【注意:超独断の感想かつネタバレを含みますので、これから観劇される方には向いていないかも知れません】

2回目&私の千秋楽に行ってきました。
12日の時より全員がさらに活き活きして、演技にメリハリがついて、それでいてやり過ぎず笑えるお芝居になっていました。
前回はストーリーを追うのが精一杯でしたが今回は吾郎さんはじめ役者さんの表情や台詞のニュアンスを楽しむことが出来たと思います。
一見浮ついて見えるフレッドが温かい人に感じられたり、本当はギャリーの大ファンなのにそれを表に出さないミス・エリクソンが愛しく思えたり、ギャリーの周りの人たちはみんなギャリーが大好きなのだな、と感じました。
そして第2幕のギャリー、ヘンリー、モリスのドタバタは一層パワーアップ。舞台からはみ出しそうなエネルギーを放ちながら下品にならない一線は守っているので安心して(?)笑えました。
そうそう、舞台からはみ出すと言えば、ジョアンナとリズが鉢合わせするシーンで、慌てたモニカが派手に転けて被っていた帽子が舞台下に落ちるハプニングも(カーテンコールの時スタッフさんが回収していました)。みんなダイナミックでした。
吾郎さんの動きと台詞は流れるように美しくて、もちろんおかしくて、本当に楽しかったのですが、最後の台詞が「ん??」と引っかかりました。
私は芝居をした事はないし全然詳しくないし、全くの素人の感覚ですが、何か最後のあの台詞だけ大根役者みたいにちょっと下手っぽく聞こえたのです。
12日に観たときは感動したのになぜ?
たぶんそのカギになるのは「マチネアイドル」という用語。
公演パンフレットの最後の解説記事、北村紗衣さんの「現在の演劇、今ここの笑い声」の中で紹介されている用語で「女性向けのロマンスものなどのマチネ公演で主役を演じる二枚目スター」を指すそうです。
私はこの記事を読んでから今回の公演を観たので、自然と「マチネアイドルとしてのギャリー」に注目して観ていました。
1幕でも2幕でもギャリー、ヘンリー(プロデューサー)、モリス(マネジャー)が今後の仕事について言い合いをするシーンがありますが、ギャリーは老いを意識し始め、俳優としてステップアップしたいと思っているようです。それに対してヘンリーとモリス、そして元妻で劇作家のリズはギャリーはマチネアイドルなので「ペールギュント」のような重厚な作品はできないと考えている節がありそう。ヘンリー、モリス、リズのいわば「チームギャリー」は着実に集客出来る(=稼げる)今までの路線を続けたいのでしょう。そのすれ違いは笑えるけれど悲しくもあります。
で、最後のあの台詞です。せっかくヘンリーが「今ならペールギュント、いけるかもな」と言ったのにあの台詞…。ギャリーはやっぱり「マチネアイドル」だった、というオチなのかな?というのが25日の私の感想です。
もちろん、それまで流れるように喜怒哀楽を演じて観客を魅了した吾郎さんが最後の台詞だけを下手っぽく言うためにはきっと高度な技術がいるはずです。
吾郎さんはSMAPの一員としてアイドルの第一線で活躍する一方、俳優としては年に一本は舞台に立つという地道な活動を続けて力を蓄えてきました。吾郎さんは若い頃から先を見据えて自身は「マチネアイドル」にならないようにお仕事をしてきた人です。
だから最後のあの台詞回しも「さすが吾郎さん!」と私は唸りました。
ところで、劇中に何度も登場する「ペールギュント」ですが。
私は読んだことがないので恥ずかしながら「ペールギュント あらすじ」で検索してみました。
すると「プレゼント・ラフター」と「ペールギュント」にはいくつか共通点があるらしいことが分かりました。
ご存じの方も多いと思いますが「ペールギュント」は夢見がちでほら吹きのペールギュントが故郷を出て長年放浪の旅をし、最後にずっと自分を待っていてくれた妻の元に帰って息を引き取る、という話です(大雑把すぎますが)。
ギャリーはアフリカ公演で6本の芝居をすることになっていますが、ペールギュントもアフリカへ行って荒稼ぎをしています。
女性遍歴が派手なところもギャリーとペールギュントは似ていますし、最後に妻の元に帰る(ギャリーの方は本当に帰るかまだ分かりませんが)のも同じです。
もしかしてノエル・カワードは「ペールギュント」を下敷きにして「プレゼント・ラフター」を書いたのでは?と思いました。
そう考えると…ギャリーはもう私生活ではペールギュントを演じているようにも見えてきます。
ギャリーがいつかペールギュントを演じる日は来るのか?
この後を想像すると益々楽しくなりますね。
と思いつくまま書いているうちに、早くも東京公演は無事千秋楽を迎えました。おめでとうございます。
これから京都・広島・福岡・仙台と公演が続きます。きっとどんどんパワーアップしてもっと面白くなるでしょう。
3月29日の大千秋楽まで無事完走されますように。
