのインタビューによれば、「君は天然色」はレコーディング期間中、「カラーガール」という仮タイトルで呼ばれていたそうです。
つまり、「カラー」ありきで、「君の天然色」の作詞が行われたのだろうと…。

 

それをふまえた上で、最近、松本隆氏が、新聞や雑誌のインタビューで頻繁に語っているお話には、違和感を感じていました。

お話とは、このようなものです。

  • 起死回生を期する大滝さんから作詞の依頼を受けた後、妹さんを病気で亡くした。
  • 渋谷の街が白一色に見えるほどのショックを受け、降板を申し入れた。
  • 発売を延期してでも松本の詞を待つ、と大滝さんは伝えた。
  • 意気に感じて「想い出はモノクローム 色を点けてくれ」と記した。
こんなストーリーが、大滝詠一さんの没後になってから、“待っていてくれた友・大滝詠一”という美談仕立てにして語られているのではないかと…。

しかし、そうではなかったのです。
 
遡ってみると、「イーチタイム」の翌年、1985年12月には松本隆氏が、そのお話を新聞コラムで既に著していたのでした。
 

見ようによっては「イーチタイム」を機に距離ができてしまった大滝さんへ、松本氏からラブコールを送ったようにも読めます。
大滝さんが1985年の時点でこのコラムを読んでいたら、もしかしたら、二人の詞・曲コンビが復活していたのかもしれません。

 

今回の「A LONG VACATION VOX」のライナー・ブックを読んで驚いたことがありました。

そこには、松本隆氏直筆の「君は天然色」の初代歌詞の写真が掲載されていたのです。

 

世に出た「君は天然色」の歌詞のキャッチーなサビは、1番から3番まで共通。
♪想い出はモノクローム」から「♪はなやいで美しの Color Girl」まで、誰もが暗記して歌えることでしょう。
 

一方、「君は天然色」の初稿の歌詞のサビは、皆さんので目でライナー・ブックの5ページを確認していただきたいと思います。(今回のライナー・ブックのヤマ場の内容のため、二次利用が制限されており、写真の転載を控えます)

 

その内容としては、、、

「暗闇の毎日を照らし出してくれ」とか、「退屈な時間から助け出してくれ」とか…。
完成版の「君は天然色」の歌詞からは かけ離れた陰鬱な言葉が、胸を打ちます。

 

「君は天然色」の作詞を手掛けた当時の松本隆氏の心持ちは、近年のインタビューの通りだったのであり、“美談仕立て”では?といぶかしがっていた自分を、今回、恥じた次第です。

 
 

■第6章 フォロワー楽曲とクリスマスの秘密

一般的に「君は天然色」の元ネタ曲だと認知されている「コールド・コールド・ウィンター」(1964年)や「涙のクラウン」(1965年)のクリシェ的なコード進行のパターンの源流は、「霧のロンドンブリッジ」(1956年)あたりまで辿れるのではないか、と 「Happy Ending 全曲解説最終回の第3章 青い空の下で」で述べました。

 

このクリシェ的なコード進行のパターンは、「君は天然色」の様式美を特徴づけるもので、その後にナイアガラ的様式美をまねたフォロワー楽曲が生まれました。

有名なフォロワー楽曲を以下に挙げておきますので、お聴きください。

 
●鈴里真帆「 Fallin' Love Again 」(1995年)
「 Fallin' Love Again 」(クリックしてYouTubeでお聴きください)
 
 
●ゆず「今夜君を迎えに行くよ」(2005年)
「今夜君を迎えに行くよ」(クリックしてYouTubeでお聴きください)
 
 

アルバム「m-CABI」の初回限定盤のエキストラCDに収録。
是非、サブスク等で探して聴いてみてください。

(↑上の曲名からのリンク先でも45秒だけ試聴できます)

※ソニーミュージックのサイトでの再生、購入はコチラ
 
 
●OKAMOTO'S 「虹」(2014年)
 「虹」(クリックしてYouTubeでお聴きください)
 
 
上記、ゆずの「今夜君を迎えに行くよ」はクリスマスソングです。これを聴いた当時、「君は天然色」にも似ているが、「ハッピー・クリスマス」にも似ている…と思いました。

そう、クリシェ的なコード進行を使った世界的に有名な曲といえば、ジョン・レノン&オノ・ヨーコの「ハッピー・クリスマス(戦争は終わった)」(1971年)が挙げられるのです。

このクリスマス・ソングは、フィル・スペクターが共同プロデューサーを務めています。

「ハッピー・クリスマス(戦争は終わった)」(クリックしてYouTubeでお聴きください)
 
あながち、「ハッピー・クリスマス(戦争は終わった)」の「君は天然色」への影響は、無視できないものなのかもしれません。
たとえば、「君は天然色」は「♪わかれーのけはーいを~」のところで、バッキングのリズムが「2拍3連」へ大胆に変化します。
「ハッピー・クリスマス(戦争は終わった)」もコーラスが入ってくる前と後とで、リズムが「4分音符の3連符」から「2分音符の3連符」すなわち「2拍3連」へ変化するのです。
 

クリスマスといえば、「君は天然色」のラスト4::43からゆっくりとピアノがソロになる部分、これは、前述のロイ・ウッド( Wizzard 名義)の「毎日がクリスマスなら」なのです。
動画の4:00あたりがそれにあたります。
また、動画の2:00のところの間奏への転調も、「君は天然色」への間奏への影響を感じさせます。

Wizzard  「 I Wish It Could Be Christmas Everyday 」

 

♪渚を滑るディンギー」の歌詞のイメージやジャケットのイラスト画から、すっかり煌めく夏のイメージを抱きがちな「君は天然色」ですが、むしろ、“夏への憧れ”を感じさせる、いや、オールタイム・フェイバリットな曲、それが「君は天然色」なのでしょう。