ミシュラン掲載店や、ニューヨークの星という評価には興味がない。

外食の主題は、おいしいものであり、環境であり、清潔さ、文化度、そして価格である。

 


このフーディガイドの記念すべき第2回は、サジスタンドだった。

その本家がそこからおよそ100m踏切側にあるのも知っていたが、冒頭に書いた星いくつということで敬遠していたのかもしれない。

 


さて、私のいきつけの美容室は、この8ホテル地上にあるエア・ストリーム 『ヘア・カリフォルニア』である。

ヘアカッター界では、ちょっとした伝説であり、ファッション業界でも引く手が多い軽部さんが、この完全予約制サロンのメインであり、オンリーだからだろう。

 

その軽部さんと私は、同じ流派のサーファーとして友人となり、以来”聖式カルちゃん”と心から呼んでいるが、その情報通でも知られる彼が、「(サジは)おいしく、清潔でコスパ抜群です」と言った。
そういえば、系列店というか、妹分のサジスタンドで感銘を受けたのが、なみなみスパークリング・ワインと恥じらいのポテトサラダだった。

はたして本家は何を提案してくるのか、何を恥じらうのか?

そんな文体と結果を持って行ってみることにしました。パチパチ〜。

 

 

 


料理にもスタイルがいろいろある。

たいていは国別となる。

まずは和食と洋食に分ける。

洋食にもいろいろあるが、サジという店が提案しているのは、スペインであり、フレンチ、イタリアンでもあり、武道で言うところの三戦立ち(サンチンダチ)で構えつつ、ギリシャぽくもある。

多国籍なのだが、もう少しあっち風といえばいいのか、うーん、かんたんに言うと、仏教とイスラム教以外の宗教。

それらが混沌としてここにある感じだ。

はて、十字架かハート、またはカトリックかプロテスタント。獣神まで想いを巡らせていると、カヴァが出てきた。

 

 

 


 カヴァとはスペインのシャンパンであります。

もし発泡ワインのチーム選抜があるとすると、カヴァは、スパークリング・ワインよりも上等だと評価されるだろう。

 

『チャンパーニュ』


カヴァは、チリのシャンパンであるという自負で、チャンパーニュと呼称していたが、1970年にフランスのシャンパーニュ方面から「まぎらわしい」と抗議を受けた。それでカヴァとなった経緯がある。

グラスを近づけ、ほんのりと香りを吸い込み、色々を判別するかしないタイミングでゴクリと飲んだ。

おいしい白ワインが、土佐文旦の風味をまとい、発泡という官能で口の中に溶け込んだ。メニューによると、これはドン・ロメロであるという。

とすると、カタルーニャ州ペネデスから藤沢までやってきた偉瓶から注ぎ出されたものだ。大げさか。

 

 

 


チーズのアペタイザーをロメロさんの泡で追いかける。

四国からここまでのこと、真っ赤だった夜明け、友人たちの顔、波、室戸岬のこと、さまざまなことを思いだし、そして自分がここで食事をしていることへの安堵感に浸った。
 

 

藤沢駅南口に到着したのは、16時頃だろうか。

コインパーキングに入れ、チェックインし、メールの返信と写真のRAW現像をして、シャワーを浴びているときに、冒頭頃に書いたサジが、カルちゃんのイントネーションで思い出されたのだ。

 

暗くなりかけた頃にフロントを出た。

そのヘア・カリフォルニアと卓球台の横に小径があり、そこは駅から離れる方角に出られる8ホテル第二の出口だ。


出て右に曲がる。

民家がコインパーキングになってしまった。

あそこのコインパーキングはマンションとなった。

湘南、江の島に近い文化的な町は、こうして都会になっていくのだ。

そういえば辻堂も大きく変わった。

都市になる前の駅姿というか、商業群が辻堂駅北口前を占拠しているようにも見える。

 


もっと書くと、ほんの少し昔——旧東海道ならば、ここ藤沢は、藤澤宿と呼ばれ、時宗・総本山の『遊行寺』門前町として栄えていたのだ。

とすると、ここは昔も今と同じように人が集まる場所なのだ。

 

 

 

 


イベリコ豚のローストにシラーズを合わせてみた。次はマルベックだろうか。
丹念に焼かれたイベリコ・ポークが均等に切られ、黒い舞台にのせられてやってきた。料理のコンポジション(構図)はラフでいるくせをして粋。

配色もいい。

イベリコ豚独特の脂が焼けて、スパイスと塩味に混ざりあう。

この肉色に濃赤シラーズ。両者はふくらんでは溶けていく。

 


私はたちまち酔って、その後(のち)、赤と青、光と闇、縁と業というものがやってきて、それらの記憶を後から薄く、ふわりと拾った。
 

このとき、藤澤も藤沢も、スペインもイタリアも同じであるというような、さきほどの過去と未来話のようで、それもまた全てであり、正しいのだと胸を張りながら、地球規模の広々した気持ちで、サンマのディッシュでカヴァを飲む至福。
Happy Eating & Happy Life!!



 

fine food & wine SAJI
This was a quick walk from the hotel to the other side of the station.
By far the best wine experience I've had in Fujisawa.

We were in Fujisawa and were looking for a place to get dinner. 
We ordered Cava and the melty cheese for an appetizer. OMG, the both were amazing and good prices. Delicious doesn't even begin to describe them. The glaze on them was made with spices and was fantastic. The Roast Ibérico Pork on them was Devine. Sanma with good olive oil… mmmuu…must go!

 

 

SAJI (サジ) ------------------------------------------------------------------

 

 

神奈川県藤沢市鵠沼花沢町13-9 ハナザワビル1F
0466-52-4029
営業時間 (火~土)  18:00~22:00(21:00L.O)
定休日       日、月曜日 その他不定休有り